BL風味の小説

BL風味のオリジナル小説です。
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3周年記念特別SS 『君と交えた、このレアな日に感謝』 (11)

この季節は18時を過ぎてもまだ明るい。だから時間を見計らって、拡声器を手にイベントステージの檀上へ上がる。
手袋を嵌めた理事長は厳かに口を開いた。
 「我が東響大学のイベント祭り、及び流星群を見に来られた方々にご案内致します。
18時50分より、OBがイベントを盛り上げてくれます。
20分位のショーですが、お楽しみください」


この声は爺ちゃんセンセー。
父の声が聞こえてきた。
 「へえ、何のショーだろう。元宗、行ってみるか」
 「ああ、行ってみる」



スリー、ツー、ワン…。

ショーの時間になるカウントが終わると、明るかった空が段々と薄暗くなってきた。
すると何かが飛んできた。
飛行機かジェットかと見ていたら、戦闘機だ。
sento-ki_1_1.jpg
 (注:フリー素材)

その戦闘機は大きく1回前転して客の頭の上を飛び去って行く。と同時に、違う方向から1機が同じ様に前転して飛び去って行く。と、また違う1機が。計7機の戦闘機がイベントステージの横に置かれてる戦闘機を中心に先端を客に向けて変形ピラミッド型を作った。

一番上に1機、その下になる中段に2機が、その下に位置する2機が上の2機より幅を取り、下段の2機は中段にある2機と同じ幅で位置して、その最下段にはステージ横の戦闘機だ。
5段あり、上段と中段の3機と、ステージ横の戦闘機と、その上に在る戦闘機2機は、真ん中に位置する2機を境に鏡の様になっているのだ。(簡単略図参照)
20170629_210449990.jpg


そのうち、一番上の1機はそのまま上に垂直に飛びあがり、中段の2機は先に上がった1機の左右に付き、下段の4機は一斉に中段から上段へと飛び上がり、7機が整列する。
一斉に7機は機体を斜めにして尻を上空に向けてステージへと向かう。
まだそんなにも暗くないのでライトは点けてない。

ステージへ数珠繋ぎの様に降りてきた7機は、イベントステージ横の戦闘機から2m上あたりでクルッと横に機体を回転させて、そのまま斜めに上空する。
大きな前転返りをして最初に陣取った位置に戻った。
そう、一列に並んだ位置にだ。


歓声や拍手が起こる。
政行も男の子。星とか天文が好きなんだけど、戦闘機も大好き。
執事の事はすっかりと忘れ、このショーを見入っていた。
 「カッコイー!」


客に先端を向けたままの一列から先程模っていた一二三二という変形ピラミッドに、そのままトランプの「7」を示す様にと動く。
一番上の1機が真ん中に下降して、その下の2機が上段に上昇すると、幅を取っていた2機は幅を狭めて、最下段にいた2機は上昇してきた。
そのままの状態で、7機は飛び上がり、また一列になる。

そして、各機ともがソロで飛ぶ。


ボスは十分に勘を取り戻していたので、コクピットの中で大声を張り上げていた。
 「ぃやっほー!いけいけいけ、ゴーゴーゴー!!」

嬉しそうに、楽しそうに友明は星マークを何回も何回も型取ると、ぐんぐん上昇して、ピタッと止まると、先端をステージに向けて飛行してきた。
錐もみ状態で斜めに下降してくると、ステージ横の戦闘機の1m上空にピタッと着いた。
コクピットの中で、友明はブイサインをしていた。
 「ぃえーい!」

 「オー―――!!」
歓声や拍手が鳴りやまない。
治も興奮していた。
 「あの戦闘機、カッコイー」



その興奮に乗って、今度は右側のスズメの番だ。
 「よし、やってやるぞー」

何度も三角形をもじるように機体を飛ばすと、今度は三角形の頂点からそのままの恰好で垂直に下降してくると、アクセルを吹かして小ぶりの前転を斜め向きに三回転して、そのままステージ横の戦闘機の右に寄せ着けた。

