18禁!ネコの事情 (31) ※医学部卒業生、集合。。。※

洋一は、しゃがみ込みレモンに言っていた。
 「レモン、お前の結婚写真を貰ったぞ。おめでとう」

見せてくれた写真をレモンはジッ…と見ている。
 「レモン、リンゴを大事にするんだぞ。男同士の友情は、何があっても崩れない。私は、そう思ってるんだ。レモン、私はね…、本当に色んな事があったんだ。
それでも、一番………。聞いてくれるか?」
レモンは、じっと聞き耳を立てている。
そのレモンを相手に、洋一は喋っていた。
 「私は、大学時代6年間ずっと一緒に居た人が死んだと聞かされた時は、驚いて何もする気は無かったんだ。だけど、生きてると分かった時は、本当に嬉しかったんだ。
私は、あいつの側に居たい。
結婚なんてしなくて良い。一緒に居たいと、そう思える人が居れば良い。
何度も結婚を繰り返してる奴も居たが、私は、そいつを許しはしない。
こいつだけ居れば良い。
そう思える人が一人だけなんだ。男だけどな…。
女なら結婚してるかもしれないが、私は、あいつが生きてるからこそ、側に居たいんだ。
分かりにくいかもしれないが…、レモン、元気でな」

 「ニャー」(スズメ、どした?)


腕時計に目をやり、洋一は立ち上がった。
 「それじゃ、又な」
 「洋一さん…」
今度は、義従弟達に話していた。
 「でもね、そうやって何度も結婚を繰り返してるからこそ、こんなに従兄弟が大勢居るんだ。
その点だけは嬉しいよ。皆、幸せにな」
 「ありがと。洋一さんも元気で、幸せにね」
 「ありがとっ。じゃーなっ」


だが、レモンはしつこい。
 「ニャー…」(スズメッ、行かないで)
 「はいはい、レモンも元気でな」
 「ニャ…、ニャ―」(行くな、行かないでっ)
 「私はね、東京行きの席を予約してるんだよ。もう行かないと」
 「ニャーッ」(行かないでっ)
そう言って、洋一のGパンの裾から見え隠れしている足に爪を引っ掛ける。
 「いてっ…」



すると、啓の両親が帰ってきた。
 「あれ、洋一」
 「ああ、お喋り野郎が帰ってきた」
 「お前ほどでもない」
洋一は自分の幼馴染でもあり同級生でもある、啓の父親と母親にiPhoneを開き見せた。
 「ほら、レモンとリンゴの結婚写真だ」
 「はっ?」
 「そういえば、リンゴちゃん。その恰好…」

啓は両親に声を掛けていた。
 「ねえ、お父ちゃんとお母ちゃんも一緒に写真撮ろうよ」
母は、言ってくる。
 「そうね、ちょっと待ってて」
そう言って、母屋に入って行った。
すかさず啓の兄は言っていた。
 「洋一さん、カメラマンよろしくね」

その言葉に、ガクッときてしまった洋一だった。


結局、洋一は特急に乗れなかった。
その家に泊まる事になったのだ。
だが、乗るべきはずだった特急は、JR駅を出発して数分後のトンネルを出た辺りで事故に遭ったのだ。救いは、乗客は、皆が無事だったという事だ。
 「え…」
 「乗らなくて良かったな」
 「ほんと、レモンのお蔭ね」

ニャッ!と、レモンは嬉しそうだ。

そんなレモンに洋一は言っていた。
 「レモンのお蔭だな。ありがと、レモン。でもな、明後日の飛行機で中国に行くんだ。
明日中には東京へ着かないと」
 「なら、車で送ってやる」
 「でも…」
 
渋る洋一をよそに、啓の父親は皆に聞いていた。
 「東京見物しに行きたい人ー」

はーい、と手を上げたのは皆だ。
そんなにも乗れません!と言われ、学校組は残り、真面目に学校へ行く様に言われてしまった。


啓の両親と兄が、洋一を東京まで送ってくれた。
明日のフライトに間に合えば良いので助かった。
 「ありがとな」
 「いえいえ。俺たちも久しぶりの東京だからな。今日は一緒に遊ぼう」
 「チェックインするから、待ってて」
 「はーい」

