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俺の気持ちはブレない 第二部(19)

そして次の日。

18時過ぎると、高瀬が来た。
 「高瀬?なんで…」
 「何回か来たのだけどリフォーム中だったから。その内にオープン日が書かれて…。
昨日来たんだけど、多くて入れなかった」
 「昨日は73人も食べに来てくれたんだ」
 「最初は物珍しさもあるからな」
 「うん、そうだね。それに持ち帰りメニューも作ったんだ。だけど、今日は完売したんだ」


高瀬は真面目な顔をして言ってくる。
 「政行。俺の気持ちは変わらない」
 「何の事?」
 「俺は、お前が好きだ。一度、お前を抱いたが…。お前は『俺が欲しい』と言ってくれた。
あれから放っておいた結果となったが、俺は忘れてない。政行、俺は」
だが、遮ってやる。
 「俺は、好きな人が居る」
 「お前を10年も放っておいたのは謝るよ。だから浮気されても文句は言えない」
 「高瀬、何か誤解してない?」
 「してないよ」
 「いや、してるよ。俺は高瀬の事は何とも思ってないから」
 「嘘だ」
 「嘘では無い」
 「なら、どうして俺に抱かれた?」
 「抱かれた覚えは無い。俺には」
 
今度は、高瀬が遮ってくれる。
 「俺に抱かれ、お前は俺に言ったんだ。俺が欲しい、と」
 「だから、言った覚えは無いと言ってるんだ」
 「でも、あの時は」
 「煩いっ!人の話を聞けっ」

バンッ!
と、シンクを叩き高瀬を黙らせる。

 「大学を卒業して13年間、俺は嘉男さんを見てきた。高瀬では無い。
俺は、嘉男さんが好きなんだ。」
 「嘘だ…」
 「色んな事があった。でも、その度に俺は嘉男さんに側に居て欲しかった。
高瀬では無い、嘉男さんだけだっ」

高瀬は黙ったまま突っ立って帰ろうとしないので、政行は溜息を吐いて口を開く。
 「分かった。高瀬に、俺の気持ちを言う」

深呼吸をして政行は口を開いた。
 「俺は、高校生だった頃は高瀬が好きだった」
 「え…」
 「高瀬を目標に、理想にしていた。高瀬をお兄ちゃん呼びしなくなったのは、高瀬が好きだったからだ。でも、高瀬は違っていた。俺に言ってくるのはメダルの事だけ。
挙句の果てには見合いしたよね?あの現場を見てショックだった。
高瀬は、やっぱり俺の事を見てくれてないんだと…」
 「見合いって、1回しかしてないぞ」
 「俺には、その1回で十分なダメージだったんだ。
大学入って、高瀬の事を忘れようとして、アメリカやカナダに行っていた。会いたくなかったから。
4年生にもなると就職の事を考えないといけない時期で、それでもあの女にことごとく邪魔されたけど、それでも就職先は見つかった。お父ちゃんにしか知らせなかった。でも、お父ちゃんは誰にも言ってなかったみたいだね。高瀬も知らなかったみたいだし」
 「まさか、ボスは知っていたのか…。最初から?」
 「そうだよ。何処に住んで、何をしているのかもね」
 「ニューヨークで会ったのは…」
 「あれは偶然だよ」


あと、これも言っておかないとと思って、もう一度口を開く。
 「ねえ、高瀬。俺はドクターストップを掛けられている。もう二度と泳ぐ事も出来なければ、運動出来ない身体になったんだ。オリンピックだなんて、もう手の届かない世界になったんだ」
 「詳しい事を教えろ。俺は、この目で見た事しか信じないぞ」
 「あの時、高瀬も居たでしょ?それに、俺は好きでもない奴に身体を見せるつもりは無い」
 「政行」
 「これだけは言っておくよ。俺は、高瀬が好きだった。でも、それは叶わぬ片思いのまま、失恋した。目標と理想は高瀬だったけれど、今は違う…」
涙が出そうになるが、構わずきっぱりと言い切る。
 「俺は、博人先生みたいに温かくて大きい掌を持つ人間になって…、クリニック・ボスみたいにドクターストップ掛かっても自分を卑下する事の無い人間になりたい。そう思ってるんだ。
あの二人は、俺を一人の人間として見てくれてる」


口調を変えて政行は高瀬に言う。
 「ねえ、高瀬。こんにゃくは、どうしておでんの具に入れると思う?」
 「こんにゃく?」
 「うん。はい、一串サービスしてあげる。どうぞ」
こんにゃくを一串、皿に盛ると、高瀬に渡す。
高瀬は、こんにゃくを口に含んで食べていく。食べきったのを見計らい、政行は再び聞く。
 「分かる?こんにゃくの意味」
 「意味なんて無いと思うぞ」
 「なら、どうしておでんの具に入れるの?」
 「それを俺に聞く?」
 「うん」と頷き返事を待っている政行に、高瀬は一抹の不安を感じた。
 
 「昔から入ってたんだろ。それを今も受け継いでるだけだと思うぞ」
 「高瀬は、そんな風に思ってるのか」
 「それじゃ、政行はどうしてだと思うんだ?」

待ってました、と言わんばかりに政行は応じる。
 「こんにゃくはカロリーがないけど、食物繊維というのは多量に含まれてる。それは、便通をよくする物で、余分なカロリーを吸収して体外に排出してくれる。
たくさん食べれば良いという事では無い。それに、ダイエットする為に野菜しか食べないという事では身体のバランスが取れない。丁度良いという言葉があるように、さじ加減が必要なんだ。
食べ物に限らず、不必要な物はこの世には無いんだ。」
 
友明の言葉を、そっくりそのままパクっていた。


高瀬は憮然としたままだ。
 「…何が言いたいんだ」
 「客としてなら歓迎する。だけど、それ以外では来ないで欲しい」
 「どうして?」
 「さっきも言った様に、俺は好きな人が居る。その人と一緒に暮らしてるんだ」
 「なっ……」
 「俺は、お父ちゃんの会社を継ぐつもりはこれっぽっちも無い。
お父ちゃんは、帰って来いとも何とも言わなかった。だけど、俺は2ヶ月間、家に居たんだ。
でも、お父ちゃんとの会話は無かった。それは、お互いがお互いを必要としてなく、家族というものが機能してないという証拠だ。」
 「俺は、お前を必要としてる」
 「俺が高瀬を必要としていた時期は、既に通り過ぎた。もう過去の事だ」
 「まさゆ…」
 「高瀬、今迄ありがとう。俺はブレない。それに、ドクターストップ掛かった人間にしか、俺の気持ちは分からない」
 「政行、俺だってドクターストップ掛かった人間だっ」
 「でも、俺とは違うだろう?」


どのぐらいの時間、睨みあっていたのだろう。
電話が鳴る。
 「はい、いつもありがとうございます。『カレーの辛さで」
 
明るい声が遮ってくる。
 『は~い、昌平です。政行君、先日は御馳走様でした』
 「こちらこそ、ありがとうございました」
 『もう少しで、そっちに着くんだけど…。3人で行くので、リザーブよろしくねっ』
 「キッチン寄りのテーブル席で良いですか?」
 『うん、良いよ』
 「分かりました、お待ちしています」
 『よろしくね~』


政行はリザーブの札を置く。
昌平って誰だっけ…?



少し待つと、ドアベルが鳴る。
チリリンッ♪

 「いらっしゃいませ」
 「先程電話した者でーす」

その顔を見て、政行は思い出した。
 「あ、思い出した。クリニック・ボスと、おでんを食べてた人だ」
 「お、顔見て思い出してくれたんだ?嬉しいな」



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