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俺の気持ちはブレない (9)

※嘉男視点※


マサユキは研修を受ける為スタッフのロッカーで着替えてると、所長の声が聞こえてくる。
 「入ります」
 「あ、はい」

中に入って来た所長は、着替える為に上半身裸になっているマサユキの顔を見て目を瞠った。
 「誰に…」
 「え、何ですか?」
 「誰に付けられた?相手は誰だ?」
 「え、何の事…?」
 「寝ている間に蚊に噛まれたとか言うなよ」
 「一体、何を…」

所長は指差してくる。
 「その口の下。誰に噛まれた?」
 「口?」

思わず、自分の口に手を当てる。
あ…、まさか、さっきの?
 「あいつに名前教えろと言われて、中々教えなかったから…。それでキスされて……」
低い声が聞こえる。
 「ユウゴか…」
 「名前言わないとエッチすると言われて、名前言ったの」
事後承諾になったけど、と思い、こう付け足す。
 「新田政行だと…。所長の苗字借りちゃった。ごめんなさい」

次の瞬間、マサユキは所長に抱きしめられていた。
 「ほんとは言いたくなかった。なのに、しつこくキスして…、口の中にも入れてきて…。
嫌で、何も言えなくて、心の中で叫んでた。『嘉男さん、助けてっ』って。
でね、今夜抱いて。あんな男の事を忘れたい。忘れさせてっ」
 「他に何をされた?」
 「腹を触られて…、短パンの前に手を当てられて…握られた」
 「あんの野郎…」

マサユキの呟きが嘉男の耳に届く。
 「俺の身体を弄って良いのは、嘉男さんだけだ……」

苛立っていた心は、その言葉で癒された。


結局、ジムの棚卸しの手伝いは最終の入力だけになった。

アサミコーチはボヤいてる。
 「あいつは…、あいつのせいで、こっちのスタッフやバイトが何人辞めた事か…。
今回は、今回だけはと思っていたのに…。もう我慢できないっ」

アサミは所長の机に寄って噛み付く様に怒鳴っている。
 「嘉男、所長の権限であいつをクビにしろっ!」
 「なら、アサミの力であいつのバイト先をクビにしろっ。俺は腹を立ててるんだ。
キーキー喚くなっ!」


せめてもの救いは、マサユキは俺に助けて欲しいと手を伸ばしてきた事だ。
キスを、口の中に舌を絡ませた、だと…。
俺だってキスはしてないのに、あのヤロー……。

嘉男はロッカーでのマサユキの言葉を思い出していた。
 「あんな男の事を忘れさせて」
 「俺の身体を弄って良いのは嘉男さんだけだ」


そうだ。
仕事をし出してからは、休日の前日に抱いてる。
だけど、あいつの気持ちが分からなかった。
慣れというものか、抱かれる事に抵抗は無いのか。
正月の時は、自分の好みという事で無理矢理抱いたが、あいつは気持ち良いと言って、俺に抱かれるのに抵抗しなかった。
3月末に引っ越してきた時も抱いたが、久しぶりだったのもあり抵抗していた。だけど、あれは形だけの抵抗だ。
それに合鍵を使って玄関から入ると、はっきりと言われたからな。
 「勝手に入らないで。呼び鈴を鳴らして」と。
あの日から2ヶ月以上経っても、未だにチェーンを掛けてる。
でも呼び鈴を鳴らすとチェーンを外して「お帰りなさい、お疲れ様でした」と声を掛けてくれる。
その言葉と、少し照れている顔で1日の疲れが取れる。
その表情を見たくて、呼び鈴を鳴らしてるんだ。
正月の時とは違う。
俺の生活の一部だ。

ユウゴ。
今迄は黙ってきた。
でも、今回は違うぞ。相手が悪かったな。



6月は棚卸しと決算で忙しい。
だから経理と事務を一手に仕事をこなしてるヒカルに差し入れを持って、ユウゴは8時半に仕事先に着いた。そこで目にしたのは政行君だ。
3人でやってるみたいだ。いつもはアサミと2人だけなのに。
まあ良い、朝から可愛いのを見られて良かったよ。
 「おはよ。朝からご苦労さん。これ、差し入れ」
 「ユウゴか、サンキュ。なら二人とも休憩しよう」

ユウゴはマサユキの隣に腰掛けるみたいだ。
 「おはよ、政」
だが、アサミが声を掛けてくる。
 「ユウゴ、お湯を沸かして貰えるかな?」
 「アサミがすれば良いだろ」
 「嫌なら良いよ。一緒に食べようと思ったけど」
 「え、一緒に居て良いの?なら、やる。待ってて」

ヒカルの声がユウゴの耳に届いてくる。
 「マサユキコーチ。ユウゴは、ああ見えて美味いお茶を淹れてくれるんだよ」
 「ふーん…」
 「ふーんって…、まあ、そうは見えないけどね」


