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俺はノーマルだ。お前と一緒にするな! (16) 

 優介が出て行った後、師匠の口調が変わった。
 「ところで、君は昨夜、何処で何してたの?」
 「え、それは…」
 「男売りか?」
 「違います」
 「なら、身体に付いてる痣や噛み痕に、体内に入っていた精液はどういう事だ?」
 「思い出したくない…」
 「嫌な奴か」
 「無理矢理されて…」
 「喧嘩売ったのか?」
 「いえ、その…、護身術を発揮しちゃって…、相手の、アソコに当たって…」
 「被害届を出したらどうだ?」
 「んー…」
 「相手は、どんな奴?」
 「んー…」

 何も言えないでいる俺に、師匠の声音がガラッと変わった。
 「岡崎君?」

 こ、この声音は怖い。
 まるで俊平先生のドスを効かせた声か、それ以上のものだ。
 せめて顔を伏せて素直に返した。
 「んー…、警察には」
 「知ってる奴か?」

 仕方ない、助けて貰ったのもあるからなあ。そう思うと言っていた。
 「常務秘書をする前に専務秘書をしていたのですが、その上司である専務です」
 
 今度は師匠が呻った。
 「んー…、それだと警察に突き出すのは厄介な相手だなあ」

 師匠の声音と口調は元に戻った。
 「腹が痛いのは、その精液を掻き出す処理をせずに放りっぱなしにしてたからだ。しかも汗びっしょりでスーツもびしょびしょだったし。
車の中で寝ていたから、寒さも手伝って痛くなる。腹痛は当然だな」
 「師匠、詳しいですね」
 「こう見えても、大学卒業して8年半、病院勤務してたからな」
 「あ、そうか。お医者さん、されてたのですよね」
 「これに懲りて買いも売りもするなよ」
 「しませんっ。それに、するつもりも無いです」


 すると師匠はドアを開けた。
 なぜ開けるんだと思ったが、優介がお盆を持って立っていた。
 「悟さん、開けてくれてありがとうございます」
 「足音が聞こえたからな」
 
 ああ、なるほど。そういう事ね。

 優介は俺が横になっている布団の上に、病院でよくある移動式のテーブルをセットして置いてくれた。
 「はい、どうぞ」
 「ありがとう」

 とろろ昆布をトッピングした手打ちうどん。人参と南瓜が程よく柔らかく、ふわふわ玉子も加えられた、あっさり塩味のおじやを食べていた。
 「美味ーい」
 「良かった」

 全部、食べきっていた。
 「ありがとう、ご馳走様でした」
 「どういたしまして。汁も残さず飲んでくれて嬉しいな」
 「だって、美味しかったから」
 「ありがとう、そう言ってくれると嬉しい」

 ああ、最高。
 優介の手料理が食べれて本当に幸せだなあ。




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