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秘書の育成研修 (15) 

 峰岸が説明し終わると師匠は質問してきた。
 「どうして水曜なんだ?」
 「水曜は定休日ですよね」
 「どうして私なのかな?岡崎君だって出来るだろう」
 「私は空手しか出来ません」
 「空手と少林寺だったよな」
 その言葉に、(この野郎…)と思わず睨んでいた。
 「…何年も前の事なのに、記憶力良いですね」
 「当たり前だ。私を誰だと思ってる」
 「た、たしかに、申し訳ありません……」

 峰岸が聞いてくる。
 「え、岡崎って少林寺も出来るのか?」
 「他人に教える事は出来ないよ」

 師匠はまだ何か言いたそうにしてるが、これ以上自分の事を峰岸に知られたくない。
 だから言っていた。
 「返事は今月中にお願いします」

 すると、ずっと黙って聞いていた優介が口を挟んできた。
 「あの、良いでしょうか?」
 「はい、どうぞ」
 「その道場を見学させて頂けないでしょうか?」
 「誰も使ってないですよ」
 「どの位の広さなのか、また傷とか凹みはあるのか。それ等を目で見て確認させて下さい」
 「あ…、書いてない」
 「だけど水曜でないと時間が取れないので、来週の水曜に見学をさせてもらって、それから考えて返事をします。それでも宜しいでしょうか?」
 「はい、良いですよ」
 「12時に着くように行きます」
 「はい、分かりました。お待ちしております」


 玄関先まで2人は送ってくれた。
 「お邪魔しました」
 「来週の水曜、お待ちしております。今日は、ありがとうございました」

 門から出ると峰岸は声を掛けてくる。
 「岡崎、どう」
 
 言いたい事は大体分かるので遮ってやる。
 「言っとくが、掃除してないから書かなかっただけだ」
 「何の事だ…」
 「道場の傷とか凹みの事を聞きたいのだろ。来週の火曜にでも掃除するかな」
 「掃除してないのか…」


 翌週の火曜。
 ルンルンと鼻歌交じりでジャージ姿になった桑田常務と、ブーブーと文句を言いつつもチノパンと私服のシャツというラフな格好に着替えた冴木を連れて、Tシャツと黒のスラックスというラフな格好に着替えた峰岸は4階にある道場に向かった。すでにジャージ姿に着替えた瀬戸常務と岡崎と玖倭田が掃除道具を手にしている。
 「お待たせ」
 「6人だと早く終わりそうだな」

 叩き係り、掃除機係り、拭き係りと別れて掃除をする事2時間で掃除は終わった。
 終わった後、岡崎は峰岸に言っていた。
 「なあ、もしかして…」
 「何だ?」
 「俺、何も考えずに冴木と玖倭田を入れ替えたけど」
 「どうした?」
 「ごめん」
 「今更だな」
 「分かって無かったよ。替えなきゃ良かった」
 「人との付き合いも勉強だ。良い経験さ」
 「そう言ってくれるとありがたい」





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