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俺の気持ちはブレない (35)

高瀬は、自分の上司であるボスに、自宅へ資料を取りに行って欲しいと言われ、桑田邸にやってきた。それは、明日からの出張資料だ。


久々の邸宅に緊張してしまう。
呼び鈴を鳴らすと、執事ともう一人がやって来るのが見える。
 「旦那様から伺ってます。書斎の方だと思いますよ」
 「ありがとうございます。お邪魔します」
 「こちらに来られるのは何時振りという感じですね」
 「ええ、まだ政行が高校生で…、どうされました?」
執事は口に指を当てて小声で言ってくる。
 「高瀬様、その名前は禁句です」
 「そうでしたね、迂闊でした。申し訳ございません…」
いえいえ…、と執事は私室の鍵を開けてくれたので、高瀬は書斎に向かう。


机の上には、色々な書類がバラバラに置かれてるというよりも、散らばってる。
んー…、どれだ?
見ていってると時間が掛かりそうだと思ったのか、高瀬はボスに電話する。
 「…それでしたら、私が目を通しても宜しいでしょうか?」

 「分かりました。そうさせて貰います」
何が宜しく、だよ。
ぶつぶつと文句を言いながら高瀬は机の上に散らばれた書類に目を通していく。
40分程経っただろうか、高瀬はやっと目当ての資料をブリーフケースに入れて帰社するが、鍵を掛けて貰わないといけないので執事に声を掛ける。だが、その執事は見当たらないので、少し大きめの声で言う。
 「私、お暇しますので、鍵を掛けて下さいね」
 「はい、分かりましたっ」
その声は執事では無く、若者の声だ。
その声のした方に近付くと、この邸宅には不似合いのTシャツとGパンという格好の若者が4人居た。その連中に高瀬は声を掛ける。
 「あの、執事の方はどちらに居られますか?」

その4人はキョトンとしている。
もう一度言い直そうと思ってたら声が掛かる。
 「誰?そこで何をしてるの?」
(この声は、まさか…)
嫌だな、苦手なんだけど、と思いつつも高瀬は振り向き声を掛ける。
 「御無沙汰しております、高瀬です。ボスから資料を取りに言って欲しいと言付かい、これから会社に戻るところです」
 「ああ、秘書ね。なら、さっさと帰って」
 「執事の方に鍵を開けて貰ったので、閉めて頂きたいと思い探しております。どちらにいらっしゃるかご存知でしょうか?」
 「私には分からないわ」
 「そうですか…、弱ったな。少しばかり探しても宜しいでしょうか?」
 「仕方ないわね。出来る限り早く帰るのよ」
 「はい」


奥方は高瀬の背に向かって独り言を呟いてる。
 「秘書とはいえ、体格も良いし頭も良い。眼鏡さえ無ければ…。それに、守り役のだらしない事。
服装もラフだし、言葉使いもなって無い…」

自分の部屋へ戻ろうとすると、執事が向こうから来るのが見える。
 「秘書が探してたわよ」
 「え、私をですか?」
 「鍵を閉めて貰いたいとか言ってた…」
 「はい、畏まりました。お声を掛けて頂きありがとうございました。失礼致します」
そう言って、執事は廊下を走って行った。


 「高瀬様、高瀬様っ」
自分を呼ぶ声がするので振り向くと執事だ。
 「高瀬様、大変失礼致しました」
 「いえいえ、会えて良かったです。あの、鍵を」
 「奥方様から声を掛けて頂き、高瀬様が私を探してると教えて頂きました」
 「そうなのですか?それは良かったです。鍵の方をお願いします」
 「はい。気を付けてお戻りくださいませ」
 「ありがとうございます」

高瀬は庭を突っ切って門の外に向かおうとすると、奥方が居るのが見えた。お礼言っておこう。
 「あの、先程はありがとうございました」
 「何かしたかしら?」
 「執事に声を掛けて頂いたようで、探す手間が省け、助かりました。
本当にありがとうございました」
失礼致します、と言って高瀬は外へ出ようとする。が、引っ張られるのに気が付いた。
奥方が自分のスーツの端を握っている。

 「どうかされましたか?」
 「私の相手をして」
 「申し訳ないのですが、これを持って帰らないと」
 「それは執事にさせれば良い」
 「奥方様?」
 「違う」と即答された。
(何が違うんだ?)と高瀬は思っていると、奥方はとんでもない事を言ってきた。

