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俺の気持ちはブレない 第二部(6)

翌日、朝9時にリハビリの博人先生が病室に来る。
 「おはようございます。気分は如何ですか?」
 「おはようございます。先生、俺の指針決まりました」
 「指針ですか?」
 「はい。俺は自分の夢を叶えてるので、それに向けて左腕を動かしたいんです。着替えたり掃除したり皿を洗ったりと。その為のリハビリをしたいです」
 「動かすという事は、自分の意思で、という事になります。それは脳から各身体の機能へ信号を出し、それが動作に繋がります。それに、日本に帰ってからもリハビリは続きます」
 「はい、覚悟は出来てます」
 「君の主治医の病院はどこですか?もしくは担当医を教えて下さい」


俺はアサミコーチの兄が院長をしている病院名を教えた。
 「そこって、清水龍牙先生の病院?」
え、清水龍牙っていう名前は知らないので、診察券を出そうとしたら財布の中身をばら撒けてしまった。博人先生は、布団の上に、それらを綺麗に並べてくれる。
診察券を手にして、先生は言ってくる。
 「私は、ここに連絡します。君はゆっくりで良いので、自分で財布の中にしまって下さい」
そうだね、自分の持ち物だし、自分でばら撒いちゃったからな。

その先生は、テレビ画面をオンにして診察券を見ながら電話している。
へえ…、画期的なテレビだな。

 『はい?』
 「こちら、パースの福山と申します。清水龍牙先生は、御在宅でしょうか?」
 『父に、どの様なご用件でしょうか?』
 「昔、龍牙先生に指南して頂きました。福山博人だと伝えて貰えないでしょうか?」
 『あの…、 
―どけっ
 痛ぇな…、ちょっと、おと 
―博人様、ご無沙汰しております。お元気な御様子、亡き父上もお喜びの事でしょう』
 「うん…、龍牙先生、リハビリについてお聞きしたいのですが」
 『リハビリ、ですか?』
 「今、パースで、そちらの診察券を持っている患者さんをリハビリしています。1ヶ月後には日本に帰国するので、リハビリセンター等の事を教えて頂けたらと思いまして、連絡したのです」
 『お任せください。博人様のお願いの仕方は、昔より可愛くなっておりますな。
して、患者のお名前は?』
 「桑田政行さんです」
 『桑田政行さんですね。
―あれ、アサミと同じジムの…、てぇな、クソ親父っ
畏まりました。3日ほどお時間下さい。調べておきます』
 「よろしく」


賑やかな電話が終わり、リハビリの先生って何者なんだろう。
さっきのは院長先生と、引退したって言われてた院長先生のお父さんだ。

そして、3日後。
博人先生は日本に連絡した。
 『はい、あ、博人様、丁度良かった。10分程前に帰宅したばかりです。
私達が仕事をしていた場所に、リハビリセンターが出来ております。
設備とか院内を見てきました。最新設備で…』
 「ちょっと待った。場所は?」
 『先程申し上げましたよ、私達が仕事をしていた場所だと』
 「それって、まさか…」
 『はい、そのまさかです。』
 「あそこの土地はお爺様のだ。勝手には」
 『もちろん、調べました。名義は福山博人と福山友明の連名になってます』
 「嘘っ」
 『ただし、代理人名は今泉龍三になっております。ご存知ですか?』
 「え、龍三?あんのクソ爺…、人に黙って勝手な事をしてポックリ逝きやがって…。
龍三も龍三だ、教えんかい…」

 『はははっ…、博人様は、そちらで仕事をされて人間らしくなられましたね』
 「どういう意味だ…」
 『ご存知でしたか?あの頃は鉄仮面のクールボスだった。それが感情を露わに出してる。
とても良い事です』

溜息を吐いて、博人は電話を終わらせようと口を開いた。
 「その資料をPDFにしてこっちへメールしてくれ。私があっちに連絡する」
 『はい、畏まりました』



電話が終わると、博人先生は大きな溜息を吐いて何か考え込んでいる。
少し経つと、先生は俺の方を向いて言ってくる。
俺にはハテナだったが、お父ちゃんは、その名称のリハビリセンターに心当たりがあるみたいだ。
 「あそこの責任者はドイツ人と日」
お父ちゃんが言ってるのに、博人先生は俺に向かって言ってくれる。
 「それでは、都内の中心部にリハビリセンターが在る様なので、帰国したら行って下さいね」
 「はい、分かりました」


 「で、先程のお金は財布に入れられましたか?」
 「はい、なんとかですが…」
それでは、もう一度。
そう言って、博人先生は手を出してくる。
何のことか分からず、その手を握ってしまう。
苦笑しながら先生は言ってくる。
 「違いますよ。もう一度財布を出して下さい」
 「どうしてですか?」
 「どちらにしろ、お金は触る機会が多いと思います。だからカードや札や小銭をばら撒いて、それを今度は左手で掴む様に努力して下さい。
手を動かしたいのでしょう?何かを掴むのもリハビリです」
 「さっきは右手で入れたんです」
 「ですよね?だから、今度は左手です」


ばら撒くのは簡単だ。
博人先生の声がする。
 「にらめっこしても無理ですよ。まあ、君が念力を送って財布に入れられるなら別ですけどね」
思わず笑っていた。
 「それは無理です。念力なんて送れないです」
 「うん、やっと笑ったね。私の遣り方は喜怒哀楽を顔に出す事を大事としています。
泣きたい時は思いっきり泣けば良いんです。泣いたら濡れるのは物の道理。もし濡れたら、拭くなり洗って乾かせば良いだけの事。OK?」
 「はい、ありがとうございます」

そして、博人先生は病室を後にした。


なんか気が楽になれる言葉を貰った。
政行は緊張がほどけ、心からリラックスしているのを感じた。
ここに来て良かった。
それに、先程握った先生の掌は大きくてがっしりとしていたけど、優しくて温かかった。
リハビリもしているが、本業は医者か。
うん、なんか頷ける。



お父ちゃんの声がする。
 「さっきの福山博人だと言ってたよな。どの様な人物なのか調べていたのだけど、データにアクセス出来なくて困っていたんだが…。さっきの電話のやり取りも気になるから調べ直す」
 「やめて」
 「なんでだ?」
 「話をしていたら分かるよ。リハビリの先生は悪い先生では無い」
 「データにアクセス出来ないんだ。モグリの医者かもしれないんだ」
 「クリニック・ボスのデータにもアクセス出来ないの?でも、それは関係ないよ」
 「ボスの事は知ってる。同じ大学で、医学部10人は有名だったんだから。
だけど、あの男は……。もう1回調べ直してくる」
 「なら、お父ちゃんが話をすれば良いのでは?俺は、あの先生を信じる」
 「政行…」
 「データだけで、人の良し悪しを決めつけるのは止めてよね」


お父ちゃんは黙って病室から出て行った。
政行は呟いてる。
 「どうせ朝っぱらから酒だろ。酔いつぶれて寝てしまえっ」

でも、誰かが居ないと着替えも出来なければ食事も出来ない。
嘉男さんを呼ぼう。
嘉男さんが居てくれて、本当に良かった。



耕平はリハビリの先生を呼び止める。
 「先生、話があるのだが」
 「申し訳ないですが、昼からにして貰えませんか?」
 「それでは昼に」
 「はい、お願いします」





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