FC2ブログ

秘書の育成研修 (24) 

 二部の方も見終わると、秘書課長がテストをやりたいと言ってきた。
 「え…」
 「課長が…」
 
 ざわつく会議室の中、秘書課長は言い放つ。
 「役秘書ではなく、3階の秘書。長付きでなくても良い。誰か居ないか」

 そう言われても相手は課長だ。
 まだ秘書との方が良い。
 そんな中、声が聞こえてきた。
 「課長、お願いします」
 「岡崎君は」
 「こんな機会滅多にありませんので、お願い致します」

 先に岡崎にされては、後の奴はどうなる。
 まだ先にした方が良い。
 岡崎は最後にして正解を見せてくれ。
 そう思ったのか、複数の手が上がる。
 一番先に声を出した。
 「はい、課長」
 「お、リーダーか」

 そのリーダーを筆頭に、時間の許す限りと言っても5人が課長を相手に育成していく。

 その様子を見ていた山岡は感心していた。
 (さすが、課長だな。二度見ただけで大体の感じを掴み取っている。相手の秘書は研修が必要だな)と、育成モードに入っていた。


 「それでは時間になりましたので」
 「岡崎さんので〆ませんか?」
 「え、岡崎…」

 当の本人は驚いてる。
 「え、良いの?」
 「はい。見せて下さい」

 (ふむ、岡崎さんね。彼は今まで何人も育成してきたベテランと言われてる人だ。お手並み拝見)

 「それでは、宜しくお願いします」
 岡崎さんのが始まった。


 (さすが岡崎さん。心得を見ながらなのは残念だが、課長と張る位だな。実のある研修で良かった。来て良かったかも)と、育成モードに入っていた山岡だった。


 岡崎さんのが終わるとブザーが鳴った。
 「お昼の弁当がきた。皆の弁当なので、5,6人ほど付いて来て」
 「はいっ」

 峰岸を先頭に弁当を受け取りに、6人は1階に降りていく。

 岡崎は残りに声を掛けている。
 「午後は14時から始まります。それまで楽にして良いですよ」
 「何処で食べるのですか?」
 「上で食べる様にしてます」
 「上とは何処ですか?」
 「桑田常務の社食室です」
 「あー、あそこね」
 「社内でも場所を変えると気分が違うでしょ?」
 「たしかにそうですね」



 夢は重役秘書。
 やっと夢が叶い常務秘書になった。
 それでも努力していかないと直ぐに追い越される。
 この研修は、ある意味、自分の努力の向き加減を教えてくれる。
 先ほどの順番でもそうだ。
 俺のが正解だと言うものでは無い。


 エレベーターが2基とも上がって行く。
 そろそろ上がるか。

 あの2人は、どんな格好して来るのかな。
 楽しみだ。






にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


関連記事
スポンサーサイト

0 Comments

Leave a comment