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桜前線に乗って、花見日本一周旅行 (3)~最終話~

案の定、博人さんは寛いでいる。
そりゃ、ここは屋敷が広く使用人も居れば上げ膳据え膳だからな。
そういう私も、この1週間はそれだったのだがら、文句は言えない…。

 「へえ、長崎に行ってたのか」
 「父の実家は長崎なんです」
 「そうか、それで長崎なんだね」
 「祖母の家にも寄ったのですが、今では違う人が住んでました」
 「すでに他界されてるの?」
 「生きてたら……、150歳位かな…」
 「あ、そういう年齢の方なんだね…」

友明は博人に声を掛けた。
 「博人先生、マンションにはいつ戻って来られるのですか?」
 
博人さんではなく、学長が先に応じてくる。
 「頼むから、博人を連れて帰って貰えないかな?」
 「どうされたのですか?」
 「この1週間、私に色んな事を教えたがってね…。歴史とかロシア語とか…。
挙句の果てには、理解度を知る為とか言ってテスト用紙まで用意してるんだ」

博人さんが、その言葉に割って入ってくる。
 「頭を使わないと禿げるぞ」
 「余計なお世話だっ」

そのやり取りで友明は納得した。
 「なるほど、だからずっとこちらに居られるのですね」
 「明日にはマンションに戻るよ」
 「分かりました。しっかり師事してあげて下さいね」
友明のその言葉に博人は嬉しそうに即答してきた。
 「うん、任せて」
だが、学長は焦っている。
 「えっ…!せ、せめて、食事を一緒に食べないか?」
 「私が一緒でも良いのですか?」
 「勿論だよ」
 「では、喜んで頂きます」


昼食だけでなく夕食も御馳走になった友明は、博人の様子を見て納得した。
博人が学長の部屋で一緒に寝起きしているから、余計に心労させてるのでは、と。
勿論、博人も知っていた。
だが、これは和田からの命ではなく、お願いだから。
それだからこそ、嬉しくて自分の識っている事を諒一に伝えたく、教えてるのだ。

友明は、そんな博人に声を掛ける。
 「博人さん」
そのニュアンスに何かを感づいたのだろう。博人は友明に応じる。
 「明日まで目を瞑ってて」
 「いーえ、夜はせめて違う部屋で寝て下さい」

学長が、自分を呼んでる声が聞こえてくる。
 「ボス、ボス」
 「何ですか?今は博人先生に」
 「いつもの部屋を用意したから使ってくれ」
 「ありがとうございます」


友明は博人を引きずり、学生時代に使わせてくれてた部屋へ連れて行く。
 「友、私は」
 「博人さん、私は1週間東京を離れてた」
 「長崎だろ。ったく事後承諾な奴だよな」
 「一人で行ってた」
 「弟と一緒では無かったのか?」
 「長崎に行き、そこから広島、大阪、京都、名古屋に泊まってたんだ」
 「はあっ?」
 「初めての一人旅だったんだ。博人さんと一緒だともっと楽しかっただろうな、と」
 「それなら、連絡してこい」
 「そうだね、御免なさい。でね、土産話もしたいから昨夜は待ってたんだ。
でも帰って来なくて…。今朝になって、学長の所かと思い当たって来たんだ。
博人さん、ただいまー」
そう言って、友明は博人に抱き付いた。

溜息を吐いたが、自分の欲してる温もりを感じて博人は安心している。
この温もりが欲しくて手離したくなくて博人は抱きしめ、友明の頭を撫でる。
友明は、その優しく触ってくる掌に目を瞑って身を任せている。
 「怪我はしなかったか?」
 「うん」
 「お帰り…」
 「ただいま」



いくら待っても、博人は来ない。
もしかして、成功か。成功したんだな。
ボス、協力してくれてありがとう。
 「やった…」
諒一は、思わずガッツポーズしていた。
少し人恋しい気がするが、この1週間ずっと博人がくっ付いていたんだ。
諒一はベッドに横たわり、博人の事を思っていた。
博人、私はお前が幸せなら応援するよ。矜持もそうだったから、私には抵抗というのは無い。
驚いたけど、相手がボスで良かったよ。
この事をマルクが知ったら青筋立てて怒鳴るだろうが、もう死んだしね。
それに、今はお爺様と結託して、ある事を進めている。博人には、まだ知られたくない。
楽しみにしててくれ。