 「トリプルだー」



今度は左側のサトルの番だ。
少し上昇して先端をステージに向ける。メインエンジンを切って、そのまま下降させると、すぐに地上5m辺りになる。そのままのサブエンジンだけでのソロ飛行だ。
サブエンジンだけだと出力は落ちるが、普段出来ない事が出来るのだ。
その出来ない事をサトルはやっていた。
サブの計器を見て、三色あるスイッチの真ん中を押す。
いきなり機体がバク転した。
そう、普通は前転しかできないのだ。
それが、後ろにも転がる事が出来るのだ。

数回ほどバク転したサトルの機体は暗くなってきたのもあり、先端の下にあるサブライトを点けると音もなく低空飛行してステージ横の戦闘機の左に着けた。
恐らく、コクピット内ではドヤ顔をしている事だろう。
 「ふん、どうだ」


 「すっげー」
 「バク転出来るとは…」



今度はマサの番だ。
シンプルに尻を上にして音もなく落ちてくる。そう、こちらもサブエンジンにしてるからだ。
地上7mまで下りてくるとメインエンジンを入れ錐もみ状態で鋭角40度を上昇していくと、その反動を利用して登ってきた軌跡を利用しエンジンを切り半円を描く様に盾長に円弧を描いた。大中小と3回半円を描くと、ステージ横の戦闘機の尻から3mおいた距離に停めた。

 「ふう、緊張した」


 「へー、色んな事が出来るんだなあ」





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イベントショー。
それは戦闘機ショーでした。

お楽しみくださいませ<(_ _)>

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3周年記念特別SS 『君と交えた、このレアな日に感謝』 (10)

元々、この大学で理事長をしていた桑田家の執事は、懐かしい顔を見て嬉しかった。
そして、まだ忘れられてないのが分かると、率先して動いたのだ。
元、東響大学理事長主任をしていた明智は、トレードマークの手袋を嵌めだす。
 「お、何をするつもりだ?」
 「今、ここに医学部の3人が来てます」
 「3人とは?」
 「マサ、王子、ジュンヤの3人です」
 「え、来てるのか?」
 「なっつかしいなー」
 「どこに居るんだ?」
 「この窓の下に」

そう言われ、4人は覗き込んだ。
 「おおっ!3人じゃなく増えてるぞ」
 「やっほー」
 「元気そうだな」
 「スズメも居るっ」


急に声を掛けられ、上を向いた6人はびっくり顔だ。
 「えっ、メガネ?」
 「ナイフが居る」
 「手袋も」
 「わーお、マッチョも居るじゃん」
 「あれ、拓海センセー、どうしたの?」

 「わりぃ、わりぃ、私は退散する」
そう言って、拓海教授はその場から離れた。
 (理事長室の前だったなんてとんでもない。さあ、誰か居ないかなあ…)


その時、理事長に話を持ち掛けられ驚いて声も出なかった。
ただ一人、タカを除いて。
 「お前等は何十年もしてないから無理だろ。ソロで良いのなら喜んで」

だが、目の前をボスが通っているのを見たら、皆は呟いていた。
 「う…」と絶句してしまったマサに、
 「ボスが」としか声が出てこないタカに、
 「浴衣だなんて」とジュンヤは驚いてる。

さすがのお喋りスズメも押し黙っていた。
 「え…」
ユタカなんて感激してる。
 「よく似合ってる」


 「ほう、これはレアものだな」と、理事長は嬉しそうだ。

複数の声が聞こえてくる。
ボス、ボス、ボス、ボス…、と犬や猫を呼ぶ様にボス呼びしてくる。
腹が立ち無視していた。
ここを上ると、全てが収まっている建物がある筈。
あのステージ横に置かれてるのは学長のだ。

ボスが向かってる所はあそこだ。
手袋を嵌めた元理事長主任は言っていた。
 「ボスは、その気満々だ。あの格好だと難しいが、まあ着替えるから良いか」

さあさあさあ、皆、先行ってて。

そう言われ、出来るかどうか…。
不安げな表情をしているのはスズメとユタカとジュンヤだ。
マサは一言だった。
 「まあ、一人乗り出しな」
タカの一言はこれだ。
 「私は免許更新してるから」



