可愛いと言わないで (22) ~覚悟を決めた

※優介Side※


なんとか身体を動かせることが出来たので、軽くラジオ体操をする。
うん、この分だと夕食は食べに行ける。
お昼ご飯を食べてワゴンを廊下に出しておいたから誰かが持って行ってくれたかな。まだだったら押して行こう。
取り敢えず自分の部屋へ戻ろうと悟さんの部屋から出ると、まだワゴンは置いてあった。

手早く着替え廊下に出るとワゴンをバンケットに押して行く。
んー、誰も居ないみたいだ。
この時間は居ないのかな。
なら自分で洗っても良いのかな。
少し待ってみよう。
そうしたら誰かが来るだろう。
ワゴンを置いて、少し歩いていた。

すると、話し声が聞こえてきた。
良かった、安心した。
 「御馳走様」と言って、「お皿を片付けても良いですか?」って聞くんだ。
声のする方に近寄っていく。
 「あ、あの…」


急に声が大きくなった。
 「あーあ、大体、この時間は寝てるのに、なんで来ないといけないの?ねえ、何で?」
 「子供が居るからと言われたでしょ」
 「その子は自分で出来ないの?」
 「金持ちの子だからね」
 「はいはい、お坊ちゃまは良い御身分ですねえ」
 
 「でも、昼ご飯は作らなくても良いと言われたから楽だよね」
 「でも、朝ご飯を部屋に持って行く時に、昼ご飯用として持って行かれたでしょ」
 「お握りを握って欲しいって言われたから、握ったよ」
 
 「ねえねえ、食べ終わったらどうするの?自分で、こっちに持ってくるの?」
 「まさか、そんな事しないよ」
 「じゃあ、どうするの?」
 「廊下に出してあるから、掃除しに行く時に回収するの」
 「えー、何それ。体の良いメイドじゃん。ここはホテルか」
 「あのね…、私たちってメイドだよ」
 「じゃあ、執事も居るの?」
 「居るよ」

メイドの話を聞いていた俺は思い出して、執事の部屋へとワゴンを押して行った。

トントンッとノックをするとドアが開いた。
 「どうされました?」
 「あの、お昼ご飯ありがとうございました。御馳走様でした。お皿を洗いたいのですが」
 「私が持って行きますよ」
 「でも」
 「今日と明日は、学校お休みでしょう。ゆっくりして下さいね」
 「あ…、ありがとうございます」

自分の部屋に戻ると、鯉のエサと掃除道具を持って離れに向かった。
泣きたい時は、いつもここに来る。
 「俺は、お坊ちゃんではない。自分で出来る様になりたい」

料理教室へ通ってた頃、昌平さんが言ってくれた言葉を思い出した。
 「簡単な物なら作れる」
俺も、簡単な物なら作れる様になりたい。


悠々と池の中を泳いでる鯉を見ながら泣いていたけど、その内に泣き止んで気持ちを固め、離れの建物を見ていた。
まずは、中を見てからだ。
最初は掃除からだろうな。

玄関先に立つと、手をポケットに突っ込んだ。
ポケットから取り出した鍵を、玄関のドアのカギ穴に差し込んだ。








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意思を固めた優介は誰にも言わないのかな。。。

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