GW旅行は能登半島 (17) ~対面相手は。。。

 いきなりスピードが止まった。
 「っ…」
 「はあ…」
 「あっぶねえ…」
 「良かったあ…」

 聞き慣れた声が聞こえてきた。
 「た、助かったのか…」
 「そうだよ。しっかし落ちてくるスピードが強いな」
 「サンキュ、助かった」
と言いかけた時に気が付いた。利根川専務だ。だから付け加えた。
 「ありがとうございます、利根川専務」
 「助かって良かったよ。高橋君は一番の働き者だからな」
 「そう言われると恐縮です」

 自分の状態を確認しようと見ると、安藤専務の片手に腕を掴まれ、利根川専務の片手で腹を押さえられ、坊ちゃんが腰を支えてくれてる。
 「ありがとうございます。もう大丈夫です」

 そう言うと、3人共手を離してくれたので、大きく3回転して崖石を掴み体制を整えた。
 「いきなり声がしたんだ。”それで隠れてるつもりか”と」
 「誰に?」
 「分からない。だけど、座っていた木が急に消えて落ちたんだ。誰かに引っ張り上げられて突き落とされた感じで…」
 「本当に大丈夫か?」
 「大丈夫です。ちょっと水分補給させて下さい」
 「どうぞ」

 二口飲むと気が楽になった。
 すると叫び声が聞こえてきた。
 「うわあー…」

 その叫び声に反応したのは安藤専務だ。
 「芳樹?芳樹、芳樹っ」



 高橋常務が先に見つけていた平らな休憩所に辿り着いていた瀬戸常務は、あるものを見て驚き声を上げていたのだ。
 ”ああ、忌々しい。この枷が無ければ簡単に屠ることが出来るのに”
 「屠るって、食べる事か…」

 相手はニヤリと笑みを浮かべてる。
 ”お前は、さっきのと違い肉が付いてて美味そうだ”
 「まさか…」

 ”こっちにおいで。腹を満たせてもらう”
 「あ…」



 「あれ、落ちてこない?」
 「しがみ付いてるのか?」
 「どうしたのだろう…」

 皆の声に対して、坊ちゃんはこうだった。
 「違う…」
 「何が?」
 「何かが居る」
 「だから、何が?」
 「これは何だろう。何か変な感じだ」

 切羽詰まった時なのに、気になり聞いていた。
 「坊ちゃんのクリスタルペンダント、さっきから輝いてるけど」
 「ああ、これ。この正月休みにオーストラリアに行った時に貰って、水に反応するんです」
 「オーストラリア?」
 「水に反応?」
 「正月休みって」
 「身に付けてると良いよって占いの人がくれたんです。この正月は何も無かったから、だからオーストラリアに行ってたんです」

 その言葉に3人は納得した。
 「まあ、こっちが冬だと、あっちは夏だからな」
 「いいなあー」
 「行きたいが、あまりにも遠すぎだからなあ」




 オーストラリアに行った本当の目的は別にあるのだが、言わなくても良い事だ。
 博人先生を相手に、お父ちゃんが、またしたのだ。
 まったく、会社の社長とは思えない行動を取ってくれたものだった。








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良かった、良かった(´▽`)

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