先に着いていた友明はシミュレーションルームに居た。
何か唸っている。
 「うーん…、メンテはされてるものの、どうやったらスタート出来るんだ?」


 「あ、ボス見っけ」と元気そうな声はスズメだ。
 「ほんと、その気満々だね」と苦笑気味に言ってくるのはマサだ。
 「もう着替え終わってるじゃん」と言ってるのはユタカだ。
 「理事長が来るってさ」とはタカだ。
 「これでショーをやって欲しいって」と言ってるのはジュンヤだ。
友明、ことボスは一言だった。
 「スタートの仕方が分からない」


その後、5人の理事長はサトルを連れてきた。
 「偶然にも、この入り口の前で会ったんだ」
 「だから話を持ち掛けたんだ」

ボスは振り向こうともせずに言っていた。
 「スタートしないんですよ」
ブレーカーは手動だからと言われ、隠されていた隠しブレーカーを2つとも上げると、特有の音が聞こえてきた。 


懐かしい。
もう何十年もやってない。
それもそうだろう。
卒業後、タカはアメリカで更新していたが、皆はしてないからだ。

ボスと右腕スズメと左腕サトルとマサとタカの勘が戻るまで5分も掛からなかったのに対し、ユタカとジュンヤはそれ以上掛かった。

ボスは博人にメールしていた。
 「ごめん。急なイベントショーに出演するから、後でね」


その文面に、博人は溜息吐いて呟いていた。
 「ったく、イベント好きな奴め…」





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さあ、どんなイベントが始まるのでしょう~
((o(▽ ̄*)oワクワクo(* ̄▽)o))

3周年記念特別SS 『君と交えた、このレアな日に感謝』 (9)

※政行、拓海、隆一※


一見、何の共通点も無さそうな3人だが、遠からず共通点はあるのだ。
なにしろ拓海は、ここ東響大学の体育学部の教授。
西條隆一は東響大学の医学部を卒業後、北側に位置する東響大学付属北部病院で勤務している。タクシーに乗る時は、東響大学の付属中央病院と付属南部病院と付属北部病院と区別しないと、付属中央病院の方に行ってしまうからだ。
そんなにも敷地が広い大学なのだ。
そして、政行の父である桑田耕平は東響大学の経済学部の卒業生だ。

この日は流星群の為、天文学科に関する連中は目を輝かせていた。
一般開放デイというのもあり、OBやOGのみならず、気軽に一般の方も学内に入って来れる。


政行は、父親の卒業した大学に興味があったから付いてきたのだ。
拓海は昼間は大会へ行ってたのだが、夜は男漁りの為、大学に戻ってきたのだ。
隆一は、祭りと流星群の為、オールでの勤務となってしまった。
入学時、ボヤいていた、あの言葉。
 「東大のレベルも落ちたな…」云々の呟きを、すぐさま撤回していたのだ。
レベルが落ちたのではない。
あれは新入生勧誘活動で、ご愛敬のものだと直ぐに気が付いたからだ。
さすが東京大学と同レベルの東響大学医学部だ、と思い直したものだ。
あんなにも大変だとは思っても無かったのだ。
一生懸命に勉強したものだ。
理数頭の持ち主の自分にはドイツ語は必須なので仕方ないが、選択科目は双子の片割れが置いて行ったフランス語の参考書を数冊貰ってたのでフランス語と中国語を選択科目としたのだ。
お蔭で留年せずに無事に6年間で卒業できた。
その後、付属南部で5年、区内の病院で3年した後、また大学に戻ってきて、この付属北部で勤務をしてきている。

祭りや流星群だって?
俺には関係ない。



いきなりトランペットの音が聞こえてきた。
煩い、勝手にやってくれ。

 「皆、こんばんはー!昼間は祭りで、夜は流星群で楽しんで下さいね~」


その声を合図に、皆は一斉に動き出す。
 「政行、私は元宗と一緒に見て回るから、一人でも大丈夫だろ」
 「良いよ。帰りたくなったら先に帰って良いからね」
 「はいはい。あれ、明智が居ないな…」
 「そういえば、爺ちゃんセンセーは何処行ったんだろう」
 「探さなくて良いから」
 「なんで?」
 「あいつは、元々、ここの理事をしていたから」
 「はあっ?」
その大声に父は笑って言ってきた。
 「知らなかったのか?古巣に戻ってきた感じで、理事長室にでも行ってるんだろ」
じゃあな、と言って父は元宗さんと一緒に歩いて行った。

