FC2ブログ

GW旅行は能登半島 (45) ~初の送迎車

 8時に迎えに来るって言ってたんだよな。
 本当に来るのだろうか。朝の挨拶を心の中で復習しようとすると、1台の車がマンションの車寄せに近付き停車した。
 「桑田常務おはようございます。お待たせして申し訳ありません」
 「おはようございます。朝からすみません」
 「常務、一つ宜しいでしょうか?」
 「はい、どうぞ」
 「龍に気を吸い取られたと伺ってます。その時、龍から何を貰いましたか?」
 「は?え、何をって、何の…」
 「龍は気品のある生き物であると同時に荒れ狂う生き物であると言われてます。気品と怒り、どちらを貰いましたか?」
 「え、どっちって…」

 何の事を言われてるのか分からない。誰かヘルプと思っていたら笑い声が聞こえてきた。
 利根川だ。
 「利根川専務おはようございます」
 「くっくっくっ…。おはよう。本当に、お前は笑わせてくれるよなあ…」
 
 何の事か分からない俺は何て返せば良いのか頭をフル回転させていた。すると、1台の黒い車が音もなく目の前で停車した。運転手は下りて挨拶してくる。
 「利根川専務、おはようございます」
 「おはよう」

 ガチャッと後部座席のドアを開けたのを見ると、さっさと乗ろうとしている利根川を逃げないで欲しいと思いながら見ていた。視線に気が付いたのか、こっちを見てくる。
 「送れずに来いよ」
 「分かってるよ」

 そう返すと、車は走り去った。
 冴木君は声を掛けてくる。
 「桑田常務」
 「はいっ」
 「気品を貰ったと思っておきます。ただ、そんなにビクついてると虐めたくなるので堂々としてて下さいね」
 「え…」

 急に何を言いだすんだと思っていたら、車を指し示す。
 「車にどうぞ」

 自分の発した言葉を考えてるのだろうと簡単に推測できるが、中々動こうとしない上司にイラついていた冴木は、先程の利根川専務の送迎車を思い出すと後部座席を片付け席を作る。まあ、相手は常務とは言え社長子息だ。助手席は無いよなと思い返したからだ。

 「失礼致しました。こちらにどうぞ」
 開けたドアを指し示し、軽く礼をする。
 この急な展開についていけない政行は固まっていた。






にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村

初の送迎に、初っ端から固まる政行wwww


関連記事
スポンサーサイト

0 Comments

Leave a comment