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恐怖の夏…… (2)

この時期は、どこもかしこも暑い。
だが、夏生まれの友明は暑いのには慣れている。
春は桜を見に、日本一周した。
この夏は、ロシアで5日間を過ごし、長崎と福岡で2日間、東京で2日間を過ごした。
残す事、1日間だ。

スズメは帰省してるのか。
あいつを待つのは無理だな。
言っておいた筈だ。
 「10日間の休みで、11日後の午前中にパースへ戻る」と。

それに、勝手に付いて来たんだ。
恨むのなら、自分を恨めよ。

そう思ってる友明を乗せたジェットは、今度は函館に向かった。
函館に着くと、ユウマが迎えに来てくれてるのが目に映る。
 「お帰り」
 「ただいま。土産は後で渡すからな」
 「ありがとう」

ユウマの車に乗ると、博人さんが運転したいと言い出すが、それを素早く却下され、大人しく後部座席に押し込められてしまう。
ボスは、それをクスクスと笑って見てる。
そんなボスを見るのは初めてなので、ユウマは嬉しかった。
 「博人さんは、本当に運転魔なんだな」
 「北海道の道は飛ばしやすいからな」

30分もすると、ユウマ家に着いた。
牧場では、4人の姿が見える。
 「競馬ではないのに、4人とも乗りたがるんだよ」
 「楽しそうで良いな」
 「乗ってみる?」
 「良いのか?」
目がキラキラと輝いてるボスに、ダメとは言えなかった。

荷物を広間に置き、ユウマは二人を馬屋に連れて行く。
博人は、自分で鞍を乗せて跨る。
ボスはユウマに手伝って貰い、跨る。
 「へー…。視界が広いし、遠くまで見えるんだな」
 「ゆっくりと歩くから」
そう言うと、博人さんは馬の脇腹を蹴り、馬を走らせた。
 「あっ…」

 「ったく、暴れ野郎かよ」
ユウマの、その言葉にボスは笑ってる。
 「あははっ…。嬉しいんだろうな」
 「ボスも、慣れると走らせると良いよ。でも、最初は徒歩だからな」
 「はいはい」


馬と同化した博人は、4人の居る所まで走らせる。
いきなりの乱入に驚いたが、もしかしてボスも?と期待して見ると、ボスが馬に乗ってユウマが手綱を握っているのが見える。
思わず、ボスの方に行こうとしていた。
ら・・・、
いきなり馬が暴走しだした。
 「う、うわっ…。こら、待て。おい、乗ってるのは私だっ!!!!」

そう、博人の馬が先陣を切って走り出したから、他の馬も倣って走り出したのだ。
自分達の上に跨ってる人物を無視して走り出したのだ。

そして、肝心のボスが乗ってる馬も走り出そうとしてる。
が、ユウマが手綱をしっかりと握っている。
 「ドウドウ……。落ち着け、お前は走るな。歩くんだ、ある・・・、ってぇ」
その馬が、主であるユウマを蹴ったのだ。
その瞬間、手が緩み、馬は走る。
 「ボスッ!しっかり捕まっててっ!」
 「言われなくてもっ」


6頭が札幌から飛び出し、途中からユウマとタカが乗った馬も追いつき、8頭は帯広から釧路、根室へと走り出す。
辿り着いたのは、根室にある納沙布岬だ。
 「あー…、驚いた」とマサが。
 「ビックリしたよ、目の前をボスが馬に乗って走ってるんだから」とタカが。
 「ユウマ、ちゃんと調教しとけよ」とジュンヤが。
3人の言葉にユウマは、こう返した。
 「馬に言ってくれ」
ユタカはボスに声を掛けてる。 
 「ボス、お帰り」
 「ただいま。てか、乗馬だなんて初めてだよ」
その言葉に、サトルが言ってくる。
 「初めてで走らせるのか」


肝心の博人は、海の向こうを見ている。
太平洋を挟んだ向こうはアメリカだ。
 「でも、気持ち良いな」というボスの呟きが聞こえたのだろう。
誰かの言葉が返ってくる。
 「うん、そうだね。さっきまでの暑さが、どっかに吹き飛んでったな」

ユウマの声が聞こえてくる。
 「少し行った所に噴水がある。あそこで馬を休ませ水を飲ませよう」
その言葉で、皆は馬を進める。


 「博人さん?」
 「大丈夫だ。すっきりしたから、もう大丈夫だ」
 「本当に大丈夫なの?」
 「ああ、大丈夫だよ。悪かったな、急に走らせて」
自分の方を向いた博人の表情は、言葉通りすっきりとしていた。
 「でも、博人さんが馬に乗れるだなんて知らなかったな」
 「小さい頃は乗ってたぞ」
 「え、そうなの?」

ドイツに居たからな。
そういう呟きが聞こえ、友明はオーストラリアで馬を数頭飼おうかとも思いだした。
やっぱり、車より馬が良いなという呟きも聞こえてくる。
ので、言っていた。
 「それなら、パースで馬を数頭飼おうかな。でも、餌とか世話は乗る人がする事」
その言葉に博人は頷く。
 「それは良いな。ドイツに居た頃は毎日の様に世話をしていたから、白銀も良いが…、栗毛の元気一杯な奴が良いな。」
 
それを聞いていたユウマを除いた5人は、(え…!パースで馬を飼うのか?)と、もう馬はごりごりだと思っていたのを、ボスと博人は知らない。


しばらく休憩して、札幌のユウマ家に戻り着いたのは18時近くになっていた。
 「どーこーにー」
 「行ってたの?」
不機嫌そうな声と表情をしているのは、病院組のカズキとワンだ。
その二人に、ボスは応じる。
 「ただいま」

 「あ、お帰り」
 「土産を買ったんだ」
あ、先ずはこれな。と言って、先に手渡した先はユタカだった。
 「え、私が一番?」
 「うん、渡して欲しいと言われたんだ」
へえ、誰からなんだろ…とガサガサと包みを開けると、誰なのか分かった。
 「ちょ、これって…」
 「渡したからな」

そう、福岡の父親からの物だ。
あれから父とは会ってないし、会おうとは思ってなかった。
なのに、友明は会いに行ったんだな。

友明はユタカに渡すと、今度はロシア土産を皆に渡した。

で、口を開いてくる。
 「予定通り、明日の午前中にパースへ戻るからな」
 「Yes」

で、友明は一つをユウマに渡した。
 「これは?」
 「今、ここに居ないヤツに渡しといてくれ」

その言葉で、ピン!ときたのか、ユウマは言ってくる。
 「2,3日って言ってたんだけど」
 「明日の朝に戻ってくる、と確約ではないだろ?」
 「昨日の朝に帰省したから、明日の午前…は、どうだろう…」
 「なら、早くて、明日の夕方だな。あいつにもそうだが、言ってあるんだ。
10日間の休みだけど、11日目の午前中に帰る、とな」
 「明日、だね…」
 「ああ、そうだ」


うー、わぁ。
暑いのも嫌だけど、怪談話しも怖いのがあるけど…。
こういうのが、一番怖いよな。
御愁傷さま。
スズメ、そのまま新潟に居ろ。
それか、自費でパースに戻ってくるんだな。





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