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秘書の育成研修 (5) 

 お客様用のお茶を載せているトレイを押し付けられたボスは「仕方ないね…」と呟くと、ドアをノックして入る。
 「お待たせして申し訳ありません。しかも煩くしてしまい申し訳ありませんでした」

 その声に振り向くと、その人はお茶を置いてくれてる。
 「あ、いえ、こちらこそ10分も早くに来てしまい申し訳ありませんでした」

 ふと隣を見ると、峰岸は黙ったまま突っ立っている。
 「おい、峰岸」

 まだ固まっている峰岸の耳を引っ張ってやる。
 「おい、峰岸っ」
 「いっ…てぇ…、何するんだっ」
 「お前が黙ってるからだろ。うるさ」
 「岡崎は知ってたのか」
 「何のこ」
 「ここの人って」
 「知るわけないだろ。今日が初めてなんだから」

 そう言い放つと、再度お辞儀をして謝りの言葉を口にする。
 「煩くして申し訳ありませんでした」

 次は名刺を取り出して目の前に居る人物に手渡す。
 「私、桑田コーポレーションの岡ざ…」

 その時、相手の人の顔をまともに見た。なるほど、峰岸が固まった理由が分かった。いや、その前に言い出した自己紹介が先だ。
 「常務秘書を、している、岡崎と、申します」

 (ああ、やばい。喉がカラカラだ)
 「今日は、お時間を、割いて頂き、ありがとうございます」

 なんとか言い切ると、相手はにっこりと微笑んできた。
 「はい、最後まで良く言えました」


 どうしよう…、相手は道楽息子だと思っていたのに。
 その相手は名刺を出してきた。
 「この人材育成センターのボスをしている明智です。どうぞ、お座りください」

 その言葉で遠慮なく座った2人に、ボスは口を開いた。
 「今日は仕事の話をしに来られたんですよね」

 その言葉に先に我に返った峰岸は応じた。
 「はい、そうです」

 今度は岡崎が固まってしまった。
 
 



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