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あの夜の約束 (2)

優が年少さんに上がった時、それは起きた。
理由は双子が優に手を掛けていたからだった。
双子は女子からモテていたのだ。

 「りゅーちゃん、遊ぼー」
 「また今度ねー」
 「またって、何時?」
 「うーん…、優ちゃんが寝てる時?」
 「えー、何よそれ…」

とか。

 「ねー、たけちゃん。遊ぼうよー」
 「用事があるからダメ」
 「いつ終わるの?」
 「優ちゃんが寝た時」
 「えー…」

という具合に、結局この二人の最優先とするべき用事は優の事だった。
男子はまだ良い。
一緒に遊んでくれるからだ。
だから、男子の誘いともなると、二人の返事はこれだ。
 「優ちゃんも一緒で良い?」
 「良いよ。ボール遊びしようぜ」
とか、
 「優ちゃんと遊ぶんだけど?」
 「一緒に遊ぼ」
という具合に、男同士で仲良く遊べるからだ。


積もり積もった女子は、幼稚園全体で行く遠足の日に行動を起こした。
その幼稚園では園児が少ない為、幼稚園入園前のひよこ組さんから年長さんまでの皆で同じ場所へ遠足に行くのだ。毎年、同じ場所だけど…。

子供の足で1時間掛かるかどうかという場所にある県境にある山。
弁当と少しのお菓子を持って行く。
登っていく山は、なだらかな斜面で滑り台や遊具も揃っている。

その位置より上に登っていくのは大人でないと危ない。
だから子供は遊具のある場所までしか登らない。
それを知ってるくせに、女子は優にお願いをしたのだ。
 「私のお気に入りのピンクのハンカチが山の向こうに飛ばされたの。取って来てくれる?」
 「うん、良いよ」

何も知らない優は、その言葉に素直に騙されていた。
大人の足で往復3時間弱の登山時間だ。子供の、ましてや年少児の足ではどれぐらいの時間になるのか。それでも優は自分の荷物を片付けリュックを背負い山を登っていく。
優の姿が見えなくなると、その女子はお気に入りのピンクのハンカチをポケットから取り出し顔を拭っている。
 「バーカ、あんたなんて居なくなればいい。りゅーちゃんは私のだ」
 
その女子は、自分の周りにいる女子に声を掛けた。
 「ね、りゅーちゃんとたけちゃんを探しに行こうよ」

そう言って、女子たちは双子を探しに行った。



昼も暑くなり14時半頃なのか、先生の声が響き渡る。
 「そろそろ帰る時間ですよー。
皆、帰る支度をしましょうね。年長さん、年少さんの支度を手伝ってあげてね」

はーい!と元気な声が応じる。

件の女子は優の居た場所に行くと、戻ってきてないのが分かった。
そうだろう、リュックとか荷物は背負っていったのだから荷物も無いのだ。

一人の女の子が泣き出した。
 「ねえ、あの子は?」
 「泣きなさんな」
 「だって…」
優にお願いをした女子は先生に言いに行った。
 「先生ー、皆居ました」

先生は皆を集め点呼をしていく。
その時に気が付いたのだ。
 「あら、優君は?」

その言葉に反応したのは優の隣家の西條家の双子だ。
 「優ちゃん??」


年少さんは人数が少ない為、年少さん同士で固まりシートを張る。
年少のシート張り位置まで行くと、誰の荷物も無い。
 「ねえ、誰か優君の事を知らない?」
 「荷物も無いのだけど…、どうして?」

皆が黙っている。
 「もしかして、もう帰ったの?」
 「とにかく、皆を先に帰らせましょう」


だが園長は山の上を見ている。
もしかして登ったのか?
あの大人しそうな子が誰にも何も言わずに?


ふと見ると、双子は必死に探している。
繁みとか草をかき分けて、泣きながら…。

 「すーちゃん、何処?」
 「すーちゃん、おうちに帰るよ」




家に帰った双子の内、兄は疲れたのか寝てしまった。だけど弟の健志は、枝から枝へと枝伝いに優の部屋へと向かった。ベランダに飛び降りると扉をノックする。

トントントン…。

耳を澄ますが何も聞こえてこない。
帰って来て寝てるのだろうか。それとも、まだ帰ってきてないのかな。
扉に鍵は掛かってないのを知ってるので、そのまま開け部屋の中に入って行く。
まだ帰ってきてないみたいだ。

優の部屋から出て一階に下りようと階段に向かってると、下から話し声が聞こえてくる。
すすり泣きの声だ。
その話を聞き、優はまだ帰ってきてない事が分かった。


健志は、ある決心をした。
そう、優を探しに行く事だ。

一旦、自分の部屋に戻り、お菓子と飲み物をリュックに詰め、ヘッドライトをおでこに巻き付ける。
自分の机の上には大きな字で『いってきます』と書いたメモを置いておく。
行き先は、今日、幼稚園の遠足で行った、あの山だ。

もしかすると登ったのかもしれないと思ったからだ。



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たけちゃん、どうする気なのかな?

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