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はじめに。。。

性的表現がありますが、ストーリー重視の小説です。
18歳未満の方や、♂×♂同士の恋愛話に抵抗のある方はご遠慮ください。



月・水・金

の、

週3日、PM20:30

に更新しています。

たまに、お休み頂くこともありますが、ご了承ください。


Hiroto_Fukuyama
🌠イラスト:豆たろさん🌠

私の創作ですので、自己満足の世界とも言います。
中傷、批判とかは受け付けません。(きっぱり)
なお、文章及び画像は著作権放棄しておりません。
無断使用、無断転載は固くお断りします。

最新記事か、下記の、お好きな≪ ≫シリーズ欄でどうぞ。
≪イベント小説の紹介≫
 季節物な物語です。

≪うちの子たち、ご紹介≫シリーズ
 全キャラが登場します。  

≪雅俊平&雅治≫シリーズ
 陸上から始まったお互いの物語。

≪福山博人&福山友明≫シリーズ
 医者を通しての恋物語。

Kindleにて福山博人&山口昌平の作品を販売しております。
【天然御曹司の友情にメリークリスマス!】
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≪新田嘉男&桑田政行≫シリーズ
 水泳アスリートだった政行の恋物語。

≪利根川五右衛門&高瀬義昭≫シリーズ
 政行の父が社長の会社で、利根川は専務を、政行の秘書をしていた高瀬の恋物語。
このブログ始まってのリーマンモノです。


≪宮田一族≫シリーズ
 宮田文雄&松井弘毅の恋物語。
大学生&高校生モノです。


Kindleにて『恋人は副会長』を販売しております。
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≪その他のキャラたち≫
 クリックして、目次内をご覧ください<(_ _)>


☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
 
『龍神の宮殿』 全年齢対象のファンタジーの作品です。
    注:エブリスタさん限定の作品です。
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。.:♪*:・'(*⌒―⌒*))) ごゆっくり~



好きな人に囲まれて両手に華 (55)

翌日、朝9時にリハビリの博人先生が病室に来た。
 「おはようございます。気分は如何ですか?」
 「おはようございます。先生、俺の指針決まりました」
 「指針ですか?」
 「はい。俺は自分の夢を叶えてるので、それに向けて左腕を動かしたいんです。着替えたり掃除したり皿を洗ったりと。その為のリハビリをしたいです」
 「動かすという事は、自分の意思で、という事になります。それは脳から各身体の機能へ信号を出し、それが動作に繋がります。それに、日本に帰ってからもリハビリは続きます」
 「はい、覚悟は出来てます」
 「君の主治医の病院はどこですか? もしくは担当医を教えて下さい」
 
俺はアサミコーチの兄が院長をしている病院名を教えた。
 「そこって、清水龍牙先生の病院?」
 
え、清水龍牙っていう名前は知らないので、診察券を出そうとしたら財布の中身をばら撒けてしまった。博人先生は、布団の上に、それらを綺麗に並べてくれる。
診察券を手にして、先生は言ってくる。
 「私は、ここに連絡します。君はゆっくりで良いので、自分で財布の中にしまって下さい」
 
そうだね、自分の持ち物だし、自分でばら撒いちゃったからな。
その先生は、テレビ画面をオンにして診察券を見ながら電話している。
へえ、画期的なテレビだな。
 
 『はい?』
 「こちら、パースの福山と申します。清水龍牙先生は、御在宅でしょうか?」
 『父に、どの様なご用件でしょうか?』
 「昔、龍牙先生に指南して頂きました。福山博人だと伝えて貰えないでしょうか?」
 『あの……、
  
 ―どけっ
  
 痛ぇな……、ちょっと、おと
  
 ―博人様、ご無沙汰しております。お元気な御様子、亡き父上もお喜びの事でしょう』
 「うん……、龍牙先生、リハビリについてお聞きしたいのですが」
 『リハビリ、ですか?』
 「今、パースで、そちらの診察券を持っている患者さんをリハビリしています。1ヶ月後には日本に帰国するので、リハビリセンター等の事を教えて頂けたらと思いまして、連絡したのです」
 『お任せください。博人様のお願いの仕方は、昔より可愛くなっておりますな。して、患者のお名前は?』
 「桑田政行さんです」
 『桑田政行さんですね。
  
