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クリスマスに芽生えた友情 (3) 

 毎日のように遊びに行ってるヒロトはサンタクロースは皆が皆、バイリンガルだと気が付いた。
 もしかして、お爺様との電話の内容を知られてるのかもと思ったが、悪口を言った覚えは無い。
 それでも心優しい人は居るもので、ヒロトに声を掛けてくる。
 「あの、うちの裏なら使っても良いよ」
 「裏って、あの、良いの?」
 「私はショウ。私の敷地には誰も文句を言わないから」
 「本当に良いの?」
 「同じ日本人同士だし、仲良くしよう」
 「本当に、本当に良いの?」
 「良いよ。だけどテナント賃は貰う。いいかな?」
 「ありがとう」

 ショウの家は土産品店をしているが、居住の方はシンプルだ。
 ローマ字でYAMAGUCHIと書かれている。
 「山口さんって言うの?」
 「そうだよ。山口昌平。ショウで良いよ」
 「僕は福山博人。ヒロトって呼んで」
 「それなら、ヒロトは私の所で働いて貰う。それがテナント賃な」
 
 まさか、そんな言葉を聞くとは思っても無かった博人は目をぱちくりとさせていた。
 「え、働く?」
 「そうだよ。働いた分のお金をテナント賃として貰うから」
 「もしかしてサンタさんになるの?」
 「そうだよ。サンタの服を着るんだ」
 
 わあっと目を輝かせたヒロトに、ショウは可愛い天然坊やだなと確信した。
 これは、ふっ掛けられ騙されるタイプだ。
 そのヒロトの年齢を知ると、益々驚いたものだった。
 思わず言っていた。
 「ヒロトは童顔なんだな」
 「それ言わないで」
 
 ぶんむくれるヒロトは可愛い。
 だからショウは言っていた。
 「私は、こう見えてヒロトと同じ16歳だよ」
 「じゅ、じゅうろく?」
 「そう。ヒロトと同じ年齢だよ。同学年だ。それに私は中高をスキップして、現在大学1年だよ」
 「ショウって老け顔なんだね」
 「そこかよ」
 頭を小突かれるが痛くない。
 こんな風に、誰かと対等に話ができるだなんてヒロトは思っても無かった。

 ヒロトは朝から昼前までは自由に遊び、お客さんの来る昼前から17時までをショウの土産品店で働く。
 マルクが仕事から帰ってくるのは19時前だから、もうひと遊びできる。
 だから、薄暗い雪の中で遊んでいた。


  そして、1週間後。
 ヒロトは頑張って働いたせいか、ショウの敷地の一部を買い取ることができた。
 
 「すっごいなあ、ヒロトは」
 「なにが?」
 「1週間で8,000ユーロも儲かるなんて。私より才能あるかもな」
 
 その言葉に、えへへっと頭を掻いていた。
 ショウは2,000ユーロをヒロトに手渡す。
 「え、どうしたの?」
 「これは、テナント賃を貰った残り。それはヒロトの実際に貰える給料だよ」
 「こんなにも貰えるだなんて」
 「よく頑張ったな」
 
 頭を優しく叩かれ、そんな言葉を聞いたヒロトは嬉しそうだ。
 「ありがとう」
 プレゼントが買える。
 そう思ったヒロトだった。


 今度は、かまくら作りだ。
 材料の雪には困らない。
 なにしろ、毎日の様に降っては積もりを繰り返してるからだ。
 お客さんの邪魔にならない様に午前と夕方になる前の2回は屋根から雪落しをする。
 そして道端のを雪かきして道ばたによける。
 
 クリスマスは24日だけど、マルクの誕生日は、その前日の23日だ。
 どうか間に合います様に。



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