嘘だろ。
爺ちゃんセンセーが、うちの執事が、東響大学の理事長をしてた?
まあー、驚いた。



こちらは体育館横にある通路を渡っていた。
 「あれ、拓海ちゃんセンセー?」
 「ん?」

声を掛けられ振り向いた拓海は少しばかり考えていたが、その内に声を掛けていた。
 「もしかして医学10人の…、警視総監っ」
 「それは父親だ」と、マサは噛み付いてる。
 
 「それに王子っ」
 「うんうん」と、ユタカは頷いてる。

 「んでもって、世界のトップモデル」
 「懐かしいねえ、元気?」とジュンヤは返していた。

 「おー、懐かしい。んで、元気印のスズメはどした?」
 「知らない」と3人が返してきたので、笑い飛ばしていた。
 「あいつは煩すぎるからな」

その3人は言ってくる。
 「当ててあげよう」とマサの声に、
 「何を?」と返すと、
 「イイ男がいないかどうか漁り中だろ」とユタカが、
 「バレたか」と舌を出してしまう拓海に、
 「いい年して」とジュンヤが言ってきたので、
 「年は関係ない」と即答していた。

すると、もう二つ声が聞こえてきた。
 「おー、タクちゃんセンセーじゃん」

その声の方に振り向いた拓海は嬉しそうな顔になった。
 「噂をすればなんとやらだな、スズメは元気そうだ」
 「へっへっへー、元気も元気だよ」

 「タカも元気そうだ」
 「大学で祭りとかあるからな」
 「ほんと、お前等はイベント好きだよな」
ほっとけと5つの声が返ってきた。


そして、祭りの時間を40分も遅れて学内に入ってきた黒髪の浴衣姿の男性2人も着いた。
 「静かな所に行く?それとも見て回る?」
 「せっかくだから見て回る」
 「それじゃ教室から見て回ろうよ」
 「そうだな。外は後からでも良いからな。でも、その前に…」と言って博人は一人でとある場所へと向かったので、友明は仕方なく待っていた。
すると、懐かしい物が置いてあるのを見て、思わず外に出ていた。


その友明が到着した時間より少し遅れる事の17時前。
逸る気持ちに抗う事無く、松井弘毅は父と一緒に来校した。

そして、こちらはウキウキ気分で頼まれた夕食は屋台で買うつもりで早めに大学に来た。
 「おー!さすがイベント好きな大学だけの事はある」
すっげー、かっこいー!
戦闘機が置いてあるじゃん。
治は、すでに興奮している。


政行の父と元宗は、その戦闘機を見て呟いていた。
 「そういや、あの10人は皆、操縦して飛ばしてたな」
 「それもそうだな。これは誰のだろう…」

だが、政行は父に言っていた。
 「それより爺ちゃんセンセーは放っといて良いの?ねえ、お父ちゃんっ」
 「良いって言ってるだろ」
 



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どうしても執事の事が気になる政行。
そして、懐かしい顔と出会った拓海センセー。
そして、なんと西條家の双子の片割れは、卒業した大学の病院勤務してるのですね!

3周年記念特別SS 『君と交えた、このレアな日に感謝』 (8)

ケースを作業机に置くと、クマ野郎は言ってきた。
 「リクエスト良いか?」
その言葉に嬉しかったので、受けたのだ。
 「仕方ないな…、受けてやるよ。何が聴きたいって?」
すると、リクエスト曲はこれだった。
 「森のクマさん」

ざけんなっ!テメエのテーマ曲を他人に弾かせる気か!と怒鳴りたかったが我慢した。

少し瞑想して気を静める。
そしてバイオリンを構え弾きだした。


弾き終えると、博人は一言だった。
バイオリンを横取り、自分の懐から弓を出してきた。
そう、アレ(宝石)が変化した弓だ。
 「いいか。お前のと私との違いはこれだ」
そう言って奏でた。


その音を耳にした徹は目を瞠った。
(え…!この音って、以前、師匠が勝手にイヤホンを差し込んできて聴かせてくれた、あの曲の。
同じ曲でも違う。私もリクエストしたいな。もっと聴いていたい)