高校までの同級生と、その長男と一緒に遊んだ洋一は、次の日、空港に向かった。
それじゃ、と手を振り洋一は中国行きの飛行機に乗る為、ゲートの向こうに行った。


2時間後、飛行機は離陸した。
それを見送って、3人は新潟へ帰った。
そして、数ヶ月経った8月中旬。
テレビでは中国から日本の羽田行きの飛行機が爆発した事を緊急放送していた。

死亡者リストには、見覚えのある顔と名前があった。

村上洋一、享年63歳。

たまたま、その飛行機には要人が乗っており、その要人を抹殺する為に撃破されたものだった。
中国経由で帰国しようとしなければ、まだ生きてただろう。

死んだという知らせが届いたのは、彼の持ち物に写真があったからだ。
2匹のネコを中心に洋一も一緒に記念写真として撮影していた写真と、7月に流星群を見に東京まで行って、皆で戦闘機を背景にして撮った写真。
それと、もう一枚。
スイスのニースで撮った写真だ。
その集合写真を元に、財政界に顔が効く人物たちである村上啓と、大学時代の仲間であるサトルとマサとユタカとジュンヤの家に連絡がいったのだ。
洋一の父は既に他界していた為、実家は既に無いからだ。


パースに連絡が届いたのは直ぐだった。
テレビで流れたのを見て驚いたユウマから知らせを受けたのだ。
 「ボス…」
 「サメと同じ所に寝させるか。一緒になって話に花を咲かせて、私の母から煩いと、言われ続けられては嫌がられるだろうよ…。本当に、賑やかになるだろうな…」
その言葉に、ユウマもだが、その場に居た皆は頷くしか出来なかった。

だが、サトルは知らせを送る事は出来ずに蹲って呟いていた。
 「あいつは…、あいつは、ずっと右腕かよ…。
どんなに足掻いても、右腕になれないじゃないか…。
あの、お喋り野郎が…」

そう呟くと意を決したのか、サトルは立ち上がり中国の方を向き足を肩幅まで開き腕を組み冷笑を浮かべる。
だが、学生時代の様に上手くいかない。
何故なのかは分かっている。
それでも構わず、涙を拭う事もせず、きっぱりと言い切っていた。
 「それなら、私は、ずっと左腕を死守してやる。
良いか、スズメ。
私たちは永遠にボスを真ん中にしての両腕だ。
誰にも、この左腕という位置は譲らない。
そこで、サメと喋り続けてろ」




カズキとワンは、それぞれの居場所からテレビを見て驚きを隠せなかった。
カズキは何も言えず、これだけだった
 「スズメが…、あいつが、一番先に死んだ、だなんて。。。」

ワンなんて、あっさりしている。
 「お喋り野郎は、自分が、その要人だという自覚はないのだろうな。
だが、これであいつ等を潰すチャンスがきた。
見てろよ、スズメ。
お前の弔い合戦をしてやるからな」



家庭環境に恵まれなかった村上洋一は、仲間には恵まれていた。
大学時代のゼミの教授であるサメと似た環境の持ち主だったのだ。

だが、中国にある洋一の亡き母の実家は、中国に影響を及ばす家系だった。
それは、ユタカにも知る術は無かったのだ。
一体、誰が何のために隠していたのか。

知ってるのは、香港人であるワンだけだった。

ただ、それは洋一の母ではなく、祖父や叔父に当たる人物のこと。
そう、武闘家の林家。
その最後の師範であるリンと、リンの父親だ。

幼少期はイタリア隊員をしていた黒豹ことリンが、病で死ぬまでに起こしたベンチャー企業。
その企業の末裔が、洋一なのだ。

しかし、これで林家の血を引くものは誰も居ない。
なにしろ、あの黒豹の姉妹も家族も既に他界しているからだ。

脅威になる敵は、全員が死亡した。









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洋一は、永遠の眠りについた。
お喋り野郎、スズメと呼ばれた60余年の人生でした。

でも、通知が届いただけでも良かったね。


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