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秘書の育成研修 (7) 

 話しが終わり時計を見ると2時間も経っていた。
 先に声を掛けてきたのは峰岸だ。
 「今日はありがとうございました。色々なアドバイスも頂けて助かりました」
 「いえいえ」
 
 今度は岡崎だ。
 「驚きましたよ。まさか明智じょ、じゃない。明智さんがボスされてるだなんて」
 「で、どの様なタイプが、ご希望ですか?」

 2人の声が重なった。
 「最初に出てきてくれた方です」
 「最初とは?」
 「少し年を召された方です」
 「皆、年を召した奴ばかりですが」

 返事に詰まった岡崎の代わりに、峰岸が応じる。
 「一番最初に受付に出てこられた方です。とても品があり背筋も伸びてらっしゃった」
 「ああ、父ですか…」

 その返事に2人は食いついた。
 「ぜひ、その方にお願いしたいです」
 「んー、あれは秘書で無く…」
 だが2人は怯まない。
 「それでしたら、直にお願いしたいです」
 「宜しくお願い致します」

 2人揃って頭を下げてるが、父がキレるとどうなるのか分かっている明智は渋っている。

 インターホンの呼び鈴を押すと、直ぐに返事があった。
 『何でしょう?』
 「応接室に、お願い」
 はい、と返した父は2階の高瀬部屋に連絡を入れて応接室に向かった。
 入れ替わるように3人は受付に出てきた。


 トントンッとノックをして声を掛けてやる。
 「失礼致します。御用でしょうか?」
 「この2人が指名してくるんだ」
 「何の?」
 「仕事の依頼。直にお願いしたいそうだ」
 「え、私にですか…」

 その言葉に2人は「はい」と頷く。
 「お仕事とは、どの様な事でしょうか。私に出来る事なら良いのですが」

 岡崎が先に応じる。
 「簡単に申し上げますと、我が社の秘書に秘書としてのあるべき姿を指導して頂きたいのです」
 「秘書として…」

 次は峰岸だ。
 「秘書として上司をどのように手助けるのか。そして言葉使いや礼節等をも含めて指導して頂きたいのです」


 応接室のドアにグラスを当てて聞いていた3人は驚いてる。
 「え、何…」と呟きが出たのは峰岸の直の上司である桑田常務こと桑田政行。
 「今更、何て事を…」とは副社長秘書の山岡。
 「辞めてて良かった…」とは、社長秘書と桑田常務秘書をしていた高瀬だ。


 「え、それを私にですか?」
 「はい。是非、お願いします」

 自分の仕事を知ってる筈の息子に目をやると、肩をすくめ両手を軽く上げている。
 ああ、お手上げ状態なのか。
 「お二人とも、お顔を上げて下さい。申し訳ございませんが、考える時間をください。後日、お電話差し上げます」


 あ、話が終わりそうだ。
 そう思った3人は奥へと移動した。

 「よろしくお願いします」
 「良いお返事をお待ちしております」

 父の視線を受けた息子は溜息を吐いた。
 「考える時間は3日間かな」
 「そうですね。それ位あれば良いかと思います。今日は日曜日ですので、水曜日の夜に、ご連絡差し上げます」

 その言葉に2人はお辞儀をした。
 「宜しくお願いします」
 「今日は、ありがとうございました」



 受付まで見送った明智父子は溜息を吐いた。
 先に口を開いたのは父の方だ。
 「なんで断らないんだ」
 「あの社長の会社だぞ。断わるべきか否か迷ってるんだ」
 「この私に秘書なんぞ」
 「3日間、考えるんだろ。考えて決めよう」






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