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俺の気持ちはブレない 第二部(20)

可愛い子というか、男性が真っ先にキッチンカウンターに駆け寄ってくる。
 「悟さん、セルフサービスですよ。自分でして下さいね」
その言葉に、昌平が声を掛ける。
 「優ちゃん、ここのおでんは良い味を出してるよ」
 「本当ですか?おでん大好きっ」
優ちゃんと呼ばれた可愛い男性は一串を皿に取り、口に含んだ。
 「こらっ。優介、行儀悪いよ」
 「ふふっ…。美味しい」

3人はカレーとおでんを注文して食べてくれている。
先程、悟さんと呼ばれた人がこんにゃくを食べながら、感想をポロッと口にしてくれる。
 「ん、このこんにゃく美味い」
 「こんにゃくって、味付かないでしょ?」
 「切り方によりけりだよ」
 「そうなの?」
 「よく見てご覧。包丁で無く、スプーンで切り取られてるのが分かる?」
 「え…、あ、本当だ」
 「こんにゃくは味が付かないのでは無く、付きにくい物なの。でも、スプーンや手で千切ると味は付くんだよ。どうしてだか分かる?」

昌平はウンザリ顔になってる。
 「やれやれ、久しぶりに悟のうんちくか…」

優介は悟に話し掛けてる。
 「でも、聞いた事あるよ」
 「包丁は繊維を綺麗にスパッと切ってくれるからね。それよりもスプーンや手で千切る方が味が染みやすいんだ。
こんにゃくに味を付けるのは千切り方と包丁の入れ具合だね」
 「友兄も、隠し包丁を入れてるしね」
 「こら、友兄ではなく、ボスと呼ぶもんだ。ったく、何千回言わせれば気が済むんだ…」

でも、優介はどこ吹く風の表情で無視してくれる。
 「でも、なんでこんにゃくをおでんの具に入れるの?」
 「優介は、そんな事も知らずに作ってるのか?」
 「え…、だって意味なんて無いでしょ?」

あのね…、と溜息を吐いて、悟は話す。
 「何事にも意味はあるんだよ。この、こんにゃくを例にするよ。
ノンカロリーの代名詞とも呼ばれている食べ物で、植物繊維を豊富に含み、身体の余分なカロリーを掃除してくれる。
ノンカロリーと言えば、寒天もそうだね。だけど、この二つは違う食材で、役目も違う。
それに、おでんとは高カロリーな食材を使用するのが殆どだ。
高カロリーな物を食べ続けていたら、昌平みたいなデブになる。だから、こんにゃくは必要なんだよ。カロリーを抑えてくれるからね」

その言葉にムカついた昌平は話に乗ってくる。
 「優ちゃん、分かりやすく通訳してあげよう」
 「はい、助かりますっ」
 「悟と優ちゃんみたいな関係の事を言うんだよ」
 「どういう意味ですか?」
 「喧嘩しながら、笑い合いながら、エッチな事をしながら」

ガチャンッ…。
 「し、失礼しました…」
危ない、3人の話を聞いていたら、手が滑ってしまった。


昌平は続けてる。
 「色んな出会いや出来事でミスをしても、この御つゆというエッセンスが、ジャガイモや肉や玉子やこんにゃくや大根を彩っていくんだ」
 「昌平、何を言ってるんだ。益々、分からない…」

だが、優介の顔は、瞳はキラキラと輝いてる。
 「なるほど。出会うべき仲間であり、一緒になる恋人なんですねっ」
 「そうだよ。一緒に居るけど、家族では無いんだ」
 「それなら、昌平さんと悟さんと俺達みたいな関係ですね」

その言葉に二人の声が重なる。
 「「 どういう意味? 」」
 「友に…、あー、ボスという御つゆで、エッセンスで繋がってる」


ぶわはははっ…。
昌平は笑い出す。
 「ボ、ボスを、ボスをエッセンスにするか……。あはははっ…」
悟は苦笑している。
 「ボスをエッセンスにして欲しくは無い。
だけど、優介。君が私達の所に来たのは、君の意思だ。君の言葉で、ボスは動いたんだよ。
忘れないで欲しい。ボスにとって君は大事な人だ」

優介は口を尖らせている。
 「そりゃ、言葉は悪いかもしれないけど…」
 「大丈夫だよ、拗ね坊さん。言いたい事は分かるから」
悟は、そんな優介の鼻の頭を小突いてる。

腹を抱えて笑い転げている昌平を見て、政行は自然と笑顔になっていた。


政行は、冷蔵庫から出来たばかりの物を持って行く。
 「あの…」
 「はい?」
 「これ、出来たばかりで試食して感想頂きたいのですが、良いでしょうか?」
 「嬉しいっ!頂きますっ」


優ちゃん、優介と呼ばれてる人は、パクッとスプーンを口に含むと、キラキラと瞳を輝かせると、一気に齧り付く様に食べてくれる。
もしかして、その人は一人で食べきるつもりなのか…。
俺、3人分のスプーンを渡したのだけど。


 「ちょ、ちょっと優介っ!お前ね、それ食べ過ぎっ」
 「まだ…」
その二人はヨーグルトプリンが入ってるボールの取り合いをしている。
 「何がまだだよ。ほら、今度は私」
 「えー、もうちょっと」
 「だめっ!」
自分の脇でしっかりと挟み込んだボールを誰にも取られないようにホールドして食べてる。
 「お、上手いっ」

 「ちょっと、そこのお二人さん。年寄りにも食べさせてやろうという気は」
 「ないねっ」
 「悟、お前はー…」
だが、優介の言葉はこれだ。
 「どこに年寄りが居るの?」
 「優ちゃんが、そんな事を言うなんて…。パースに行ったからなのか?そうなんだな。
優ちゃん、いや、優介。
お前はこのまま日本に居なさいっ!今一度、言葉の躾をし直してやるっ」
 
 「ボスの子供の相手をしてるからね。あの子も言うからな」
 「うん、あの子と居ると楽しいよ」




「こんにゃく」という一つの食材で、ここまで幅広い話が聞けるものなのか。
政行は、心の中が温まる思いを感じていた。
ところで、パースに居たの?
ああ、観光しなかったから分からないな…。


視線を感じる。
そっちに顔を向けると、まだ高瀬が居た。
高瀬は黙ったまま政行を見つめているので無視してやる。
もう、何も言う事は無い。




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