奏で終えた博人に岡崎は言っていた。
 「あの、お客様。私からのリクエスト良いでしょうか?」
 「え、私に?」
あの時、師匠から無理矢理に聴かされた曲を生で聴きたいという思いで言っていた。
 「闘牛士を。ソロの箇所だけで良いですので」
 「ドヴォルザークのか」
 「はい、そうです」

最初の1小節で背中にゾクゾクッときた。
凄いや、この人。


サトルは、そんな二人を見て面白くない。
このクマ野郎はどんな曲でも奏で、人を惹きこませる。
その証拠に徹の表情だ。
惹きこまれてうっとり顔をしているからだ。
面白くないけど、たしかに良い腕をしているのは認めざるを得ない。こうなると少しでもテクを盗むことが出来ればと思い、弦を押さえてる左手をジッとみていた。
他人の楽器を弾くというのは難しいものだ。
こいつは自分の弓を持ち歩きしてるし、腹立つ野郎だな。


徹の興奮気味な声が聞こえてきた。
 「はあ…、凄いや。音がイキイキしている。なんだが私も弾きたくなってきた」
 「弾けば?」と返す博人に、徹は師匠に聞いていた。
 「師匠、お借りして良いですか?」
 「どうぞ」
くそぉ、こうなると徹の音で気を静めるか。


すると、徹は感情のこもった「子犬のワルツ」を奏でてきた。
クマ野郎は徹にアドバイスをしている。
ムカつく。
この私には何も言ってこなかったではないか。

すると、今度は「森のクマさん」を徹は奏でてきた。

何かが違う。
ボスの声が聞こえてきた。
 「三人三様のクマさんだな」
 「まあ、弾き手が違うと」
 「博人さんのは耳に馴染みが良くて、あの子のは親しみやすい感じ。
お前のはプライドが固く、決まりきった感じだ」
 「プライドが邪魔してると言うのは分かってる。そのプライドを崩していこうとしてるのだが…」
 「泣きと怒りを表現したらどうだ?」
 「泣きと怒りか…」

あろう事か、ボスはとんでもない事を言ってきた。
 「私はピアノだが、ピアノはどうやっても投げ飛ばす事出来ないし、壊れにくい。
そうだな…、スーザンに対しての怒りを音に表す」
 「んな事したくない。それにスーザンは私の事は駒としか思ってないからな」
 「でも、一時は恋しい親だったんだろ」
 「もう60年以上も前の事だ」
 「なら、自分で創作したら?」
 「創作、か…」



 「おっと、長居し過ぎた。それじゃ…」
思わず袂を握っていた。
 「どした?」
 「お願いだ。ボスのピアノと歌声で、私の耳や頭に入り込んできた音を吹き飛ばしてくれ」
ボスは苦笑しているが否やの言葉は無かった。
 「リクエストありそうだな…」
その言葉に甘えていた。
 「心のドアを開いて、生きてるって素晴らしいね。だからいつまでも一緒だよという歌」


わははっ、それって3曲じゃん。
笑いながら、ピアノを借りるぞと言ってきたので、奥のドアの向こうに連れて行った。



ボスと呼ばれてる人物に、徹は驚いていた。
 「この人はピアノ弾きで歌い手なのか」
優介は嬉しそうだ。
 「友兄のピアノと歌が聴けて嬉しい」
博人は、こうだった。
 「やっぱり、こいつは声が良いよな」

サトルは決めた。
やっぱりボスが一番だ。



 ~抜粋~
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サトルの最後のリクエストである「いつまでも一緒だよ」は、以前、『俺様ボス~』シリーズにて一部抜粋した(曲名『Hand in hand with together』)のを載せてるので割愛させてもらいました。






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あれ、でも博人はアドバイスはしてないけど、自分のを聴いて分かれ!と言ってるのでは?