 ―あれ、アサミと同じジムの……、てぇな、クソ親父っ
  
 畏まりました。3日ほどお時間下さい。調べておきます』
 「よろしく」
 
賑やかな電話が終わり、リハビリの先生って何者なんだろう。さっきのは院長先生と、引退したって言われてた院長先生のお父さんだ。
 
そして、3日後。
博人先生は俺やお父ちゃんのいる前で、日本に連絡した。
 『はい、あ、博人様、丁度良かった。10分程前に帰宅したばかりです。私達が仕事をしていた場所に、リハビリセンターが出来ております。設備とか院内を見てきました。最新設備で』
 「ちょっと待った。場所は?」
 『先程申し上げましたよ、私達が仕事をしていた場所だと』
 「それって、まさか……」
 『はい、そのまさかです』
 「あそこの土地はお爺様のだ。勝手には」
 『もちろん、調べました。名義は福山博人と福山友明の連名になってます』
 「嘘っ」
 『ただし、代理人名は今泉龍三になっております。ご存知ですか?』
 「え、龍三? あんのクソ爺……、人に黙って勝手な事をしてポックリ逝きやがって。龍三も龍三だ、教えんかい」
 
 『はははっ。博人様は、そちらで仕事をされて人間らしくなられましたね』
 「どういう意味だ……」
 『ご存知でしたか? あの頃は鉄仮面のクールボスだった。それが感情を露わに出してる。とても良い事です』 
 
博人先生はため息をついている。
 「その資料をPDFにしてこっちへメールしてくれ。私があっちに連絡する」
 『はい、畏まりました』
 
電話が終わると、博人先生は大きな溜息を吐いて何か考え込んでいる。
少し経つと、先生は俺の方を向いて言ってくる。
俺にはハテナだったが、お父ちゃんは、その名称のリハビリセンターに心当たりがあるみたいだ。
 「あそこの責任者はドイツ人と日」
 
お父ちゃんが言ってるのに、博人先生は俺に向かって言ってくれる。
 「都内の中心部にリハビリセンターが在る様なので、帰国したら行って下さいね」
 「はい、分かりました」
 
 「で、先程のお金は財布に入れられましたか?」
 「はい、なんとかですが……」
 
それでは、もう一度。
そう言って、博人先生は手を出してくる。
何のことか分からず、その手を握ってしまう。
苦笑しながら先生は言ってくる。
 「違いますよ。もう一度財布を出して下さい」
 「どうしてですか?」
 「どちらにしろ、お金は触る機会が多いと思います。だからカードや札や小銭をばら撒いて、それを今度は左手で掴む様に努力して下さい。手を動かしたいのでしょう? 何かを掴むのもリハビリです」
 「さっきは右手で入れたんです」
 「ですよね? だから、今度は左手です」
 
 
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好きな人に囲まれて両手に華 (54) 

しばらく黙っていたが、続けてきた。
 「母は、私にとって良き理解者であり、アドバイザーでもあり、仲が良かった。私にとって、一番大事な、大切な女性だ。交通事故で亡くなったけれど、私は、今でもあの母で良かった、と思ってるんだ。私は、今夜は母を思い出して泣いてしまうだろう。今迄は泣けなかったからね。でも、君のお蔭で私は一歩を踏み出せる。ありがとう。それに、リハビリの先生に言ってごらん。治したいのではなく、動かしたいのだと。具体的に言わないと相手には伝わらない」
 「そうですね、言葉って大事ですね」
 「言葉のニュアンスだね」
 「ニュアンス……」
 「だから、君のお父さんは日本人を担当にして欲しかった」
 「あ」
 「君は、お父さんに似てるね」
 「え、そうですか?」
 「その言葉足らずなとこと不器用なとこ。彼は学生時代は経済学部で頭もルックスも良い5人の内の一人だった。もぐら、という呼び名は、こういう意味だよ。逃げるわけでは無く、そのチャンスを自分で作って行くんだ。土の下でね。だから水平線の下で黙々と自分の土台を作って進む。彼と一緒に来ていた金魚の糞より、私は君のお父さんの方が好きだね。寡黙だけど、己の突き進む道は、それが違うと分かると臨機応変に違う道を直ぐ選ぶ。今の君と同じ様に。だから勇気をもって」
  
 「俺は……」
 「今度は貸さない」
 「え、何を?」
 「そこから13歩、歩いて」
 「13歩?」
 「そう。歩いて当たった人の胸に顔を埋めるんだ。私の役目はここまでだよ」
 
