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俺の気持ちはブレない 第二部(2)

翌日、朝9時になると政行は父と共にクリニックに向かい、診察等諸々を受けた。
昼食を挟んで、今度はスペシャル病院へ行く。
戻って来たのは17時前だった。
その頃には、クリニックでの診断結果が出ていた。
政行は父と共に病室で待っていた。

トントン…、とノックがあり「入ります」と声が掛かる。

ここの病室にはテレビが置かれてあり、ボスは持って来たファイルをセットしている。
 「はっきりと申し上げるのと、オブラートに包むのと、どちらが良いですか?」
政行は迷ったが、父の方が早かった。
 「はっきりと言って欲しい」
 「分かりました」

ボスは政行を見てるので、頷く。
 「それでは、申し上げます。結果としてはドクターストップを掛けさせて貰います。
アスリートで生きた道を閉ざすことになるけれど、水泳の様な運動は出来ないです。
こちらの画面を見て下さい」
テレビに目をやると、午前中に撮ったフィルムを何枚か見せて説明してくれるが、医療用語も多少あり少し分かり辛い。そんな政行の思惑が通じたのか、今度はざっくばらんに説明してくれる。
なるほど、自由形、背泳、バタフライは泳げないのか。
平泳ぎも…。
それを聞いて涙が出そうになるが我慢する。
ボスは言ってくる。
 「泣けるのなら泣いた方が良い。泣けたら、そこから一歩踏み出せることが出来るから」
ボスは政行の顔を見て言ってくる。
 「政行君、君はこれからどうしたい?その事を教えて欲しい」
 「それって、泳ぐのを諦めるかどうかという事ですか?」
 「泳ぐ事は出来ない身体になったんだ。私が言ってるのは、泳ぎを後輩に教え育成する為に、今の仕事を続けていくのか。それとも、違う仕事を見つけるか。それとも、少しの間、何もせず自由気儘に過ごすか。今すぐでなくて良いから、退院するまで答えが出たら教えて欲しい」
 「はい…、考えておきます」
 「うん、明日の午前中はリハビリマネージャーが来るから、その時にリハビリのメニューを一緒に考えていこう」


それまで黙っていた父は口を開いた。
 「なんで明日なんだ?」
 「リハビリの指導者も忙しいんです」
 「それならっ」
 「桑田さん、貴方の気持ちは分かります。でも、私を信じて欲しい」
 「ボスッ!私は」
 「リハビリを指導する者は日本人だ。日本人を希望したのは誰だ?」
政行は口を挟んでくる。
 「あの、日本人でなくても言葉は理解できます」
 「残りは中国人だ。中国語でも理解出来るの?」
 「中国語…、それは無理です…」
 「ただ、その人はドクターが本業だ。緊急オペが入れば、そっちを取る」
ボスは静かに言ってくる。
 「今の君の状態では正常な測定が出来ないんだ。君もアスリートなら、自分の今の体調がどんなのか分かるよね?」

そう言われて気が付いた。
 「あ、興奮状態…」
 「そう、それと?」
 「頭が混乱している…」
 「そうだね、それと?」
(それと?他に何があると言うんだろ…?)
そう思ってると、ボスは言ってくる。
 「興奮状態にあり血圧、心拍とも上がっている。それに今日は朝から夕方までずっと診察にレントゲンや筋力測定等で何ヶ所に行ったか覚えてる?
そんな状態で、リハビリに必要な正常値は測定出来ない。
それに、少なからずショックを受けてるんだ。そんな精神状態ではリハビリのメニューは決まらない。
今日一日は身体を休めると、精神的や肉体的な状態は元に戻る。だから明日なんだよ」
 「はい、分かりました」
 「今日は夜20時になるとマッサージが入ってる。昨日もマッサージされたと思うけれど、どうだった?」
 「とっても気持ち良かったです。だから昨夜はぐっすりと寝れました」
 「それは良かった。それでは明日」
ああ、何かあったら、そこのボタンに触れるとナースが駆けつけて来るからね。
そう言って、病室から出て行った。



 「泳ぐのは無理でも…、泳ぐ事しかしてこなかった人間に…」
 「お父ちゃん?」
お父ちゃんは、病室から出ようとしている。
 「お父ちゃん、何処に行くの?」
 「新田に電話する。子供を連れて来い、とな」
待ってろ、と言って病室を出て行った。

