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GW旅行は能登半島 (8) ~残り、5人。。。

 副社長の声で中腹にある小屋に辿り着いた。
 こんな所に小屋があるのが不思議だ。入るべきか入らざるべきか副社長も迷っていた。

 久和田は小屋をじっと見ている。
 他6人は水筒に口を付けて水分補給をしている。何を思ったのか久和田は扉を開け中に入って行くので、残りも付いて行く。
 久和田は壁をじーっと眺めていると、徐に自分の水筒の口を開け、ある窪みに水を注いでいく。
 「あ、足りない。誰か、あと2つなんですが」
 「いいよ、入れるよ。どこに入れば良い?」
 こことそこです。と指し示すと副社長は水を注いでいく。
 途端に床の一部に裂けめが出来て、2人は飲み込まれてしまった。
 「え」
 「な」
 「くわっ」
 「ふく」
 「何が起きて…」
 副社長と久和田が消えた。
 2人を飲み込むと、床は元通りになった。

 
 「残り5人」
 その声に、残り4人は振り向いた。
 安藤専務は怖い顔をしている。
 「最初は3人で、次は2人。今度は何人だ」
 「安藤専務、怖い事を言わないで下さい」
 「もし、次に消えてしまうのが私になると」
 「だから、そんな怖い事を言わないでと言ってるの」
 「芳樹…」
 「俺は嫌だからね。小母さん達に博嗣が死んだたなんて言いたくない。それに伯父さんは怖いんだよ。2人して木登りして木から足を滑らして落ちた時、ナタを振り回して、”なんで、お前だけ生きてる”って。それが死んだと聞かされたら、今度こそ殺される。
伯父さんに殺されるより、まだ2人一緒に死んだ方が良い」
 「まあ…、親父は熱血だからな」
 「熱すぎるよ」
 その言葉に博嗣は苦笑していた。
 「そうだな…、取り敢えず、てっぺん目指して登るか」


 いつの間にか小屋の壁は消えていて崖肌一面になっていた。
 「芳樹、お前入れてるか?」
 「え、何を?」
 見せてみろと背に負っていたリュックを背から取られた瀬戸は、何勝手な事をしてるんだと喚いてるが、安藤専務の行動に納得した。
 「3つか…、俺のと合わせて5つ。一人1つだな」
 「あ、そう言う事…」
 「ほら、一人1つだからな。計算して食べろよ」
と、皆に分けてくれる。

 「うわ、重っ」
 「これって…」
 「何が入ってるんだ」

 その3人に安藤はきっぱりと言ってやる。
 「いいか。それは固形物で災害時の非常食だ。それ1缶で二日は保つ。固形とは言え水分も含まれている。大事に食えよ」
 「それじゃ、私からも渡しとくよ。蜜柑だ」
 高橋常務も蜜柑を渡してくれる。
 「ありがとうございます。どうしよう、何も持ってない…」と呟く桑田坊ちゃん常務に、
 「まあ…、背中が軽くなって良かったよ」と瀬戸常務の呟き。
 「良いか、それが各自の食糧だからな。大事に食えよ」と安藤専務は畳み掛けてくる。

 「何も無いが、私は」と言いかけてる利根川を安藤は遮ってやる。
 「利根川、お前は坊ちゃんと2人でチマチマと登ってこい。高橋君は足場の確保しやすい場所を選んで、その後ろを利根川と坊ちゃんは登ってくる」
 「安藤専務、私は?」
 「瀬戸君は、じゃじゃ馬だった頃を思い出して3人より前を登る」
 「じゃじゃ馬って…、それは誰の事?」
 「小学生の頃、学校指定の通学路だと遠いからと言って、毎日の様に崖を登り下りして通学していたのは誰だ?」
 「う…、そ、それは…」
 「同じ崖だ」
 「違うと思う……」

 未だに硬質な雰囲気を漂わせている安藤に溜息吐いた瀬戸は両手を軽く上げた。
 「分かったよ、分かりました。その代り、守ってね」
 「ああ、お前のデカいケツを後ろから守ってやる」
 「どっちがデカいんだよっ」


 このメンバー編成に文句はない。重役10人が全員とも居なくなると大変な事になるから、せめてもの社長子息だけは守れという大役を任されてしまった。
 「俺から離れるなよ」
 「お願いします…」

 一緒に登り出して数分後、皆は身軽に登って行く。しかも先頭を登っていた3人は落ちてくるし、桑田常務こと坊ちゃんも転げ落ちてくるのを腕を伸ばして引っ張り上げてやる。
 「あ、ありがとうございます」

 少し経つと3人は再び登ってきた。
 「どこまで落ちたんだ?」
 「さっきの小屋の所」







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