そして、〆にボスの音と声でだなんて。。。
羨ましいですねえ

3周年記念特別SS 『君と交えた、このレアな日に感謝』 (7)

その家から徒歩30分強で着いたのは、広過ぎだろと思わされる敷地。
その一角にシュークリーム屋を見つけた友明は、迷わず入って行った。

チリリンッ♪


可愛い鈴の音が涼しさを呼んでくれる、そんな気がした。

 「いらっしゃいませ」

友明はトレイを手にしてシュークリームを選んでいく。
どれもこれも美味しそうだ。
アイスやプリンまでもある。
生クリームとチョコと抹茶味を2つずつ選び、レジに持って行く。
 「これ下さい」
 「はい、ありがとうございます」

すると、もう一人の男性がトレイに置く。
 「これも一緒に」
 「あ、はい」

置かれた物を見て、友明は文句を言いたそうだ。
 「ちょっと博人さんっ」
だが、博人は友明を無視して店員に言っていた。
 「スプーン付けてね。ここで食べるから」
 「はい、承知いたしました」


奥から声が聞こえてきた。
 「徹ー、休憩入って良いよ」
 「ありがと。お会計が終わったら入る」

この声は優介だ。
 「なんなら」

その声に被せてやる。
 「お、久しぶりだな。後でインターホン鳴らそうと思ったんだ」
 「え…、えっ!ええっ」
その大きな目をしている人物に、友明は笑っていた。
 「凄い大きな目と口だな」
 「う、嘘…、何で…?」
 「祭りと流星群を見に来たんだ」

そう言うと抱き付かれた。
博人は溜息吐いて呟いていた。
 「そうか、もう一軒はここか…」


徹と呼ばれた人物の岡崎徹は面白くない。
大好きな優介は目の前に居るお客さんに抱き付いてるからだ。
なので声に出して言ってやる。
 「シュークリーム6点とアイスクリーム2点で1,260円になります」

その声に優介は反応した。
 「友兄、買ってくれたの?」
 「シュークリーム好きだからな」
 「ありがとう」
 「で、サトルは?」
 「3階の道場に居ますよ」
 「道場か…、この格好だと目立つな」


すると優介は言ってきた。
 「友兄もそうだけど、博人さんの方が浴衣姿が様になっててカッコイイ」
 「優介?」
 「だって」
 「そういう事を言うのなら、この土産はサトルにやるっ」

博人さんの嬉しそうな声が聞こえてきた。
 「うん、美味いな。夏は、やっぱりアイスだな」
 「ありがとうございます」
と、博人に返した優介は、電話に手を伸ばそうとしている。
 「悟さんを呼びますね」

その言葉に反応したのは徹だ。
 「え、だって師匠は今は道場で」
 「来るよ」
 「でも…」

そのきっぱりと言い切った優介に徹と呼ばれた岡崎徹は腑に落ちない。
もしかして、今は休憩時間なのだろうか。


優介はレジ横に置いてる電話を取り、内線番号を押す。
 『なんだ?』
 「悟さん、お客様です」
 『私は忙しいんだ』
 「悟さんに会いたいって」
 『出直して貰うんだな。アポの無い奴とは会う気ない』
 「悟さん、あのね」

だが、それでは埒が明かないので友明は受話器をひったくった。
 『切るぞ』と言ったサトルに、友明は声を被せていた。
今まさに切ろうとしていたサトルに友明は言ったのだ。
 「久しぶりだな。アポ無しで悪いが、顔を見せようと言う気は無いか?」
 『え・・・、そ、その声……』
 「下でアイス食ってるから」
そう言うと、友明は受話器を元に戻した。
すると、奥のドアが開いた。
 
 「ボスッ!」

いきなり奥のドアが開いたのもそうだが、3階に居たはずのサトルが何の前触れもなく現れたのだ。店舗に居た岡崎と優介は驚いている。
 「うわっ、びっくりしたっ」
 「悟さん!せめて階段を駆け下りてっ」
 「んなまどろっこしい事出来るかっ」


 「さすが早いな」と言うボスの声にサトルは釘付けになった。
なんで、こいつまで居るんだ。
しかも仲良く浴衣姿だなんて。
だけど、違う事を言っていた。
 「祭りと流星群か」
 「60年に一度のレアものだからな」
 「その為にわざわざ」
 「レアだよ、レアな事柄だからな」
 「そういう祭り好きは変わらずだな」
 「サトルも行くか?大学でやるんだ」
 「うーん…」
考え込むサトルは気が付いた。
 「もしかして、アイス買ってくれたのか」
 「美味いよ」
 「サンキュ。優介、先に言えよ。ったく、ボスに金払わせるだなんて…」
 「で、これ土産」
 「え、いつもなら優介なのに。なんで、私?」
 「優介によると、博人さんの方がカッコ良くて、私は似合うという言葉だったからな」


