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俺の気持ちはブレない (34)

一方、こちらは桑田邸。

宗一は、パーティホールの続きにある小部屋に居た。
ゲストルームでも、馴染みの深いキッチンの続きにあるリビングでも無い。
まだ一歩も踏み込んだ事の無い部屋だ。
ある事は分かっていた。
だけど、何時も鍵が締められている様子で、開かずの間と使用人達が噂している部屋だ。
どうして、こんな部屋なんだろう?


そこに宗一は立っていた。
いや、立たされているのだ、座る事は許されていない。
宗一は目の前に、ゆったりとソファに座っている母に話す事を決めた。
 「遅い時間になって、ごめ」
遮られる。
 「誰が先に口を開けと言ったの?
私に黙って何をしてるのかと思って調べさせたらスポーツジムに行って泳いでると分かって…。
ただ泳いでるだけだから、何も言わずに黙っていたのよ。近くにもあるのに、どうして区内の方に行くの?泳ぐだけなら、近くのプールでも同じでしょっ」
 「同じじゃない…」

ビュンッ。
何かが頬を掠める。

 「誰が口を開け、と言った?」

気が変わったのだろう、今度はこう話してきた。
 「そうね、何か言いたいのなら言わせてあげる。質問に答えなさい」
その言葉を聞き、ほっと安心した宗一は次の言葉を待った。

 「どうして、遠い所に行くの?学校が終わったら送迎車が待ってると分かってるでしょ?
それに、今日はどうして遅くなったの?貴方は高校生よ、勉強の方はどうなってるの?
それに、交通費や月謝等はどうしてるの?」

宗一は母が黙ったので答えた。
 「お兄ちゃんが居るのは、そこだから…。お兄ちゃんに会いたくて、そこに行ってるの。
それに、今日、やっとお兄ちゃんと会えたんだ。嬉しくて、一緒に帰りたくてお兄ちゃんの仕事が終わるのを待ってたら、遅くなりました。
交通費や月謝は、お小遣いを貯めていたから、そのお金で払ってます。
もちろん、学校の勉強も頑張ってやってます」
 
だが、母の次の言葉は酷だった。
 「宗一、貴方が何を言ってるのか、意味が分からないわ」
 「え、何が?」
 「お兄ちゃんって、誰の事?」
 「お兄ちゃんだよ。僕がまだ小さかった頃、お兄ちゃんも一緒に住んでたでしょ?」
 「貴方は一人っ子よ」
 「だから…」

すると、母は側に居た男から何かを話しかけられてるのが目に映る。
話し終わったのか、母は言ってくる。
 「なるほどね。お兄ちゃんが欲しいって事なのね。そういう気持ちは分からなくも無いわ。
だけど、貴方は一人っ子なの。貴方がお兄ちゃんと呼ばれるのよ。
私のお腹にはね、あと6ヶ月程すると…、貴方の弟か妹が生まれるのよ」
 「え、本当なの?」
 「そうよ、だからあと6ヶ月程待って頂戴」

そう言って、母はソファから立ち上がりドアの前に立つと振り返ってくる。
 「あのスポーツジムは退会しなさい。泳ぎたければ、近くのスイミングスクールにしなさい」
 「な……」

バタンッ…、とドアは閉められた。
何か、ジー……と音がする。
何の音だろう…、と思ってると声が聞こえてくる。
 「反省の色が無いみたいだから、この部屋で2,3日ほど過ごすのね。学校には休むことを連絡しておくから」

今度は、ガチャンッと音がはっきりと聞こえた。
窓の方から聞こえたので、そっちの方を振り向くと、さっきまでは無かった物が…。
鉄格子が、自分の方に迫って来てる。
 「な、何これ?」

宗一はドアに駆け寄り、ノブに手を掛け出ようとするが鍵が締まっており開かない。どうにかして開けようと思い、ガチャガチャと回す。
だが、ドアは開かない。
鉄格子は段々と迫ってくる。
 「何…、ご、ごめっ…、ごめんなさいっ…。
言うことは聞きます。だから、止めて、出してっ…。
お願い、ここから出してっ!
あそこのスポーツジムも、た、退会するからっ…。
お願い、出してっ!ごめんなさいっ!!……」

や、やだあ――!

