※重役たち。安藤視点※
同じ頃、社長率いる9人の重役たちは木々相手に苦戦していた。
最初の1日目2日目は、まだ良かった。食事も魚を捕まえて食べたり、木に実っている果実を食べたりしていた。
この島の持ち主である安藤専務は、時々木に登り、高い所から秘書の様子を見ていた。
ただ、岡崎が高瀬をバッシングしているのは見てなかった。
5日も経つと②に着いて良いのに、まだ着かない。人数を分けた方が良いかな。
そう思い、声を掛ける。
「ねえ、もっとペースを上げようよ」
「上げたいが…」
「3人一組になってゴールを目指すって、どうかな?」
「なんで、また急に」
「だって5日も経ってるんだよ?5日あれば②に着くんだよ。なのに、着かないなんて…」
「それじゃ②を無視してゴールを目指すって事か?」
「今の様子だと、そうした方が良いかもしれない」
その言葉に9人が一致した。
チームは、直ぐ出来た。
社長、安藤、瀬戸の社長チーム。
桑田、本田、利根川の専務チーム。
高橋、久和田、桑田の常務チーム。
現在地を確認し、皆がゴールを目指す。
だが、社長チームは食料を確保している。
安藤は思い返していた。
2日目、3日目の二日間はのんびりし過ぎたな。
まさか、あの坊ちゃんがイルカに攫われてしまったとは思いもしなかったからだ。
皆で潜って魚を取って食べようとしてたのに、何時の間にか居ないんだから。
ったく、水泳選手め。
なんで沖まで出るかねえ…。
挙句の果てにはイルカと寝てるし。
まあ、楽しそうで良かったよ。
利根川なんて必死で探し回って、拳を握り締めて、その寝顔を睨んでいたのだから。
起きてきたら、殴りそうな気配だったけどな…。
3日目は、桑田専務が穴の中に落ちてくれるし。
社長と坊ちゃんを残し、皆で探してたのだけど…。
見つかったのは、入り江の方。
木々の側を進んでいたのに、なんで入り江の方まで流されてたんだ…。
地下道の中を歩いて戻っていたら、久和田常務が足を滑らし気を失ってくれたし。
利根川に「ぶん殴って起こせ」と言ったら、嬉々としてぶん殴ってくれたもんだ。
まったく、くわだ姓は何やかやとしてくれるよなあ。
戻り着いたら「お父ちゃんが神隠しにあった」って、坊ちゃんは慌ててたし。
どんな感じだったのか聞いてみると、あっち…って森を指してくれたのを見て、皆を置いて俺は一人で社長を見つけに行ったものだ。
なにやら父子の会話がなく暇だったらしい。
まあ、社長はこの島の事は知ってるから良いけどな。
そして現在に至るだ。
瀬戸が木からするすると下りてくる。
「専務チームは①に向かってる。常務チームは②に着いたみたいだ」
「さて、どうしよう?」
「専務チーム、かな…」
「ああ、俺もそう思う。あの3人は調和という言葉を知らないみたいだな」
その言葉に社長は返してくれる。
「3人共、我が強いからなあ…」
「まあ、まだ日にちはあるので良いですけどね」
「そうだね。さっき見てたらヴィラの基礎が出来てたよ」
「へえ、5日で基礎ね。早いな」
「仕切り役は岡崎君」
「なるほど、納得」
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そして、こちらは重役連中。
監視役をしてる人は、安藤専務&瀬戸常務の2人でした。
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