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俺の気持ちはブレない 第二部(9)

政行に追いついた友明は話していた。
大学卒業して事故に遭い、ドクターストップを掛けられて、スポーツが出来ない身体である事を。
そう、自分の経験を話していたのだ。

政行は驚いてる。
 「え?」
 「ドクターストップとは、そういうものだよ。軽く考えない方が良い。
それと、エドの病院で受けた検査結果が届いたよ。後で教えてあげるね」

友明は口調を変えて言ってくる。
 「ところで、君は上司である所長と恋人同士なのかな?」
 「な、なんで…」
 「見てると分かるよ」

その言葉に政行の顔は赤くなる。
 「お父ちゃんには、言ってないんだ」
 「別に言わなくても良いと思うよ。君が上司の事をどんな風に思っているのか。また、彼がどんな風に君を見てるか。それによって、君の努力も変わってくる」
 「それは、どういう意味ですか?」
 「リハビリとは、自分との戦いだ。だけど、手助けをしてくれる人が一人でも居ると大いに助かる。
物理的だけではなく、精神的にもね」

政行は黙って聞いてる。
 「例えば…、どちらかが、どちらかの住んでいる所に引っ越すという手もある」
思い当たる言葉だ。
 「俺、昨日、それに近い事を言われた」
 「なんて言われたの?」
 「同じマンションで、俺は1階に住んでるのだけど、所長は最上階なんだ。昨日、所長が言ってくれたのは、1階に降りる。俺の隣の部屋に引っ越して、キッチン部分の壁を壊して隣の部屋とくっ付けて広くする、って」 
 「それはまた嬉しい言葉を言ってくれたんだね」
 「はい、嬉しくて涙が出てきました」
 「君はどうしたいの?」
 「俺は一緒に居たい」
 「君に一番必要なのは、側に居て手を差し伸べてくれる人の存在だよ」
 「はい」



友明は、博人の事を思い乍ら政行に話していた。
 「人間は、誰しもが通る道なんだよ。それが早くなるか遅くなるかの違いだ。
だけど、これだけは分かって欲しい。
私の顔と、君の筋肉。これは大いに違う。
顔は整形すれば良いけれど、筋肉は治す事は出来ない。
私は、君のお父さんの気持ちも分かるよ。
でもね、お金が全てでは無いんだ。お金で解決出来る事なら、いくらでも出して欲しい。
でも、人の心だけは、無理なんだ。こればかりは、当人しか出来ない事なんだ…」

政行は聞いてくる。
 「クリニック・ボスはどんな気持ちだったのですか?」
 「私も悩んだよ。ただ、君と違って私は入院中に心臓が止まった。一度、死んだんだ」
 「え……」
 「それを、母が生き返らせてくれた」

政行は、つい口にしていた。
 「マザコンだったんですね」

ポンッ!と小突かれた。
 「いっ…」
 「マザコンでは無い。ただ、母が好きなだけだ」
(それを、世間ではマザコンと言います)
政行は口に出さずに、心の中で言っていた。

グリグリと政行の頭を小突きながら友明は話す。
 「一度、君の恋人と話がしたいな」
 「あのぉ…、痛いです」


すっきり顔した政行とクリニックに戻ると、病室には政行の上司が留守番していた。
無理矢理に政行と嘉男の2人を布団に潜らせる。
どこをどうやったら、二人の成人男性の動きを止めて軽々と抱きかかえられるのだろうか。
クリニック・ボスは不思議な人だな。



友明は裏口から喫茶に入ると皆が集まってるのを目にし、行先を中華店にする。
中華店でランチを食べて本宅に戻ると、出掛けようとしている博人と玄関ポーチで鉢合わせる。
 「友、お帰り」
 「ただいま。あの子は病室に居るよ」
 「少し早いけど、病室に行こうかなと思ってたんだ」
 「ねえ、博人さん。あの子の上司と話がしたいんだ。リハビリの事についてどう思ってるのか聞いといてくれますか?」
 「あの二人は仲の良い恋人という感じだよね。初々しいし…」

ホクホク顔で言ってくれる博人に、友明は呟いてる。
 「はいはい、どうせ初々しくないですよ」

後ろから抱きしめられる。
 「嫉妬かな?」
 「な、誰が?」
 「ヤキモチかな?」
 「言葉の意味を考えて言ってっ!で、とっとと行ってらっしゃい」


本宅から外に出ると、博人は思わず口にしていた。
 「友にとっても、良い機会だな。母親の事、ドクターストップの事を他人に話せる様になって、私は嬉しいよ。少しでも気持ち的に軽くなるからな。その点は、あの子に感謝だな」