自分の顔から5㎝ほど手前で、その鉄格子はピタッと止まった。


ドアと鉄格子に挟まれた宗一は青褪めている。
すると、ドアが開く音が聞こえる。
母なのか…。
宗一の口からは、バカみたいに一つの言葉しか出てこなかった。
 「ご、ごめん、なさっ…」

聞こえてきたのは母では無く、いつも自分を送迎してくれてる男の声だった。
 「手間掛けさせるんじゃないっ」
 「こ、怖かった……」
 「本当に退会するんだな」
 「うん…、あ、でも退会届を貰いに行かないと」
 「貰ってるから大丈夫だ。それに書いて郵送すれば、それだけで十分だってさ」
(用意周到なんだな…)と、宗一は思っていた。


お兄ちゃん。
僕が欲しいのはお兄ちゃんだけだよ。
こうなれば、高校を卒業するまでは我慢だ。
さっきの様な動く鉄格子には、もう迫られたくないんだ。
本当に、怖かったんだよ…。


 「ほら立て」
 「お腹空いた…」
 「ったく、この坊ちゃまは…」
いいから立て。さっさと動け。
そう引っ立てられた宗一は、ある部屋に連れて行かれた。

お兄ちゃんが使っていた部屋だ。
そこの部屋にはキッチンが付いており、野菜たっぷりのラーメンを作ってくれた。
 「美味しい…」
 「それは良かったよ。俺ん家は代々ラーメン屋だから、ある程度の物なら作れる」
その言葉を聞き、宗一は聞いていた。
 「パンケーキも?」
 「パン…?なんだ、それ」
 「パンケーキ」
 「ああ、ホットケーキみたいな物か…」
 「だと思う」
 「レシピがあれば作ってやる。それに、お前が母親のいう事を素直に聞けば、さっきの様な目には合わないんだからな」
 「ん、分かった…」
 「なら、良し」


そのまま、その男の部屋で寝ていた。
翌日、宗一は自分の送迎者が目の前で食事を作ってるのを見ていた。
その男は言ってくる。
 「当分の間は作ってやる。だけど、自分で作れる様に頑張れよ」
 「どういう意味?」
即答された。
 「この部屋は、俺の寝床だ。自分の食事は自分で作る。だけど、お坊ちゃまは何も出来ないのでイロハから教えないと無理だろ?」

まずは簡単メニューからだ。
飯炊きと味噌汁ぐらいは作れるようになれ。
そう言って、送迎者は朝食を食べだした。
 「ん、食わないのか?」
 「え…、あ、頂きます」

皿に盛る事は僕にだって出来る。汁椀に味噌汁を注いで、卵焼きとほうれん草を皿に盛り、白米をお茶碗に盛る。
お味噌汁、美味しい。

いつもは家政婦が作ってるのだが、この男の方が美味しい。
 「どうした?」
 「家政婦より美味しい」
 「当たり前だろ。自分で言うのもなんだけど、俺は飯のプロだぞ」
 「ねえ、名前は何て言うの?」
 「…もしかして忘れた?」
うん、と頷くと溜息を吐かれた。
 「みなせ、だ」
 「みなせさん、ね。覚えとく」
 「ああ、忘れるなよ」



高瀬は、政行の部屋に取り付けて放ったらかしにされていた小型の盗聴器で、二人の様子を聞いていた。その盗聴器の向こうで、高瀬は呟いていた。
 「みなせ…、なるほど、この字はみなせ、と読むのか」


書類に書かれている、その男のフルネームを見て苗字にふりがなを書き加えた。
美那狭 憲康
(みなせ のりやす)




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行動を起こした宗一は、母に怒られ退会するように強制されてしまった。
見かねた水那狭(みなせ)さん、フォローに動いてくれてありがとう。

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