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俺の気持ちはブレない 第二部(21)

 『カレーの辛さで冒険しよう屋』がオープンして2週間。
出だしから売り上げは好調だ。
問題は、これからだな。


博人先生とクリニック・ボスが食べに来てくれた。
 「いらっしゃいませっ」
 
博人先生が応じてくれる。
 「私達は、明後日戻るから」
 「そうですか。戻られてもお元気で」
 「ありがとう」

そう用事が済んだのか、でも食べに来てくれて嬉しいな。
すると、大きな音と声が聞こえてきた。


バンッ!!
チリリンッ…。

 「お兄ちゃんっ、やっと見つけたっ!!」

お兄ちゃんって誰の事なんだろう?
そう思っていたら、その人は俺の目の前に立っている。
 「あ、あのお客様?」
 「お兄ちゃん、僕だよ、宗一。忘れたの?」
 「え…、宗一って、誰?」
 「お兄ちゃんの弟だよ」
 「俺の?」
うん、と頷いてくるが、俺は一人っ子だ。
なので、素直に言葉にする。
 
 「俺、一人っ子なので兄弟は居ないよ。誰かと間違えてるよ」
 「間違えてないっ。お兄ちゃん、約束してくれたでしょ」
 「お店の邪魔になるので」
 「僕の家が無いのはどうして?お母ちゃんは居なくても別に構わないけど、お兄ちゃんが居れば良いんだよ」
 「何の事を言ってるのか分からないんだけど…」
 「お兄ちゃん、パンケーキのお店を出すって言ってたよね?パンケーキでは無く、カレーのお店になってるじゃない」
 「あの?」


チリリンッ♪

ベルが鳴る。条件反射で口にしてしまう。
 「いらっしゃいませー」
 「花見弁当を6人分お願いしてた池谷です」
 「あ、はい。イケヤ様ですね。こちらになります」
 

 「お兄ちゃん、忙しそうだね。手伝ってあげるよ」
そう言うと、エプロンはどこ?と聞いてくる。
 「あ、あの、君…」

すると、違う声が割って入ってくる。
 「政行、そいつはあの女の子供だ」
 「え…」
顔を向けると、高瀬が3人の男と一緒に居た。
 「なんで…」
政行は高瀬の言葉を反芻していた。
(あの女の子供?あの女の…、子供…?)

やっと思い付いた。
 「ええっ…!あの女の子供?嘘っ、あの小さかった…」
その子は溜息を吐いて言ってくる。
 「何年も会ってないから直ぐには無理だろうなとは思ったけどね…。お兄ちゃん鈍い」
 
その子は、続けて言ってくる。
 「僕、大学3年生なんだ。春休みで家に帰るとここでは無く、自分の本当の父親の所に行けと言われたのだけど、意味が分からなかった。
お母ちゃんは再婚して妊娠してると言って、僕の事なんて相手にもしてくれなかった。
でも、僕はお兄ちゃんが居れば、それだけで良いの。
ねえ、お兄ちゃん。僕と一緒に居て」

政行はパニクッテいる。
 「あの…、俺、頭ん中、混乱してきた…」


高瀬はマイペースに注文してくる。
 「野菜ゴロゴロカレーを大盛りで」
 「たか…、大盛りですね」
高瀬に詳しい事を聞こうと思ったが、今は営業中なので話を諦めた政行に、他の3人も同様に注文してくる。
高瀬は、アドバイスしてくれる。
 「政行、そいつは桑田とは何の関係も無い。お前とは、全くの無関係の人間だ」
 「うん、それは分かってる」

高瀬の後ろに居た人が言ってくる。
 「能無し坊ちゃんとお会いするのは、随分と久しいが…。3年後のオリンピックに向けての練習はされてるのか?」
 「お宅は誰?」
 「…専務の秘書だ」
 「秘書に、そんな事を言う必要は無い」
 「ほう…、私を誰」

声が秘書の声を遮る。
 「御馳走様でした」
 「あ、ありが…、博人先生」
 「ん?」
 「その、今迄ありがとうございました」
 「いえいえ。これからは苦しみ悩んでいく期間が待ち受けてる。それをどのようにして切り抜けるかが、問題になってくるからね」
 「はい…」

クリニック・ボスが割って入ってくる。
 「良いかい?私は、自分の事を君に話せた時点で、一歩を踏み出せた。
君も、自分の事を話すと、一歩を踏み出せる。
自分が言いたい、伝えたい、分かって貰いたい。そういう気持ちになった時に話せば良い。
そこの厳つい秘書もどきに、今の時点で話す事では無い」