30分も待たずに嘉男さんが来た。
 「親は親同士で飲むってさ」
 「そう…」


政行は嘉男に話していた。
明日はリハビリのメニューを決めるのだけど、これからの仕事の在り様も考えないといけない事も含め、話していた。
それに対し、嘉男はこう返してくる。
 「同じような人からのアドバイスが良いのは分かってる。
政行は頑張ってきたよね。水泳が無理なら弁当屋を手広くしたらどうだ?」
 「え?」
 「あの店があるだろ?」
 「あ…」
 「二人で、一緒にやっていこう?」
 「嘉男さん…」
俺は泣いていた。

 「良いの?それでも良いの?」
 「お前、マンション契約する時、言ってただろう」

契約する時。
あの不動産屋で、俺の言った言葉。
 「近い将来、お店をしたいんです。飲食店を開きたいんです」
 「そして、水泳を辞めても店だけは続けたい」

その言葉を思い出した。
 「続けても良いの?」
 「ああ、続けてくれ。政行、お前は一人では無いんだよ」
俺が居る。
きっぱりと言ってくれた嘉男さんの胸に顔を付けて泣いていた。



嘉男は、優しく抱きしめてくれている。
決意を決めたのだろう、政行は口を開いた。
 「お、俺、明日言う」
 「ん?」
 「明日、クリニック・ボスに話す」
 「うん」
 「ありがとね、力が湧いてきた」
嘉男は続けて言ってくる。
 「俺も考えていたんだ」
 「なにを?」
 「一緒に居たいと思ってるのだけど、それにはどちらかが動かないと駄目だと。
だから、俺は1階に降りる。降りて、政行の店を手伝おう、と。
で、キッチン側の隣の部屋を突貫工事すると、広くなる。
一緒に暮らそう」
 「え…、それって」
 「どっちみち直ぐには無理だろう?今年一杯リハビリして来年にはリニューアルされた店でオープンする。どうだ、良い案だと思わないか?」
 「キッチンを突貫って…」
 「壁を壊して一部屋にする」

政行の想像力も発揮させる。
 「あと、同じテーブルと椅子の色違いも良いかも」
 「壁に対して平行に置いても良いな」
 「キッチンが2つになるから、ドリンクバーにしても良いね」
 「味見は俺がしてやる」
 「えー……」
 「今の何だ…」
 「嘉男さんの一口はデカいから…」
 「食べ盛りなんだよ」


ぷぷっ…。
思わず笑ってしまった。
 「お腹空いてきた。顔洗うから、一緒に食べよ」
 「良いけど、ここってキッチンが付いてるんだな」
 「勝手に作っても良いって」
 「へー。それなら材料買ってくる」
 「え…、材料って?」
 「これでも作れるぞ」
 「いやいやいや、食べに行こうよ」
 「大丈夫だって、信じなさーい」
 「中華も美味しかったけど、クリニックの喫茶も美味しそうだったし」
 「そういや、寿司やイタリア料理のメニューもあったな」
 「行きましょう」
 「そうだな」


二人してクリニックの喫茶に入って行くと、真っ先にメニューに飛びついたのは嘉男の方だ。
 「お、日本料理があるぞ」
 「だから寿司でしょ」
 「寿司もあるが、魚料理もあるし、カニもある」
 「えっ、カニ?どこどこ…」

日本料理を始め、イタリア料理にドイツ料理、フランス料理のメニューが並ぶ。
政行はテイクアウトのメニューを見つけたみたいだ。
 「テイクアウトもある。よし、入院中に全部制覇してやるっ」
 「太るぞ」



何かが吹っ切れた様な表情をして美味しそうに蟹を食べてる若者二人を、ボスである友明は厨房の中から微笑ましく見ていた。
(明日、何か言ってくるのかもしれないな…)と、思っていた。


そして、その若者二人の親は呑んだくれになっていた。
親はホテルで、子供は病室で寝泊まりしていた。




 Hiroto_2_2.jpg


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いーなー
蟹が食べれて
(@ ̄¬ ̄@)ジュルリ♪

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Comment

No title
編集
蟹。。
某料理漫画の ?巻 に、いろんな蟹の食べ比べがありましたねー(山/岡さんが出てくるやつ)。
私は、手間がかかるけど香箱ガニ(タラバの雌)が好きだな~~。小さいけど、甘くて美味しいッ!!

政行、ちゃんと切り替えができそうでホッとしたわ。。
2016年05月31日(Tue) 10:34
Re: No title
編集
ますみさん


>某料理漫画の ?巻 に、いろんな蟹の食べ比べがありましたねー(山/岡さんが出てくるやつ)。
分からなくてググったのですが、(*'へ'*) ンー
まだ、分かって無いです。

蟹の食べ比べというのが漫画に載っていたのですね。
贅沢ですねぇ。。。


天然爛漫な政行が、すぐに切り替わるとは思えないけどね
(='m') ウププ


2016年06月01日(Wed) 09:44












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