君は腐れ縁であり運命の人(16) ~密談~
3年に進級しようとする3月の、ある日。
他の4人が動いた。
夏雄と優三郎と隆一と良の4人だ。
友の席に4人して近付こうとしたのか、それでも友は担任に声を掛けられては教室を出て行く。
その後姿を見送った4人は、今度はこっちを目指して来る。
内心では良かった、と思ってるのに、溜息を吐いてしまう自分が居る。
「豊、俺、まだ友と一言も口きいてないのだけど…」
夏雄が、本当に寂しそうに言ってくる。
「うん、寂しい…」
良も寂しそうだ。
「なんか、友は近くに居るのに遠くに居るような感じだ」
隆一、まさにそれだよ。
「放課後もさっさと帰るからな」
優三郎は1年の時から一緒のクラスだからな。
それでも、知ってる事しか言えない。
「本人に聞いてみれば?」
これしか言えなかった。
ここで同じ部活だと言えば、こいつ等はどう反応するのだろう。
でも、お前等と同じ悩みを持ってるんだよ。
自業自得なんだけどな…。
自分で墓穴を掘ったのだから文句は言えないのだが、あれから避けられてるのは分かってる。
さり気なくだが、手が触れるだけでも過剰に反応してくれる。
でも、裏を返せば意識してくれてる、という事だ。
そう思ってれば良いんだ。
優三郎が先に動いた。
放課後、友が教室を出ようとしてる時に、優三郎は声を掛けてる。
「なあ、たまには一緒に帰ろうよ。お前、何処に住んでるんだ?寮じゃないよな?」
だが友は黙って教室から出た。
声を掛けられてるという思いは無かったのだろう。
「おい、待てよっ」
肩に手を振られるのが嫌みたいで、優三郎の手を払っては一言だった。
「忙しいので」
「澄ましてんじゃないよっ」
優三郎が大声で言うものだから人だかりが教室の出入り口に出来た。
仕方ないので、豊は優三郎に声を掛けた。
「いい加減にしろよな。そこに固まってると誰も出入り出来ないだろ」
「なら、豊があいつへの架け橋になれ。それに、あいつは相手にしてくれない」
「教室から出て声を掛ければ良いじゃないか」
「そうだけど…。なんか癪に障って」
違う声が入ってくる。
「優三郎が小学生の頃のままで居るからだろ。友、一緒に帰ろうよ」
と、隆一が。
「そうだよ。友、昔みたいに出歩こうよ」
と、良が。
「友もそうだけど、優も口数が少ないんだよ」
と、夏雄が。
なんで、皆が皆、友に声を掛けるんだ?
肝心の友は、既に昇降口に向かう階段を降りようとしている。
その友を追って、4人は走ってる。
仕方なく、そいつ等を追って行く。
優三郎、足が早いんだな。
西口の門で友を捕まえたみたいだ。
ああ、今日はバイトの日か。
靴を履き替えては西口に急いだ。
だが、優三郎は友のマネージャーに吹き飛ばされた。
友は車に乗り込んではバイトに行った。
優三郎に言っていた。
「お前ね、友に何をしてたんだ?」
「忙しい、としか言わないから叩こうとしたら、違う奴が俺を殴ってきたんだ。あいつが何を考えてるのか分からないよ。」
「せっかく同じクラスになっても、一言も話せないだなんて寂しいっ!豊、どう思う?」
「うーん…。ストーカーになる、とか?」
「ストーカーねえ…。友なら警察に突き出すだろうな」と隆一が。
「突き出されるの嫌だな」と夏が。
「ばれなきゃ良いんだろ」と良が。
「お前等ね、本当にストーカーする気か?」と優三郎が。
すると、声を掛けられた。
「あ、ハーフ君、丁度良い所に」
「え・・・」
振り返ると理事長が居た。
「これね、温室の材料が届いたんだ」
「もしかして、組み立てろと?」
「組み立ては明日やるよ。皆でね。で、君には違う事をやってもらう」
「どんな事ですか?」
「この温室の温度を一定に保ちたいので、そのプログラムを作って欲しいんだ。
お願いされて?」
「はい、良いですよ。何時まですれば良いですか?」
「春休みに入るまで」
「はい、分かりました」
理事長から、時々こうやってプログラムお願いをされては組んでると、少ないけれどギャラを頂ける事がある。小遣いには少ないが、それでも有難いことだ。
不純な動機での入部だったが、今では楽しく思えてる。
じっ……と見つめてくる4人の視線が痛い。
誰が、お前等と友を仲良くさせるもんか。
それでも、こいつ等の気持ちも分かる。
4人を見つめ返していたが、顔を背けてしまった。
「豊?」
「悪い。役には立てそうにもない」
結果、突き放してしまう事になった。
数日後、事件が起きた。
良が羽目を外して友を襲った。
※※※
墓穴を掘った豊は、他の4人には友の事を言わない。
板挟み状態?だけど、この特等席を知られたくないが為の事なんですね~
さてさて、バイク野郎の良君は、何をしてくれたのかな?
