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可愛いと言わないで (53) ~お互い、告白

優介って、あの2人とどういう関係なのだろう。
その日の帰りのSHRが終わった後に聞くと「幼馴染なんだ」と、教えてくれた。
なるほど、それでタメ口なんだな。

徹は空手バカと言われてるが、バイオリンも奏でるので悟さんと共通点があるので仲良くしてくれるかもと思い、俺は言っていた。
 「徹、お願いがあるんだ」
 「俺に?」
 「うん」
 「何?」
 「あのね、悟さんと仲良くして欲しいんだ」
 「悟さん…」
 「ほら、昼間に紹介したでしょ」
 「ああ、あの悟様。え、俺が、あの方と仲良くって…」
 「俺にとって大事な人なんだ」
 「そりゃあ幼馴染と言えば」
 「俺、幼稚園の時に親が死んで、それからずっと育ててくれたんだ。俺にとって徹も大事な人なんだけど、それ以上に大事な人達なんだ」

自覚のない天然君に『大事な人』と言われた徹は、本当に嬉しかった。
 「ありがと。仲良く出来るかどうか分からないけれど約束するよ。
あの方たちに睨まれない様に大人しくします」
 「お願いね、空手バカの徹君」
 「天然君にも負けない様に頑張る」
 「天然って、誰の事?」
 「お前だよ。ほんっとーに自覚なしの天然だよな」

この野郎っ。
お互いに小突いていた。
この時、徹は初めて他人に自分の事を話しても大丈夫だと思った。
だから、優介を空き教室に連れて行ったのだ。

誰にも聞かれたくない。
2人だけの大事な話。
優介なら、誰にも話さないだろう。
そう思ってこその行動だった。

 「夏休みに入る前、家庭科部がテントを張っていた場所は、俺名義の土地なんだ」

その言葉に、優介は頷いた。
 「うん、知ってる」
 「道場主は俺の父親で、家庭科部に絡んでいたのは俺の従弟で、父親の弟の子供なんだ」
 「徹の家は金持ちなの?」
 「俺じゃなく、父方の祖父ね。俺の爺ちゃんが金持ちで、それを継いだだけなんだ。
俺は七光りで無く実力で入学したくて、この高校に入学したんだ」
 「モテるよね」
 「まあ、知ってる奴が居るからな。そこからバレたんだろ」
 「道場主の息子であり、自分名義の土地を持っている。だけど実力で入学したから、頭も良くて身体能力も良い。バイオリンも奏でるし、カッコイイから人気があるんだね」
 
そんな優介の言葉に応じる事も無く、俺は捌け口にしていた。
 「中学の時は腹が立って、色んな物を壊してたよ」
 「どんな物?」
 「一番最初に壊したのは犬小屋」
 「犬小屋?」
 「飼っていた犬を殺されて、人を殺める事だけはするなって言われて、犬小屋を壊したんだ」
 「それは」
 「俺は、あいつを許さない」
 「犯人、知ってるの?」
 「ああ」

優介は、思わず抱きしめていた。
まさか、そんな事をされるとは思わず、焦っていた。
 「ゆ、ゆう…」
 「泣いてないのでしょ?その犯人を許さない気持ちは分かるよ。だけど、泣いても良いんだよ」
 「優介…」
 「あのね、人間って本当に悲しい時は泣くか、それとも誰かに抱き付くと良いんだよ」
 「優介」
 「徹は泣くのを我慢していたんだね。俺の腕の中で良かったら、泣いて」

その言葉に、優介をギュッと抱いていた。
 「声、出して良いよ」

ああ、そうか。
こいつは親を亡くしたからこその言葉なんだな。
そう思うと、素直に抱きしめられていた。
優介の声が聞こえてくる。
 「徹、泣いても良いんだよ」

泣いてるよ。
 「ねえ、声が聞こえないよ。我慢しなくて良いから」

別に良いだろ。
 「ねえ、徹。俺って、そんなに頼りないかなあ」

違う。
でも、このまま黙ってると卑屈になるんだろうな。
そう思ったから、言ってやる。
 「ナマ言いやがって」
 「あ、やっと声が聞こえてきた」








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こうやって友情を深めていくのね。

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