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俺の気持ちはブレない 番外編 壱

 「政行。クロールのキャッチが弱いぞ。他は良いんだけどな…」
 「よし兄ちゃん、手本見せて」
 「仕方ないな…。」

ゴーグルを掛けると、高瀬はプールの浮きに足を引っかけ、スクロールの練習の姿勢を取る。
 「いいか、よく見ておけよ」
 「うん」


足首に痛みが走る。
だけど、この痛みを誰かに話そうと言う気は無い。
政行と呼ばれた桑田政行は、桑田コーポレーションのCEOの一人息子だ。

ここは、神奈川にあるプール付きの別荘。
住み込みで大学を卒業して、そのまま就職先も決まっている。
よし兄ちゃんと呼ばれた高瀬義昭は、この幼い政行の世話もしている。

数分ほど手本としてクロールのストロークをして見せると、政行は自分でやりだした。
ああ、さっきよりは良い感じだ。
そう見て取ると、高瀬は政行の足を浮きに掛けさす。
 「ん?」
 「ん、ではないよ。この方が練習しやすいだろ」
 「そうだね」
にこにことしている政行の顔を見てると、思い出したくない過去は自然と消えていく。


奥方の声が聞こえてくる。
 「義昭君、いつもご苦労様。政行も。あと20分で、晩御飯ですよー」

その声に、政行は直ぐに反応する。
 「あ、晩御飯だって。よし兄ちゃん、食べよう」
 「仕方ないな…。それじゃ、ダウンしてから上がるぞ」
 「はーい!」

二人して、10分間のダウンをする。
最後に水上にプカプカと浮かぶのだが、いつも政行は水上をあっちこっちに移動してしまう。
その様子を見ながら、高瀬は微笑みが出てしまう。
 「ほら、ダウン終了だ」
 「はーい」
 「ったく、お前は、どこまで行ってるんだ…」

てへへっ…と、舌を出し笑う政行は可愛い。
その後、二人して仲良く風呂場に直行する。
プールから風呂場に入ると、政行の声が聞こえる。
 「よし兄ちゃんの、お腹ってカッコイイね~」
 「当たり前だ。何歳だと思ってるんだ?」
当然ながら、風呂場で裸になった政行と義昭の会話だ。


そんな二人を奥方は微笑ましく見ている。
風呂場に向かったのを見届けて、今度はもう一人の人間に声を掛ける為ジムに向かう。
ジムからはプールが丸見えなので、プールでの風景や風呂場に向かう二人を見ていた。そこに居る人物は足音を聞きつけ、身体を動かしだす。
ガラガラッ…と、ドアが開く音が聞こえてくる。
 「利根君、ご飯出来るからね」
 「ありがとうございます」

利根君こと、利根川五右衛門はジムから風呂場に直行する。
裸になった利根川は、先に入ってる二人に声を掛ける。
 「俺も入るぞ」

その言葉に、先に入ってた二人は応える。
 「ほいほい」と、義昭が。
 「骨皮だー」と、政行が。

 「煩い。いい加減にしろよ、この坊ちゃんが」、と言いながら政行の頬を優しく抓ってやる。
あははっと笑いながら、痛くも無いのに政行は言ってしまう。
 「痛いよー、骨ちゃん」
 「誰が『骨ちゃん』だ。誰がっ!」

それを見てる高瀬も、つい言ってしまう。
 「骨皮は、本当に優しいよな」
 「煩いっ!お前まで、それ言うなっ」

ポカッと頭を小突かれた高瀬は、利根川に向かって笑ってる。
あはははっ…。

 「よし兄ちゃんのお腹もそうだけど、骨ちゃんのもカッコイイよねー」
 「そうか?」と先に応じたのは骨ちゃんだ。
 「どれどれ」と言いながら、よし兄ちゃんこと高瀬は骨皮もとい利根川の腹をなぞる。
 「お前ねっ」と言いながら、骨皮も高瀬の腹だけでなく胸もなぞってやる。
ビクッと身体が揺れ、高瀬は焦っている。
 「お前、そこは腹で無く胸だっ!」と言いながら、湯を利根川の頭の上から掛けてやる。

また、三人の笑い声がする。
あーははははっ…。

高瀬は思っていた。
利根川は、腹が割れており、さすがジムで鍛えた身体だよな。

利根川も思っていた。
こういう時は、素直に感じるんだな。良い身体をしてる。さすがスイマーだよな。



あの頃は楽しかった。
それが、東京に引っ越して数年後には、あそこは地震によって土地に飲み込まれてしまった。
良い遊び場であり、楽しい思い出しか残って無い。


それが、政行は高校に入ると、よし兄ではなく『高瀬』と呼び捨てにしてくれるし。
まあ、それでも慕ってくれるから良いか。


そんな高瀬を、利根川はジッと見ている。
我慢できず、つい呟いてしまう。
 「俺の方を見てくれ…。義昭、お前は、いつまであいつを見てるんだ………」



その後、利根川と高瀬は、自分達のボスである人物に見合いをセッティングされたが、その見合いに行ったのは高瀬だけだった。
高瀬は、見合いには行ったものの、ボスへの返事はこれだった。
 「まだ結婚する気はないです。ボスの顔を立てた、それだけです。
それに、政行坊ちゃんは母を亡くしたばかりなので、誰が世話をするのですか?
執事だけでは無理です!」

見合いの前日。
利根川は、ボスにはっきりと言っていた。
 「自分には好きな人がいます。結婚なんてしたくないし、この会社の駒にはなりたくない。
同じ、なるなら……。なるなら、駒を動かす人間になりたい!」


その言葉で、ボスは高瀬を自分の秘書に。
そして、利根川は30代という若さで、エリートコースの道へと、抜擢されたのだった。


ボスは、その二人には自分の家から出て貰い、マンションから通う事にさせたのだった。
高瀬は、政行の世話をしながら、仕事もして…。
ついには、第一秘書という位置を手にした。
少し遅れて、利根川は40歳過ぎて、専務という位置を手にしたのだった。

それでも、二人の心は昔と変わって無かった。
高瀬は、政行に。
利根川は、高瀬に。


肝心の政行は、よし兄と慕っていた高瀬ではなく、全く別人の嘉男に。
各々の心は向かっていた。


その事に、いち早く気付いたのは、骨ちゃん、骨皮五右衛門と呼ばれてた利根川だ。
これは…、高瀬を自分に振り向かせるチャンスがきた。
能無し坊ちゃんは、昔とは違う。
まあ、ある意味、変わってないけどな…。

あとは高瀬を、どの様にして振り向かせるかだ。
















 ~Fin.~




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