 「あー…。久々に自由だ」

ベッドの上をゴロゴロとして一人で寝れるという感じを味わっていた。



その頃、博人は友明のベッドに潜り込んで、土産話を聞いていた。
スマホで撮った写真を見せながら話してくる。
 「でね、これは福山なんだ。」
 「これは何処?」
 「広島県の福山市の先っぽになるのかな。鞆の浦という所。この日は、新幹線で行って、福山駅近くのホテルに宿泊先を決めてから初日は街中を散策したんだ。翌日は、尾道市に行って、そこから自転車をレンタルして、しまなみ海道を走って、瀬戸内海を渡ったんだ。最終地点の四国、愛媛県の今治市に着いて、暫らく呆けっとしていた。
昼飯を今治市で食べたのだけど、量が多くて値段も安かったし美味しかった。
夕方18時には自転車を返さないといけないから、ぎりぎりまでゆっくりしていたんだ。
その日は疲れもあってぐっすりと眠れた。
で、次はこれね。」
 「お、グリコマークだ。大阪と言えば、道頓堀とグリコだな」 
 「でしょ。次は、これ」
 「清水寺だ」
 「正解!駅から市内観光バスがあって、その1本に乗って行ったんだ。
一人旅だったけど、こうやって知らない人達と一緒に行くのは、新鮮だったよ。で、次はこれ」
 「しゃちほこ、名古屋か」
 「うん、食べ物も美味しかったし、名古屋城を登ってみたんだ」
 「眺め良かっただろ?」
 「行った事あるの?」
 「車でね」
 「へー、あ、そっか。免許持ってるんだよね」
 「ああ」
 「私は免許持ってないからな。乗れるのは自転車だけ」
 「事故る元になるからな、免許取れとは言わないよ」
 「うん、取りたくないという気がある」

博人は微笑んでる。
 「もう一人で勝手に旅なんてするなよ」
 「博人さんは楽しかった?」
 「ああ、諒一は弄りがいがあってね」
 「今頃はのんびり感で幸せを感じてるでしょうね」
 「そうかもな」


博人は友明を抱きしめ、1週間ぶりに友明の温もりを感じている。
この温もりがあれば良い。
この息遣いがあれば、生きてるという温かさに気持ちが和む。

ふわぁ…、と友明は欠伸をしている。
その友明は完全に眠りに入る前に、博人に言う。
 「今度は、東日本を、二人旅したいな…」

その言葉を最後に、こてんと寝てしまった。

博人は、友明を抱きしめたまま呟く。
 「残り二日で東日本は無理だな。せめて五日間は欲しい…」


だが、友明と二人旅をするのも悪くないと思い立ち、自分なりに計画を練る。



西日本から桜は咲き、散っていく。
でも、思いは散らない。
この桜前線に乗せて、今度は東へ、東日本へ。
博人と友明を乗せた列車は、二人を乗せて東へ、北へと向かう。
秋田、金沢、青森。
そして新幹線を利用しての北海道行き。札幌と釧路に宿泊して、パースから乗ってきたヘリはドイツのジェットの格納庫に入れられ、そのジェットが釧路空港へ迎えに来る。

北海道の桜は開花されていて、とても綺麗だった。
釧路空港まではユウマが車で送ってくれた。
 「今度はサプライズ無しでよろしく」
 「流石に、北海道はでっかいな。お邪魔しました。皆さんにありがとうと伝えて」
 「ああ、今度はゆっくり北海道案内してやる」
 「その時はよろしく」


博人は、北海道の地を車で走らせたのが非常に嬉しかったみたいだ。
帰りのジェットで和田先生にも教えていたぐらいだ。
 「やっぱり、日本では北海道の道路が一番運転しやすいな」
 「本当に嬉しそうに運転してたのでしょうね」
 「ま、一番はドイツのアウトバーンだな。もし、日本で生活するなら北海道だな」
 「年寄りは運転しないようにしましょう」
 「他人の事言えるのか、このスピード狂の年寄りが」
 「ご自分も、スピード狂でしょ…」

この二人のやり取りを、周りの皆は仄々とした気分で聞いていた。


その釧路から、パースへと戻るのだ。
だが、友明は、もう一ヶ所付け足してくる。
 「沖縄の桜はどうだろう…」
 「さすがに散ってるだろ」
今度は和田が割って入る。
 「沖縄の海に浸かってみたいですね」
 「この時期は泳げないだろ」
だが、友明の、この言葉でジェットは沖縄に寄った。
 「チャンプルーが食べたい」
 「沖縄そばやタコライスも良いな」


博人は、1週間掛けて東日本と北海道を二人旅して満喫した。
友明は、2週間掛けて日本を制覇して、こちらも満喫している。




二人は、日本一周花見旅行を楽しんだのでした。





















~ Fin ~










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