1、2、3、……13。
13歩進むと、何かに当たる。
胸って言ったよね? もしかして嘉男さん?
いや、でも、この匂いは……。
 
そう思ったら、言葉が口から出ていた。
 「お父ちゃん?」
 「あー……、ったく、あの男は」
 
 「お父ちゃん、俺」
 「部屋に戻るぞ」
 
俺は病室に戻る途中、お父ちゃんに話していた。
 「俺、お父ちゃんの認識度は低かった。でも、さっき話を聞いて貰って、分かった事がある。明日からは、目標をお父ちゃんにする」
 「え、目標って……」
 「今迄は高瀬だった。でも、クリニック・ボスの話を聞いて気持ちの整理が付いた」
 「あいつは医者だからな……。昔から心理戦は得意だった奴だ」
 (でも、目標にしてくれるとはね。それは嬉しいが、今頃かあ……)
 
俺は言い続けていた。
 「それに、俺は腕を治したいのではなくて、動かしたいんだよ。言葉って難しいね」
 
その言葉に少なからず驚きを感じたのか、お父ちゃんは目を見張った。
「治す」のではなく「動かす」と言った息子の言葉。
自分は「治せ」とボスに言ったのを思い出すと、耕平は今まさにボスを再認識した。
 (あいつは……、昔とは違う。世界を相手にボスだと宣伝するだけの事はあるな)
 
 「政行、お前は」
 「それに、ナンパして結婚しただなんて初耳だ。お母ちゃんとのなれそめを聞きたいな」
 「別にいいだろ」
 「教えてよー」
 「寝ないと、明日は起きれなくなるぞ」
 「お父ちゃんのケチ」
 
 
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好きな人に囲まれて両手に華 (53) 

さすがオーストラリア。
空気が違うなあ。

観光できないのがあれだけど仕方ないや。
そう思っていると、誰かが寄ってくる。
 
クリニックボスだ。
思わず声を掛けていた。
 
 「あ、クリニック・ボスも眠れないんですか?」
 「こんな時間に何をしてるの?」
 「観光出来ないので、せめてものオーストラリアの空気を感じてるんです」
 「お父さんは?」
 「酔っぱらいはベッドの中です」
 
クリニックボスは聞いてくる。
 「君はドクターストップを貰っても驚かないんだな」
 「日本で貰いましたから。あの時は本当に驚きました」
 「もう、一生スポーツは出来ないんだよ?」
 「でも、いつかは出来るでしょう?」
 「えらく軽い言葉だね……」
 「俺は、あと1回オリンピックに出場したら、育成に専念するつもりだったんです。お店をやりながら……。でも、約束の、その1回が無理そうだ」
 「泣きたい時は泣けば良い」
 
そう言われ、思わず抱き付いていた。
 「俺、約束したの。高瀬に、あんたを超えてやる、と。クリスにも言ったんだ。4回制覇してやるって……」
 
暫らくの間泣かせてくれたので、気持ちが落ち着くと身体を離す。
 「良い身体してますね」
 「ありがとう」
 「何がしてるのですか?」
 「大学卒業までだけどね」
 「何をされてたんですか?」
 「合気道と少林寺」
 「凄い……」
 
クリニックボスは何かを決めたのか話してくれた。
 「君は35歳だよね」
 「はい、6月に35歳になりました」
 
 「35歳だった私は、ここでクリニック開設の為、猛勉強していた」
 「それまでは、どうされたのですか?」
 「福岡で5年、シンガポールで3年、オペドクターをしていた」
 「オペドクターって?」
 「メスを持って手術をする医者の事だ」
 
そこまで言うと、意を決したのか話しだしてきた。
 「私の母は、私が2歳の頃、片目を失った。それが最初だった。お母ちゃんの目を治す。だから、目医者さんになるんだ、って。そう決めてた。だけど、私は眼科ではなく皮膚科の医者になった」
 「皮膚科でもメスを持つのですか?」
 「皮膚科は、乳幼児から年を召した幅広い年齢層の人が患う科だよ。色々な症状がある。メスを持たなくても治せるのもあれば、メスを持って治すのもある。君は包丁を持ってるだろう?」
 「家庭用の普通のです」
 「調理師では無いのか?」
 「資格は取りました」
 「おめでとう」
 「ありがとうございます」
 「料理を作るのは好きかい?」
 「はい、好きですっ」
 「右手だけだと難しいと思うけれど、君のその思いがあると左手も動くだろう。その時は私にも食べさせて欲しいな」
 「はい、食べに来てください」
 「東京には私の弟が住んでいる。言っておくよ」
 「あの……」
 「もう遅い。そろそろ戻って」
 「俺、本当は怖いんです」
 「何が?」
 「本当に、左手が、左腕が直るのか」
 「君が自分の本音をぶつけられる人は居るかい? 居たら、その人にぶつけてご覧。拙い言葉でも、思いは伝わると思うよ」
 「え……」
 
