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秘書の育成研修 (12) 

 岡崎は、19時過ぎに着くように行く。
 毎週水曜は道場は休みだから居る筈だと確信を持っての来訪だった。
 ブザーを押そうとしたら、いきなり門越しに声が掛かってきたので驚いた。
 「何だ?」
 「急に来て、申し訳ありません」
 「何か用か?」
 「お願いがありまして」
 「会社絡みな事は断る」
 「話だけでも聞いて下さい。土曜と日曜しか休めないのですが、どちらが都合付きますか?」
 「私に休みは無い」
 「師匠」 
 「帰れ」
 「帰りません。アポだけでも取りたいんです」

 門先で言い合いしていたら優介の声が聞こえてきた。
 「徹、どうしたの?」
 「え…、優介はどっか行くの?」
 「うん。今夜はコンビニでバイトだから」
 「師匠にアポを取りたいんだ。話しだけでも聞いて貰いたくて。土曜と日曜なら、どちらが都合付くかなあ」
 「んー…、昼過ぎまでは店の方をしてくれるからなあ」
 「それからは?」
 「道場」

 その言葉にガックリきた。
 優介の両腕を取り身体を揺らしてやる。
 「優介ー、ヘルプ、SOS」

 ガクガクと身体を揺らされ優介は悟に目をやる。
 「悟さん、どうしよう」
 「仕方ないなあ。明日の夜なら良いぞ」
 「ありがとうございます。19時でも大丈夫ですか?」
 「ああ」
 「それでは、明日の夜19時に2人で来ます。居て下さいね、絶対ですよ。約束ですよ」
 「はいはい」


 騒がしい奴が帰った後は静かになった。
 「まったく、あいつは騒がしいな」
 「悟さんは騒がしいの苦手だよね」
 「まあ、あれよりはマシだが…」
 あれより…。
 スズメ、お前は天国でサメと楽しく喋ってお喋りに花を咲かせてるだろうか。
 私の相棒。
 永遠の右腕。


 その沈黙を破る様に優介の声が聞こえてきた。
 「それじゃ、行って…。ちょ、ちょっと悟さん、何してるの。待ってよ、今日はこれから」
 「るさいっ」

 悟の肩に担がれた優介は喚いている。
 「あー…、俺の小遣いー」

 悟は玄関ではなく、そのままの状態で2階にある自分の書斎のベランダへと飛び上がる。
 「や、止めてっ。怖いー」
 

 ベランダ側のサッシ扉は開け放たれており、そのまま寝室へと向かう。
 優介は書斎に着いた時点で、やっとの事で喚くことを復活させていた。
 「唯一の、純粋な俺だけの、自由に使える小遣いがー、減っていくー」
 「優介、お前も騒がしいぞ」





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特別出演の山口悟&斎藤優介でした。
悟=岡崎の大学の先輩で、通ってる道場の道場主であり師匠
優介=岡崎の高校生からの親友

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