あとは、シンガポールでの、あの事だけだ。
だけど、それだけは簡単に他人には言えない事だ。


桑田耕平さん。
貴方の気持ちは分かりますよ。
ただ、これだけは言わせて欲しい。
当人は前を向いて生きていくことを決めている。それを阻止する事は出来ない。
子供は、親の道具では無いからだ。
あの連中に色々と言われていたけれど、私は違う。
ただ、言いたくないだけだ。
もし、私がプライベートな事を話してればどうしてた?
恐らく、媚びてくるだろう。
そんなタイプの人間に見える。

それに、人間は金では動かないんだ。
金で動く人間は、日本人だろうがドイツ人だろうがは関係ない。
あんな人間にはなるな、と教えられてきたんだ。

その時、ふと思いたつ。
まるで、マルクみたいな人だな。
環境は多少似ているみたいだが、マルクだと思って接していれば良いのか。
でも、マルクとは違って、人殺しはしない優しい人だけどね。

その自分の考えを目の前に居る銀髪碧眼の持ち主に言うと、溜息を吐かれてしまった。
 「ったく、よりにもよって…。あのイギリス坊やと同じだって?」
まあ、似てると言えば似てる節はあるけど……。


博人は、エドがボスをしているスペシャル病院での検査結果通知を持って、病棟に向かう。

骨が肉に挟まれていて動かないだけだ。
その事を政行と父親に話し、承諾書のサインを書いて貰った。
肉の塊をこそげ取り、骨を定位置に戻すオペだ。
所要時間は約3時間。
それでも、リハビリは必要だ。



そして、1ヶ月後。
政行は退院して日本に帰国した。

迎車が止まってるのを目にした政行の父は、車に乗り込む。
もう一台は新田家の迎車らしい。

政行は迷っている。
誰かの手が、政行の右手に触れて握ってくる。
右手の方に目をやると嘉男さんだ。
 「所長…」
 「仕事場に戻るぞ」
 「え?」

あっち、と左手に向く様に言われ顔を向けると、4台ほど離れた所にはスポーツジムの社用車が停車していた。サガミコーチが手を振っている。
 「二人とも、お帰りなさーい」

嘉男は聞いてくる。
 「どれに乗りたい?」
政行は即答していた。
 「スポーツジムの車」
 「なら、仕事だな」

1ヶ月ぶりの日本。
オーストラリアは冬で寒かったが、日本は温かい。冬服を着たままだから暑く感じるのもあるが、やはり南半球とは違うなと感じた政行だった。
そんな政行と所長である嘉男を乗せた車は、飛行場を後にして仕事場に向かった。



所長の父親は、後ろの車に近付く。
 「モグラ君。お前は、私の敵でもなければ味方でもない。
金で解決しようとした結果が、これだよ。
子供は、いずれ巣立つ。手を差し伸べて欲しいと言われた時に差し伸べれば良いんだよ。
じゃ、な」

それは、あの医学部連中に言われた言葉よりも簡潔な言葉だった。
大学の4年間、ずっと一緒に居た。裏表のない能天気だが開けぴろっけで男女問わず人気者だった。5人の内で、こいつだけが医学部によく顔を出していた。
そして、5人の内で最初に結婚したのは、この新田だ。
次いで元宗に宮田、そして自分に、最後に松井。
それでも、皆が皆、学生結婚だった。


桑田耕平は、運転手に行先の変更を告げた。
どちらにしろ、政行は居ない。家に帰っても一人だ。
執事には悪いが、仕事をする方が気が楽だ。


ブブブ……。
カバンの中で、スマホが鳴る。
着信の相手は執事だ。
溜息を吐いて電話に出る。
 「悪いが会社に向かっている。政行も自分の仕事場に戻った。親子そろって仕事の虫だよ」

執事には何も言わせずに、電話を切る。
耕平は呟いていた。
ほんとに親子そろって仕事虫だな…。






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政行にまで言われた「マザコン」言葉。
友って、やっぱりマザコンなんだね
(*≧m≦*)ププッ

そして…、日本に帰って来た政行。
(〃・ω・ノ)ノ オカエリー♪♪
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