弟と兄 (25)※兄目線の東京編が始ります※

たまたま、その日は大学と高校の合同練習日だった。
高校に向かう途中で、グラウンドを走ってる大勢の人が居るので目をやると、祐樹の姿もあった。
走る姿を見るのは久しぶりだ。
ここ1年は、真木のサッカー部の大会に行ってたからな。


少し経つと、「昼食の用意するぞー」という声が聞こえてきた。

ずっと見ていると、誰かの声が聞こえてくる。
 「短距離は、今年はメニューなに?」
 「チキンカレーと野菜サラダです」
 「長距離は?」
 「鶏肉入りのカレー」
 「えー、食べ比べできないじゃんっ」

 「しなくて良い」
 「しょうがないなあ。俊平、お前を食わせろっ」
 「やだね」


出来上がったカレーを皆で一緒に食べてる。
祐樹の隣には大学生なのか高校生なのか分からない男子が座る。
 「祐樹、高校はどんな?」
 「勉強の方は、なんとか、かな」
 「分からないとこあったら教えてやるよ」
 「治先輩、昔と変わりましたね」
 「あのねえ、中学生と今とじゃ大いに違うよ」
 「中学生だった頃は、本番の時は顔つき違ってたからね。あのギャップが良かったんだよね」
 「へえ、そうだったのか」
 「今だと体格も良くなって、頼りになるお兄ちゃんって感じだ」
 「ま、大学3年ともなると違うよ」


 「なあ、祐樹」
 「なに?」
 「友達って言うか、仲の良い子とか出来たか?直ぐには出来ないと思うけどな。俺だって一人ぼっちだったからな」
 「先輩…」
 「でも、俺にはライバルだらけだったんだ。それが嬉しかった」
 「ここに来てから、ずっと?」
 「そうだよ。あそこの高校では腫れ物に触るような眼で見られていた。
だけど、ここに来ると皆がライバルなんだ。
それに、俊平先生が大学で教授してるって事も知らなかったんだ」
 「へぇ…」
 「あのさ、祐樹。陸上に限らず、何でもライバルは付き物なんだよ。
無理に声を掛けて仲良くしなくても、そいつのを見て自分の中に取り入れていけばいいんだ」
 「それって、友達は作らなくてもいいという事?」
 「そうだよ。俺は高校の時は友達は居なかったんだ」
 「断言してるけど、一人で寂しくなかったの?」
 「全然。それよりも、皆が俺をライバル視してくるんだ。
もしかして、見られてるのか、と逆に嬉しかったね」
 「おさ」
 「それに、俊平先生が近くに居る。って知った時は本当に驚いたんだ。
でも、俺は、知ってる人が側に居るだけで強くなれたんだ」
 「それじゃ、俺は俊平先生と治先輩が居るから、強くなれるね」
 「ああ、お前なら強くなれるさ」



ゴンッ!

痛みがきた。
誰かに頭を叩かれたみたいだ。

 「ったいー…」
 「ってぇなあ…」

祐樹と治は二人揃って頭に手をやっていた。












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今回から、話は東京編です。
東響大学付属高校での祐樹の過ごし方が、兄の目線で始まります。

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