専務の秘書は、クリニック・ボスを睨み付けている。
 「誰が秘書もどきだと?」
 「違うか?私が思うに、あっちの2人が秘書で、君は専務だな。私なら、そう判断する」
 「何故、そう思うんだ?」
 「まずは、その態度と上から目線の喋り方。それに相手を卑下する言い方。
しかも、あっちの2人は新人と見て取れる。オタオタとしてるからな。一番先頭に居た眼鏡は秘書の先輩だな」
 「ふ…。あんたは誰だ?」
 「自分から先に名乗るもんだ」

クリニック・ボスと秘書もどき。
この二人の対決は見ものだ、と思っていたら高瀬の声が聞こえる。
 「そうですよ。その人は我が社の専務で、あっちの2人は、この春に入社してきた新人です」
その言葉に、政行は高瀬に聞いていた。
 「秘書もどきでなく、専務?」
 「そう、利根川が専務になったんだよ」
 「利根川…、トネガワって、あの骨皮五右衛門?」

ぷくくくっ…、と高瀬は笑い出す。
 「その呼び方を覚えてるのか…。そうだよ、その骨皮だよ」
骨皮と言われた専務は怒ってる。
 「高瀬、何を笑ってるんだっ」


クリニック・ボスと博人先生は店から出て行こうとしてるので、政行は駆け寄る。
 「あ、あのっ」
 
二人とも振り返ってくれたのが嬉しくて、政行は微笑んでいた。
 「あちらに戻っても、お元気で。また、日本に帰国した時は寄って下さいね。
色々とお世話になりました。本当に、ありがとうございました」
 
博人先生の声がする。
 「君なら大丈夫だよ。恋人に宜しく」
クリニック・ボスの声もする。
 「ドクストップ掛かって30年経つと、並大抵の事には動じなくなる。
自分の心に負けないで、強く自分を持つ事だな」
 「友のは、本当に言葉が難しいからな…」
 「分かったよ、子供相手に分かりやすく言えば良いんでしょ…」

クリニック・ボスは言い直してくれる。
 「泣きたい時は泣け。我慢しなくても良いんだ。
君は最初から一人では無い、側に居てくれる人が居る。
私と違うのは、その点だ。
その人に、自分の気持ちをぶつけるんだな。ぶつけることが出来ないのなら、気持ちが収まるまで泣くんだな。泣く事も出来ないのなら、誰かに愚痴れば良い。
時間だけが、唯一の薬だ」
連絡してくれれば出来る限り相談に乗るから。

 「はい。ありがとうございます」


本当に、この二人の言葉は俺の心に沁み込んでくる。
時間だけが唯一の薬。
そうかもしれない。
クリニック・ボス。
俺は、貴方の様に強くなりたい。


うん、俺は大丈夫だ。
俺の気持ちは、ブレない。



Hiroto_2_21.jpg



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Comment

No title
編集
私の場合、泣く時の必需品のひとつ、玉ねぎ。
ストレス発散の一つは草むしり。 もしくは猫をがしがし(毛が抜ける~♪)。
でなければ、ゴキをバシッ! バシッ!
そうそう、今朝の新聞で、「ごきぶりも、綺麗な声で鳴いたら叩かれなくて済んだかも」なんて意味のコラムを読みました。
まあねぇ、こおろぎも似てる、っていえばそうだけど・・(苦笑)。
愚痴は・・車内カラオケ、かな?

政行、あなたを中心に輪がいくつも交わってる。 この、新しい’専務の輪’からはトラブルの匂いがするんだけど。。

2016年06月22日(Wed) 10:20
Re: No title
編集
ますみさん

玉ねぎは、よく聞きます
涙を促す何かが入ってるんですよね
草むしりも分かります。

で、ゴ・・ゴキ、ですか?
私には、出来ないです
(((((((((((((ーー;) さささっ・・・

ゴキ相手だと、逃げちゃいます(-_-;)

何ですか、そのコラム。
ゴキが鳴く?
いいえ、まだコオロギの方が良い!!


政行の周りには、色んな輪があります。
友明との輪。
そう、この専務との輪。
この専務、実は…………


何時になるか分かりませんが、お楽しみに(・∀・)ニヤニヤ

2016年06月23日(Thu) 09:52












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