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2019年度年始特別SS (3) まさかの出会い……

北門から入ると、直ぐに目につくのは付属北部病院。
その病院の後ろに山がある。
その山へと足を向けていると学生たちが上り下りしている。
 「意外と多いな」
 「皆、考えることは一緒かもね」
 「そうだな。何を祈るか考えてるのか?」
 「もちろん。今年こそは俊平を言い負かせて、お父ちゃんの墓参りに行くぞ-」
 「もしかして、初詣で、それを……」
 「決まってるだろ。俊平を納得させる知恵を授かりますように。これしかないだろ」
 「お前ね……」

そっちかあ……と安堵の溜息をついていた。
すると声が掛かってきた。
 「あれ、俊平先生じゃないですか」
誰だろうと顔を向けると2人の男性が下りてくる。
 「私服は初めてですかね。片瀬です」
 「かた……。え、ほ、本年もよろしくお願い致します」
 「こちらこそ、よろしくお願い致します」

空気の読めない治の声が聞こえてくる。
 「俊平。この人たち誰?」
 「お、おま……」
仕方ないので紹介する。
 「あー、副学長だ」

治は驚いてる。
 「ふ……!お、治、雅。総合体育の3年生です」

パニクり気味な治に片瀬副学長は微笑み声を掛けている。
 「君が雅君なんだね」
 「は、はい」
 「私は理事長も兼任しているんだ。で、こっちが」
振り向くと、隣の男性は驚いてるのか固まっているので肘鉄で小突いてやる。
 「いっ……」
 「副学長、なんとか言ってくださいね」


やばい。
こういう形で会わせてしまうだなんて……。
俊平の思いが伝わったのか相手は心持ち低めの声を出してくる。
 「頑張れよ」
 「ありがとうございますっ。頑張りますっ」

深くお辞儀をした治を見た副学長の表情は少し緩んだみたいだ。
 「それじゃ、来週」
その言葉に俊平は応じていた。
 「はい。週明けの全体会議ですね。本年もよろしくお願い致します」
 「こちらこそ」


その2人は、そのまま下りていった。
治のノンビリした声が聞こえてくる。
 「俊平、副学長って、どっかで会ったような気がするんだけど」
 「入学式だろ」
 「そうか、それか。でも、なんとなくだけど似ているんだよな」
 「誰に?」
 「んー……、俺の顔?」
 「え?」
 「な、わけないか。でも、誰かに似ているような……」

まさか、分かるわけないはずだ。
そう思ったから遮ってやった。
 「俺にだろ」
 「なんで俊平?」
 「副学長は俺と一緒で理知的で意地悪だからな」
 「そういうことを自分で言うのか」

治の頭をぐりぐりして言ってやる。
 「お前も思うだろ」
 「意地悪なのは分かっているけど理知的だなんて思ったことない」
 「の野郎―、神社まで走るぞ」
 「えー、山道を走るの?」
 「そうだ。とっとと走れっ」




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