FC2ブログ

archive: 2019年04月  1/4

好きになったのは年上で意地悪な人 (10) 

No image

 気が付くと、しーんと静まっていた。 今は何時だと荷物から腕時計を取り出して見る。  「お、あと少しで終わるのか。トイレ行ってから覗こう」   ああ、今日は本当に疲れた。 まさか、66発を受ける羽目になるとは思いもしなかったなあ。   トイレに籠ってると、自分の部屋に戻れる体力と気力が出てきた。 よし、帰るべ。   トイレから出ると、優介と目が合った。  「あ、トイレだったんだ。良かった、顔色が元に...

  •  0
  •  0

好きになったのは年上で意地悪な人 (9) 

No image

 優介から聞いたのか、師匠が声を掛けてくる。  「無理しなくていいぞ。今迄の奴等はここで寝て昼頃に帰るコースだから」  「でも」  「気にしなくていい」  「すぐ目の前なのに……」  「ま、せめて後30分は横になる事を勧めるね」  「どうして」  「でないと、飲み食いした物を吐くぞ」  「それは嫌だ」  「だろ。だから、そのまま横になってろ」   その言葉に素直に横になる。 そっか、六段に合格して師匠...

  •  0
  •  0

好きになったのは年上で意地悪な人 (8) 

No image

 へとへとだあ、もう動けない。 それでも一人一発だったから、まだ良かった。 だけど65発にプラス師匠。 今日の対戦相手は81人。  優介の声が聞こえてくる。  「大丈夫? 生きてるー?」  「み、水、くれ……」  「2Lのペットボトルを持って来たよ。あと胃に優しくて甘くて徹の大好きな餡子」  「用意がいいな」  「皆が通る道だからね」  げほっ、ごほごほっ……。   「ほら、急に胃の中に入れるから」  「...

  •  0
  •  0

好きになったのは年上で意地悪な人 (7)

No image

  「ようやくヒットか」  「今回は楽しめるな」  「ちょ、ちょっと、ちょっと待って……」  「15人相手にして体力使い切った感じだな」  「疲れてるんですよ」  「プラス65人が相手だ」  「多過ぎ……」  「去年、俺がなった時は80人だった。それを思えば少ない」  「は……、ここって空手は何人」 すると、とんでもない事を言ってきた。  「大人の部で通いは193人だけど、六段を含めると師匠は89人」  「げ、な...

  •  0
  •  0

好きになったのは年上で意地悪な人 (6) 恒例の師匠誕生イベント

No image

 師匠、飛ばし過ぎ……。 ヘロヘロになった俺は師匠の後を付いて道場の板の間に入った。 途端に紙吹雪に襲われた。  「え、え、え、な、何これ……」  「おめでとー!!」  「え、あ、ありがとうございます」 師匠の声が聞こえてくる。  「おい。誰が、こんなものをばら撒いてるんだ」  「後で掃除しますから」  「ったく、こいつ等は……。あれ、人数が増えてるのか」  「当然でしょう。師匠が誕生したんですから」 ...

  •  0
  •  0

好きになったのは年上で意地悪な人 (5) 

No image

 今までは筆記で落ちていた。 年齢制限もあり40歳を過ぎないと受けれないし、色々と条件付きの昇段審査会になるので休む事はできない。 狙いを定めた岡崎は2週間後に控えた審査会に意識を向けた。 こうなるとコツコツ派の岡崎には利がある。 そして、45歳の秋。 三度目の受験で、六段を合格した。 その証として賞を貰うのだが、それは年明けだ。 タオルで顔を拭いていたら、ふいに声が掛かった。  「おめでとう」 その...

  •  0
  •  0

好きになったのは年上で意地悪な人 (4) 

No image

 山本君は、何かを思い付いたのか言ってきた。  「あ……、スポーツにうってつけの人を思い付いた」  「誰?」  「山本君の知り合い?」  「皆も知ってる人で」 うんうん……と、期待して次の言葉を待つ。 とんでもない人物の名前を口にしたのだ。  「利根川専務」 ぶっ……。 俺もそうだが、皆も吹いていた。  「い、いや、それは……」  「えええ……」  「何で、そんな人を……」 あの専務の事だ。嬉々として来るだろ...

  •  0
  •  0

好きになったのは年上で意地悪な人 (3) 

No image

 秘書課長も思ったのだろう。 『訂正』という件名で戻ってきた。 ・一泊二日なら、両日とも午前から ・DVDに頼らない ・せっかくの発表の場をなくさない ・前回の良さを生かせてない これらの事を踏まえ、再度考え直す事。 前回の良さ。 前回は峰岸がいたから何度も何度も駄目出しされて2人でと言うか、ほとんど峰岸の企画だったのだ。 もう一度、皆で集まり決めていく。  日曜 8:30 集合    9:00 秘書課...

  •  0
  •  0

好きになったのは年上で意地悪な人 (2) 

No image

 桑田コーポレーションの常務に引き抜かれた宮田敦が入社して2ヶ月後の11月下旬に、岡崎が企画した秘書研修が開かれる。その企画を考えてるが、中々に進まない。前回は峰岸から駄目押しされて、やっとの事でできあがったのだ。その峰岸は今回は忙しそうなので、上二役秘書と各重役のメイン秘書とで考え企画したのだ。 前回同様、DVDを借りて研修をする事になり、早々と連絡をして予約を取る。 一泊二日の宿泊研修になる。 皆...

  •  0
  •  0

新作! 好きになったのは年上で意地悪な人 (1) 

No image

 もともと、つなぎとしての期間限定で常務をしていた桑田政行は、バイト先である人材育成センターで正社員になり働きだした。 自宅からだと時間掛かるので恋人である新田嘉男名義の家で暮らしながら働いている。 ここからだと嘉男さんの仕事場への通勤時間は電車と徒歩になるが、20分も掛からない。 マンションからだと徒歩で20分強掛かるけどね。 公私共に充実していた。  人材育成センターのボスの父親は嬉しそうに毎日の...

  •  0
  •  0