FC2ブログ

甥っ子コンプレックス (8) 

 一方、ヒロトは泣くまいとしていた。
 真っ暗闇の中に、いくつもの双眸がこちらに向いている。
 声を出せば襲ってくるだろう。

 なぜ、こんな所に入れられたのか。
 どうして右奥の部屋に入るなと睨まれていたのか、それが分かった。
 これは勝手な事をしたお仕置きだ。
 そう悟った。

 もう自分勝手な事はしない。
 たしかに、誰にも言わなかった。
 もし言ったとしても誰かが一緒に居てくれただろう。
 それか、外出禁止と言われただろうな。
 だけど、マルクは怖い。
 こんな所に一日も、23時間も居れない。


 だが、マルクは知らなかった。
 その50匹を含め、屋敷中のド―ベルマンは全てがヒロトに懐いていた事を知る由もなかったのだ。なにしろマルクとは違い、ヒロトにはたっぷりと時間がある。屋敷中のド―ベルマン相手に頭だけでなく、腹もなでなでして遊んでいるからだ。

 基本的にド―ベルマンは、自分に威嚇の目を向けてくる時に敵意を剥き出しにする。
 相手が誰なのか分かったド―ベルマンは近付きもしない。それに匂いで分かるものだ。ド―ベルマンに限らず、犬は嗅覚が非常に優れているからだ。

 ヒロトは身を縮こまらせて震えていた。
 日本に帰りたい。
 日本に帰るまでの辛抱だ。


 どれ位の時間が過ぎたのか分からない。
 気付くと、朝陽が部屋内を照らしているのか、熱さを感じる。
 あれ、僕はまだ死んでないって事か。
 23時まで、後どの位あるのだろう。
 マルク、お願い。
 早く来て。
 僕、もう勝手な事をしないから。
 だから、早く。
 ねえ、ここから出して。

 でも、もう少しだけ寝ていたい。
 怖いのだけど、なんだか暖かい。








にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


ヒロト―、寝るんじゃない

関連記事
スポンサーサイト

0 Comments

Leave a comment