クリニックボスは、こう続けてくる。
 「人とは、いずれ別れる者だ。どんなに長く側に居ても関係が薄いとそれまでだ。生きてる年数では無い。どう生きるのか、どんな風に生きてきたのか。それが一番だと、私は思っている。さっき言ったよね、私の母親の事。母は……」
  
 
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好きな人に囲まれて両手に華 (52) 

翌日、嘉男さんは朝食を作ってくれた。
俺は食べに行く気満々だったのに、朝ぐらいはと言われ作ってくれたのを食べていた。
 「美味しい」
 「ありがと」
 
2人で和んでいると、お父ちゃんが帰ってきた。
嘉男さんの作った味噌汁と白米で朝食を食べている。
 「美味い」
 「ありがとうございます」
 
嘉男さんは嬉しそうだ。
 
お父ちゃんは何か言いたそうにしているので、俺はきっぱり言った。
 「俺はね、自分に素直に生きるつもりだから」
 「そうか」
 「うん、心配しないで」
 
9時前になるとノックが聞こえる。
リハビリの先生か、嘉男さんの父親か、どっちだろう。
 「どうぞ」
 
声を掛けると、「失礼します、入りますよ」と言って、白衣を着た2人の人間が入ってきた。
クリニック・ボスと、もう1人は優しそうで頼りがいのありそうな感じの人だ。
 「おはようございます。リハビリマネージャーの福山博人です。宜しくお願いします」
 「おはようございます。桑田政行です、宜しくお願いします」
 
クリニック・ボスが声を掛けてくる。
 「ん、なんかすっきりした表情だね」
 「はい、吹っ切れました」
 「それは早いね」
 
嘉男さんが部屋から出ようとするが、俺は止めた。
 「所長も居て下さい」
 「でも……」
 「聞いて欲しい」
 
俺は、クリニックボスに向かって口を開いた。
 「俺、これからは自分に素直に生きてくつもりです」
 「そう。まずは測定器を付けさせてね」
 「あ、はい」
 
 「ん……、血圧に心拍は正常値だ」
 「先生」
 
2人の声が重なる。
 「なんですか?」
 「俺、今は自分の店をしているんです。店だけでも続けたい。だから、包丁で切ったりフライパン持ったりして作った料理を、皆に美味しいと言ってくれる料理を作りたいんです」
 
先に応じたのは博人先生だ。
 「そう、君はどんな料理が得意なの?」
 「よく作るのは和食だけど、中華も作るかな。得意とまではいかないけれど、デザートも作ってます」
 「何屋さんしてるの?」
 「朝は弁当屋だけど、12時から14時まではランチタイムでカレーライスや定食物です」
 
博人先生はクリニックボスを見ながら、くすくすっと笑いながら言っている。
 「目がキラキラと輝いてる。まるで昔の君みたいだね」
 「煩いっ」
 
お父ちゃんも声を挟んでくる。
 「そういえば、ボスの料理は上手いと評判だったな」
 
リハビリの先生は、俺に聞いてくる。
 「昨夜の食事はどうでした?」
 「食事?」
 「そう、タラバガニ」
 「美味しかったです」
 「それと、ダイエット定食」
 「最高でしたっ! あれ、でもどうして……」
 「ダイエット定食もそうだけど、日本料理はこいつが作ってるんだよ」と、リハビリの先生はクリニックボスを指差して『こいつ』呼びしている。

 「え、あのダイエット定食だけでなく、寿司やカニも?」
 
嘉男さんも挟んでくる。
 「最高に美味かったよな」
 
お父ちゃんも割って入ってくる。
 「政行、タラバガニって……」
 「本当に美味しかったよ」
 
お父ちゃんはクリニックボスに聞いていた。
 「もしかしてユウマか」
 「あいつは1年間分を送ってくれるからな。それを輸入してるだけだ」
 「北海道産のカニ、食いたい……」
 「酔っぱらいお父ちゃん、夜まで待ってね」
 
クリニック・ボスは言ってくる。
「それでは、私はこれで失礼します。後は、リハビリの先生とメニューを決めてやって下さいね」
「はい」
 
 
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