いきなりドアが開き2人が入ってくる。
 「ユウゴ、ユウゴコーチは?」
 「スタッフボードのアレ、本当なんですか?」

ヒカルコーチもアサミコーチもキョトンとしている。
 「ユウゴが何?」
 「スタッフボードって…?」

 「二人とも知らないのですか?」
そこに4人分のお茶を淹れてきたユウゴはお盆を手に持って来た。
 「俺が何だって?はい、政行君どうぞ」
 「あ、ありがと…」
 「どういたしまして。ほれ、アサミとヒカル」
 「サンキュ」
 「なに、この差は…」
ユウゴはマサユキの隣に座ろうとしている。
 「で、俺が何?」
そう聞くと、とんでもない言葉が聞こえてきた。
 「スタッフボードに、ジムのユウゴは6ヶ月の自宅謹慎を命ずるって…」
 「は?」
ユウゴもそうだが、アサミとヒカルとマサユキも驚いてる。
 「な、何それ…。ちょ、ちょっとごめん。席外す」


ユウゴを先頭に残り5人も付いていくと、ジムのスタッフボードには何かが大きく張り付けられている。
 『 ジムの志水雄吾。
 
6ヶ月の自宅謹慎を命ず。

 MEN'Sスポーツジム所長:新田嘉男 』


 「なっ…」
所長が立っているのを目にしたユウゴは叫んだ。
 「しょ、所長!これは一体何なんですか?」
 「自分のしたことを自覚してないのか?」
 「何の事ですか?」
 「昨日、君は何をした?」
 「昨日?」

その言葉で、アサミは気が付いた。
 「もしかして、あれで6ヶ月?生温いっ!クビにしろと言った筈だ!」
 「アサミ」
 「こいつのせいで…、こいつのせいで、今迄スタッフやバイトが何人辞めた事かっ…!」
ユウゴは所長を睨んでる。
 「何の事を言ってるのか分からないね。納得するまで説明してもらおうか。えぇ、お坊ちゃま」
 「手を離せ…」
 「は?」
 「政行に触るなっ!お前は、昨日そいつに何をしたか覚えてないと言う気か?」

ユウゴはマサユキの腰に回していた手を自分にグッと引き寄せた。
 「政行君。もしかして、昨日の…、所長に言ったの?」
はい…、と小声で返し頷くマサユキ。
所長の声が響く。
 「セキュリティビデオにも映っている。言い逃れは出来んぞ」

だが、ユウゴはマサユキに言い詰め寄る。
 「ねえ、政行君。そんなにも俺のキスが嫌だったの?顔を真っ赤にして応えてたのは誰だったのかな…。あの時はアサミが邪魔をしてくれたから出来なかったけど、今日は最後までヤル。そう思って来たんだ」
マサユキはその腕から離れようとするが、ユウゴの力は強い。
 「なのに、あんな理由で自宅謹慎だなんて酷いと思わない?」

ヒカルが口を挟んでくる。
 「ユウゴ…。お前、そいつの正体を知らないのか?」
 「所長の知り合いだろ。昨日聞いた」
 「知り合いだけど…」
 「それが何?」
アサミが毒付いてくる。
 「ああ…、だからこいつには会わせたくなかったんだ」
そんなアサミにマサユキは返していた。
 「アサミコーチ、俺は辞めませんよ。それだけは言えます」
 「本当に?」
 「はい。だって今迄は誰かに頼られる事も見向きもされなかった俺なのに、ここでは水泳だけでなく経理も任せられている。
それに、アサミコーチと所長の漫才もずっと聞いていたいから」
 「漫才では無いですけど…。ああ、でも嬉しい。良かった…」


ユウゴの声がする。
 「ふんっ。どうせ処分受けるのなら、このまま掻っ攫ってやるっ。来いっ!」
マサユキはユウゴに担ぎ上げられる。
 「うわっ」
さすがマシンジムスタッフだ。軽々と担いでくれる。担ぎ上げた政行の身体をTシャツ越しに触りながら言ってくる。
 「へー、良い筋肉が付いてる。そうか水泳コーチね」
アサミが邪魔をする。
 「ユウゴ…」
 「処分は明日からだろ?今日は休みを貰うよ、政行君と一緒にね」
今度は所長だ。
 「ユウゴッ!」
マサユキは逃れようとしているのでユウゴは所長の声を無視する。
 「ちょっと政行君、バタつかないのっ。ほら行くよ」

だが、マサユキは所長に捕まえられ引き寄せられた。
それを見たユウゴは所長に食って掛かる。
 「この野郎、何してくれるっ」
 「この俺に手を掛ける気か?それでも良いぞ」
 「へっ、お坊ちゃまがナマ言ってんじゃないっ」

 「アサミ。こいつが俺を殴ったら、こっちのに張り直せ」
所長から言われ手渡された物を開き見ると、アサミは了解と頷く。

ユウゴはマシンジムで鍛えた体で所長を殴り付けようとしている。が、所長は避けてくれる。
 「避けるだけでは強いとは言わん。政行君、お前は俺のモノにする。そう決めたんだ」

だが、マサユキは即答していた。
 「嫌だっ!俺には好きな人が居るっ」


その言葉に、所長とユウゴは驚いた。
所長は固まり、力が抜けたユウゴの拳は所長の腹を突いていた。

そして…。
それを見たアサミは、
 「ユウゴ、よくも所長を殴ったなっ」
そう叫んで、張ってある紙を破り、新しい方を張り直した。

それには、こう書かれていた。

 『 辞令

マシンジムスタッフの志水雄吾。

 辞職を命ず。


  MEN'Sスポーツジム所長:新田嘉男  』











☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
おや?
おやおやおや・・・、所長に手を出してしまったユウゴはクビになっちゃいましたね。




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