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GW旅行は能登半島 (37) ~ 「Be taken by a dragon !」(龍に食われろっ!)

 時は過ぎ、GWも終わった翌週の金曜日、朝食を兼ねたモーニング会議が始まる。
 検査入院していた利根川専務と瀬戸常務と桑田常務も東京に戻り、会議に出席している。
 会議を始める前に社長が声を掛けてきた。
 「GWでは、お疲れでした。とんでもない事に出遭ったが、無事に戻ることが出来て安心したよ。
それじゃ、始めてくれ」

 司会進行役が議事録を進めていく。
 次々と報告や質疑応答がされていき、いよいよ最後のページになった。
 「それでは、最後です。秘書の峰岸さん、説明お願いします」
はい、と返事をしてマイクを持つ。
 「来週の月曜から1ヶ月半、秘書が動きます」
 「え…」
 「動くって…」
 「秘書って…」

 ざわざわとし出した。
 「ご覧の通りです。社長、副社長だけでなく、秘書課長にも許可を頂いてます。メインの方はこの後戻るとサブの方に連絡して下さい。宜しくお願いします。以上です」
 「質問!」
 「どうぞ、時間の関係上2つまでにお願いします」
 「常務にもサブが入ってるようですが必要なのですか?」
 「私も質問!社長秘書も動くのですか?」
 「2人とも、何処を見てるのですか?ちゃんと隅から隅まで目を通して質問して下さい。以上です」

 「それでは、モーニング会議を終了します。お疲れ様でした。今日一日頑張ると、明日は休みです。頑張って下さい」


 だが、利根川専務秘書の山本は食って掛かる。
 「峰岸さん、意味が分かりません」
 「何処の部分ですか?」
 「日本語で書かないと分からないという事です」
 「ここは外国語必須の会社です。しかも、英語は大前提。自由に話せるだけでなく読み書きも必要なのは言わなくても分かるでしょう?」

 利根川専務の意地悪そうな声が聞こえてくる。
 「山本君、通訳してやろうか?」
 「結構です」
 「Can I help you ?」(何かして欲しい事は?)
 即座に、こう応じていた。
 「Be taken by a dragon !」(龍に食われろっ!)

 その言葉に、皆が笑い出す。
 岡崎さんが助け船を出してくれた。
 「ああ、そっかあ。山本君は英国英語だっけ、USA米語はダメなの?」
 「米語は、ちょっと…」

 気を悪くせずに豪快に笑っている利根川専務は、なおも言ってくる。
 「通訳してやるよ。秘書が出来ん奴は新入社員としてゼロから始めろとさ」
 「なっ…」
 即座に2つの声が反応した。
 「いや、そこまで書いてないだろ…」とは峰岸さんだ。
 「捻くれ専務だなあ…。峰岸、殴り書きの自筆部分、丁寧に書き直してやれよ」と岡崎さんは言ってくれるが、峰岸さんは苦笑している。
 「えー、私は米国米語の方が良いんだけどな。英国英語は苦手だ…」

 そのやり取りを聞いて、副社長秘書の榊原は内心、焦っていた。
 副社長が言ってくる。
 「榊原君も米国米語は苦手だよね。いい機会だ」
 「副社長、何を言われてるのですか?」
 「上二役の秘書をしているんだ。いくら乱筆乱文の米国米語でも、こんな簡単な意味が分からないのでは専務秘書のサブにも劣る。よくそれで上二役になれたな」
 「ふく…」


 この2人だけでは無いが、説明文を和訳するとこうだ。

 『 ― 秘書の改革 ―
 今回のGWの秘書の行動には目に余る事が多々ありました。
 ”誰かがするだろう”
 そんな気持ちは捨てて下さい。

 各重役の方にはご迷惑おかけしますが、以下の点に御理解、御協力お願いします。
①秘書本来の質の向上
②残業しなくても済むスケジュールの組み方
③メイン秘書は何を優先すべきか
④サブ秘書は何をするべきか

 秘書の育成がなってません。
 毎日の業務をしながらの育成は難しいものがあります。でも、出来ている人もいます。

 1ヶ月半という短期間ですが、ある程度までの育成を常務秘書が行います。
 すでに、話を通してます。
 1ヶ月半後からは各々の室で引き続きメイン秘書がサブ秘書を育成する様にして下さい。


 提示した事柄に文句あるなら、秘書課からやり直せ!(自筆殴り書きの乱筆乱文) 』







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お茶目な利根川専務と利根川専務のメイン秘書のやりとりでした。


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