 「私は美代よ。みよ、と呼んで」
 「え…」
 「ほら、呼んで」
 「申し訳ございません。ボスの奥方様に向かって、その様な事は言えません」
 「言え、と私は言ってるの」
 「申し訳ないですが、私は奥方様をその様な対象に見る事は出来ないです」
 「なら、その様に見て貰う様にさせる。」
何を言ってるんだ、このアマは…。

すると、その女は近くに居る男に声を掛けてる。
 「そこの、この男をあそこに連れてお行き」


さっきのTシャツGパンの4人が現れた。
 「君達は?」と、一先ず声を掛ける高瀬に、その4人は順々に返してくれる。
 「主人には逆らえなくてね…」
 「ああ、さっきの人か…」
 「悪い事じゃないのに…」
 「今からでも遅くないぞ」



屋敷内の、ある一角に連れて行かれ、高瀬は気が付いた。
行先は拷問部屋だ。
昔、まだ政行が高校生だった頃、そこで一緒に水泳指導をしていた。
だが、勉強となると直ぐに逃げていた。逃げ場所は分かっていたけど、探すのも楽しかったので、政行の後ろを追いかけていた。
まさか、この歳になって使うとは思いもしなかったな。
だけど、一番の問題は別にある。
体格だ。
あの頃はまだ細かったが、今は泳ぐ事をしてないせいで腹が出てる。だから、あの逃げ方は出来ない。違う逃げ方を考えないと…。


まずは悪あがきをさせて貰おう。
 「なあ、俺は仕事中なんだよ」
 「奥方に気に入られたんだ。光栄に思えよ」と、一人が応じる。

 「俺のボスは、その奥方の夫なんだけど。どう思う?」
 「うーん…、ばれない様に祈ってやる」と、違う一人が応じる。

 「あのさ、俺、好きな奴が居るんだけど」
 「別に良いじゃん。奥方はグラマーだし、良い身体してるよ」と、また違う一人が応じる。

 「俺、あの手の奴、苦手なんだよ」
 「分かるよ。あ、でも今は妊娠してるからどうだろ…」と、また違う一人が応じてくる。

 「は?妊娠?」
すると、違う声が割って入る。
 「そうだ、俺の子供だ。で、あんたは誰だ?」
 「そういうお宅は?」
(こいつ、あの似顔絵とそっくりだ)
 「俺は坊ちゃんの守り役だ」
 「子守ね…、俺はボスの秘書だ」
 「その秘書がなんでここに居るんだ?」
 「ボスに文句言ってくれ。俺はただ物を取りに来ただけで、帰ろうとしてたんだ」


4人の内の一人が口を開く。
 「美那狭、こいつは奥方に気に入られ、あの部屋へ連れて行けと言われてんだ」
俺も便乗してやる。
 「美那狭さん、俺は仕事しに戻りたいんだ」

 「こいつ、本当にそればっかりだな」
 「仕事人間だな…」
 「まあ、秘書は雑用を押し付けられる、って聞いた事あるけど」

美那狭は、そいつらのボヤキを耳にして溜息を吐いてる。
 「仕方ないな…。お前等は自分の持ち場に戻れ。で、秘書は俺とこっちだ」
 「どうする気だ?」
 「そろそろ坊ちゃんの迎えなんだよ」
少しばかり早いが、ま、良いだろ…。
美那狭は、奥方に迎えに行く事を毎回の様に声を掛けてるのか。これでは、あの坊ちゃんは窮屈だろうな…。
流石の高瀬も、あの女の子供に同情を覚えた。



乗ってきた社用車は大通りのコンビニに隣接された青空駐車場に置いてるので、そこまで乗せて貰う。
 「ありがとう。この借りは、どこかで返すよ」
 「別に良いよ。まあ、こっち方面には来ない事だな」
 「そうだな…。帰ったらボスに愚痴ってやる」
本当にそう思った高瀬だった。
その言葉に、美那狭は笑ってくる。
 「自分の上司に愚痴ったらクビになったりして?」
 「クビにはならなくても、何かしらあるだろうな」

 「じゃあな」
 「運転、気を付けろよ」






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意外にも、高瀬は相手の懐に入ってしまったのね。

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