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秘書の育成研修 (4) 

 約束の日曜日。
 11時に待ち合わせして昼食を食べる。誰かとランチだなんて久しぶりだ。軽く打ち合わせをすると、件の人材育成センターへと向かう。
 駅から歩く事5分と書かれてあるが、どこにあるんだと探すと看板が見えた。

 昔は蔵として使っていたのだろうと思える建物に、そこは在った。
 入り口って何処にあるんだ。
 少し歩くと門戸があり、人材育成センター専用の入り口と書かれてある。
 これは1人だと決して入れないだろうなと思った岡崎は隣に居る峰岸に目をやる。その峰岸は溜息を吐いて呟いてる。
 「純日本家屋か…」
 「こういうのは苦手か?」
 「まあな…」
 
 (ごめん、俺は見慣れてる)と心の中で謝り、その言葉に応じていた。
 「一緒に来てくれて助かったよ。1人だと帰ってる…」

 (1人だと、お婆ちゃん家に行ってたかも…)と心の中で苦笑していた。
 感覚でいくと、この近くにお母ちゃんの実家があるはずだ。帰りに寄ろうかなと思った。

 しかし立派でデッカイ家屋だなあ。お婆ちゃん家よりも立派な気がする。

 約束は13時だが、遅れるより良いだろう。10分前だけど良いよな。そう解釈すると2人は門戸を潜り人材育成センターのドアを開けた。


 落ち着いた鈴の音が鳴る。
 少し待ってると奥からバタバタと足音が聞こえてきた。
 初老とは言い難い品のある男性が出てきた。
 「お待たせして申し訳ありません」
 「いえ。早く来過ぎてしまい申し訳ありません。13時に予約している岡崎と申します」
 「お話を聞きに来られるという事でしたよね?」
 「はい、そうです」
 「もうしばらくお待ちくださいませ」
 「はい」


 バカ丁寧でなく自然と落ち着きのある態度の人だ。
 その人が奥に消えたのを見計らうと思わず言っていた。
 「今の人の様な物腰って良いなあ」
 「見習いたいものだな」

 すると奥から声が漏れ聞こえてきた。
 「まだ食べてるのかっ!お客様を待たせてどうするっ」

 その声に応じて呟いていた。
 「あ、いや、早めに来たからなあ。ごめんなさい、まだ時間はあるのでゆっくり食べて下さい」
 「5分ほど遅く入れば良かったかもな」

 待ってる間、仕事場の受付だろうと思える、その場所をぐるっと見回していた。
 置いてある物はシンプルだが物は良い。建物が建物だけに道楽息子がやってるのかと一瞬思っていたが、どうやら父親がしっかりしているみたいだ。恐らく、先程の人が父親なんだろう。

 誰かが近くのドアから出てきた。
 「お待たせ致しました。こちらにどうぞ」
 「あ、はい」

 「すぐボス、おぅっ…」
 そう言うと、その人は逃げる様に奥へ引っ込んだ。
 「おぅっ、て何…」
 「あれ、どうしたんだろ」

 奥の方から、先程の声が聞こえてくる。
 「とっとと支度して下さいっ」
 「もう少しだから。それ、私のお茶か」
 「違いますっ。お客様のですっ」


 あ、お茶かあ。
 別に急がなくても良いんだけど。
 「中に入ってようか」
 「そうだな。どうぞって言われたからな」

 そんなにも待つことなくドアの向こうから声が聞こえてきた。
 「で、私が持って行くの?」
 「誰が話しをするのですか」


 シャリンッと誰かが入ってきた音と同時に声がする。
 「毎度ー、宅配です」
 「私は、あっちなので」
 「えー」

 受付に行った男性は笑顔で応対する。
 「こんにちは、いつもお世話になっております」
 「ハンコお願いします」
 「はい」






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この受付へ逃げてった男性って、誰でしょう~?

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