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『ヴィオレ・パルル』の男前二人 (6)

リーダーは俺に笑顔を向けて言ってくる。
 「アキの勝ちだね。でも、そうやって前髪をあげてると別人になるね」
 「え、そうかな?」
 「うん。コウタと並ぶ男前だよ」
 「コウタより俺の方が男前だよ、と言って欲しかったな」

そう言うと、誰かに殴られた。
 「ってぇなぁ…」
 「俺の方が男前度は上だよ」
コウタだ。
しかもニヤついてる。
 「で、あのウインクと投げキッスは誰に向かってしたんだ?」
コウタを睨み付けながら言い返してやる。
 「客に決まってるだろ。誰が、お前に向かってするものかっ」

で、前髪下ろすと言って、手櫛で前髪のセットを解す。
 「あーーっ!」
いきなりの大声で驚いた。
 「な、なんだよ、急に」
 「もったいねー…、これから本番なのに」
 「あのねえ、ベースが目立ってどうするの?」

今度はリーダーが言ってくる。
 「目立って良いと思うよ」
 「リーダーまで…」
挙句の果てには、こう言ってくる。
 「これで、俺以外は皆が男前だという事だね」


 「ところで、ケンは?」
 「そういえば、大人しいよね…」


キーボードのケンはマスターと何やらゴソゴソとしている。
 「ほい、セッティング終了~」

何のセッティングだと思って見てたら、ステージの方からヤジとか悲鳴が上がっている。
 「マサー、カッコイイ―」
 「マサのソロだー」


え、もしかして、それは…、さっきの映像なのか?
え、という事は…。
 「ケン、マスター、消してっ!」
 「ちょっと二人とも勝手に流さないでよねっ」
思惑は違うが、俺とマサは叫んでいた。

だけど、俺は思い付いたので言ってやる。
 「このマサの映像が終わったら、次にコウタがドラムのソロやって。
で、その後にケンのソロね。で、最後にリーダーのソロでよろしく」

 「で、アキは?」と、リーダーが。
 「もしかしてリーダーの後か?」と、コウタが。
 「目立つぞー」と、ケンが言ってきたので、その3人に返してやる。
 「俺はしないよ。決まってるでしょ」
皆がジッと見つめてくるので、仕方なく降参を示した。
 「分かったよ、分かりました。ケンの後でやれば良いんでしょっ」

マサは文句を言ってくる。
 「俺のソロは?」
 「映像で流れただろ」
 「やだなー…、あ、それならコウタの後でやる」

リーダーがすかさず締めてくる。
 「ドラムにギター、キーボードにベース、最後に俺か。
うん、良いね。それでいこうっ」



マサの映像が終わる前にコウタがドラムに座る。
段々と映像のボリュームが下ろされ、ドラムがソロを叩く。
その間にマサがギターを持ちスタンバイしてソロを。
そしてケンがスタンバイしキーボードでソロを。
俺もスタンバイしベースでソロを。
リーダーはエレキを掻き鳴らしながらステージへ上がってくる。


今迄は、こういうのはしなかったから新鮮だ。

そして、ドラムがカウントを取る。
 「ワン…、ツー…、ワン、ツー、1.2.3.4ーッ!」





3時間後、ライブが終わり反省会をする。
 「良いかい、アキとマサ。お前等は、本当に気が短いんだから。
もう、こんなバカげた喧嘩はするなよ」
そのリーダーの言葉に返す。
 「はい、ごめんなさい」


コウタが口を挟んでくる。
 「俺、途中からだから良く分からないんだけど。原因って何?」
その問いに答えたのはケンだ。
 「マサとアキ。どっちがファンが多いか、その言い合いだったんだ」
 「はあ?なにそれっ…」
リーダーが笑いながら応じてる。
 「二人とも変にプライド高いから、ならどっちが盛り上がるか対決だ!ってなって。
挙句の果てには、盛り上がりの少ない方がメンバー辞める、という事になったんだ」
 「なっ……」


 「で、どっちが少なかったっけ?ここを辞めるの?」
2人とも黙っている。
ので、リーダーは、もう一度聞いてくる。
 「ねえ、マサ。ここを辞めるの?」


コウタの呟きが聞こえてくる。
 「あほらし…、ガキの喧嘩かよ」












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まあ、この二人の職業柄、プライドの塊ですけどね。。。
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