☆∮。・。・★
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他の4人が動いた。
夏雄と優三郎と隆一と良の4人だ。
友の席に4人して近付こうとしたのか、それでも友は担任に声を掛けられては教室を出て行く。
その後姿を見送った4人は、今度はこっちを目指して来る。
内心では良かった、と思ってるのに、溜息を吐いてしまう自分が居る。
「豊、俺、まだ友と一言も口きいてないのだけど…」
夏雄が、本当に寂しそうに言ってくる。
「うん、寂しい…」
良も寂しそうだ。
「なんか、友は近くに居るのに遠くに居るような感じだ」
隆一、まさにそれだよ。
「放課後もさっさと帰るからな」
優三郎は1年の時から一緒のクラスだからな。
それでも、知ってる事しか言えない。
「本人に聞いてみれば?」
これしか言えなかった。
ここで同じ部活だと言えば、こいつ等はどう反応するのだろう。
でも、お前等と同じ悩みを持ってるんだよ。
自業自得なんだけどな…。
自分で墓穴を掘ったのだから文句は言えないのだが、あれから避けられてるのは分かってる。
さり気なくだが、手が触れるだけでも過剰に反応してくれる。
でも、裏を返せば意識してくれてる、という事だ。
そう思ってれば良いんだ。
優三郎が先に動いた。
放課後、友が教室を出ようとしてる時に、優三郎は声を掛けてる。
「なあ、たまには一緒に帰ろうよ。お前、何処に住んでるんだ?寮じゃないよな?」
だが友は黙って教室から出た。
声を掛けられてるという思いは無かったのだろう。
「おい、待てよっ」
肩に手を振られるのが嫌みたいで、優三郎の手を払っては一言だった。
「忙しいので」
「澄ましてんじゃないよっ」
優三郎が大声で言うものだから人だかりが教室の出入り口に出来た。
仕方ないので、豊は優三郎に声を掛けた。
「いい加減にしろよな。そこに固まってると誰も出入り出来ないだろ」
「なら、豊があいつへの架け橋になれ。それに、あいつは相手にしてくれない」
「教室から出て声を掛ければ良いじゃないか」
「そうだけど…。なんか癪に障って」
違う声が入ってくる。
「優三郎が小学生の頃のままで居るからだろ。友、一緒に帰ろうよ」
と、隆一が。
「そうだよ。友、昔みたいに出歩こうよ」
と、良が。
「友もそうだけど、優も口数が少ないんだよ」
と、夏雄が。
なんで、皆が皆、友に声を掛けるんだ?
肝心の友は、既に昇降口に向かう階段を降りようとしている。
その友を追って、4人は走ってる。
仕方なく、そいつ等を追って行く。
優三郎、足が早いんだな。
西口の門で友を捕まえたみたいだ。
ああ、今日はバイトの日か。
靴を履き替えては西口に急いだ。
だが、優三郎は友のマネージャーに吹き飛ばされた。
友は車に乗り込んではバイトに行った。
優三郎に言っていた。
「お前ね、友に何をしてたんだ?」
「忙しい、としか言わないから叩こうとしたら、違う奴が俺を殴ってきたんだ。あいつが何を考えてるのか分からないよ。」
「せっかく同じクラスになっても、一言も話せないだなんて寂しいっ!豊、どう思う?」
「うーん…。ストーカーになる、とか?」
「ストーカーねえ…。友なら警察に突き出すだろうな」と隆一が。
「突き出されるの嫌だな」と夏が。
「ばれなきゃ良いんだろ」と良が。
「お前等ね、本当にストーカーする気か?」と優三郎が。
すると、声を掛けられた。
「あ、ハーフ君、丁度良い所に」
「え・・・」
振り返ると理事長が居た。
「これね、温室の材料が届いたんだ」
「もしかして、組み立てろと?」
「組み立ては明日やるよ。皆でね。で、君には違う事をやってもらう」
「どんな事ですか?」
「この温室の温度を一定に保ちたいので、そのプログラムを作って欲しいんだ。
お願いされて?」
「はい、良いですよ。何時まですれば良いですか?」
「春休みに入るまで」
「はい、分かりました」
理事長から、時々こうやってプログラムお願いをされては組んでると、少ないけれどギャラを頂ける事がある。小遣いには少ないが、それでも有難いことだ。
不純な動機での入部だったが、今では楽しく思えてる。
じっ……と見つめてくる4人の視線が痛い。
誰が、お前等と友を仲良くさせるもんか。
それでも、こいつ等の気持ちも分かる。
4人を見つめ返していたが、顔を背けてしまった。
「豊?」
「悪い。役には立てそうにもない」
結果、突き放してしまう事になった。
数日後、事件が起きた。
良が羽目を外して友を襲った。
※※※
墓穴を掘った豊は、他の4人には友の事を言わない。
板挟み状態?だけど、この特等席を知られたくないが為の事なんですね~
さてさて、バイク野郎の良君は、何をしてくれたのかな?
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