その言葉に、サトルは優介を睨んでる。
 「優介…」
 「悟さんは、どう思います?」
即答だった。
 「断然、ボスの方がカッコイイッ」
誰が、こんなクマ野郎を褒めてやるもんか。
すると、そのクマ野郎は言ってきた。
 「あれから練習してるのか?なんなら一言二言あれば言ってやる」
 「なら持ってくる。待ってろ」

奥のドアに入り一呼吸して、悟はバイオリンを持って戻ってきた。
 





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ボスである友明に金を払わせる事も、レアな事です。

3周年記念特別SS 『君と交えた、このレアな日に感謝』 (6)

※友明&博人※


朝から浮き浮きしながら友明は浴衣を縫っている。
それを見た博人は言っていた。
 「脱がしやすいのを縫ってるんだな」
 「何言ってるの。花火や祭りには浴衣でしょ」
 「言っておくが、私は着ないから必要無いからな」
 「遅い」
 「何が?」
 「もう既に縫った」
 「え?」
 「今縫ってるのは自分のだよ」


こいつの手の早さ…、いや仕事の早さには負ける。
早いのは良いが、どこかが欠けてるとか抜け感があると愛嬌があって可愛いが、こいつは完璧だから見下すことが出来ない。
学生時代は噛み付いてきたのに、最近はそれが無くなったよな。

なんて事を思ってると、友明の声が聞こえてきた。
 「出来たっ」
 「もしかして、祭りから行く気だったのか」
 「そうだよ。着せてあげるからね」


鴨居には2着の浴衣が掛けられ、帯と草履が添えられている。
1着は濃いブルーに黒のストライプが細目に掛かっている浴衣に、落ち着いた赤紫と黒の2色が合わさった帯と鼻緒は黒の草履。
もう1着は紺一色の浴衣に、黒一色の帯に鼻緒は黒の草履だが、こちらは浴衣の丈が短い。
こう並べてあると、丈の違いは15、16㎝ほどか。
その丈の長さに優越感を抱いた博人だった。


でも、これだけは譲れない。
 「友、下は短パン穿けよ」
 「なんで短パンなの?」
 「祭りとなると色んな奴が居る。首を突っ込んで誰かを投げ飛ばす時にパンツが見えたらどうするんだ?」
 
その言葉に友明は考え込んだので、言ってやる。
 「私は短パンを穿くからな」
 「うーん…」
 「友明?」

暫らく考えていたのか、やっと言ってきた。
 「分かった。そうする」

なるほど、そういう場面を想定していなかったという事か。


祭りは大学であるので、先に寄りたい所があると言い、友明と15時過ぎにマンションを出た。
徒歩で行ける距離にあるという事で、10分も掛からなかった。
着いたのは、庭に綺麗な花が咲いてる一軒家。


ピンポーン、ピンポーン…。


 『はい、誰ですか?』
 「福山友明です。福山優人さんはいらっしゃいますか?」

暫らくすると玄関が開き一人の青年が出てきた。
その後ろには子供が3人付いてきた。
優人は目を見開き、笑い出した。
 「ふふっ。その恰好、もしかして祭りに行ってから流星群を見に行くの?」
 「そうだよ。なにしろ60年に一度、日本でしか見れないレアなものだからな」
 「その為にわざわざ」
 「笑うな。で、これ土産」
 「ありがと。中に入って」
そう言って玄関を開けようと後ろを向いた優人は、気が付いた。
 「あ、忘れるとこだった。あのね、インターホンに出たのは孫だよ」

友明は驚き、思わず聞き返していた。
 「孫?」
 「うん。次女が先に結婚してね、3人生まれたんだ。この3人がそうだよ」
そう言って、自分の後ろに立っている孫3人を見せる様に手を指し示した。

 「へー、お爺ちゃんになったのか」
 「うん。で、潤君は?」
 「あいつはフランスだよ」
 「結婚には程遠そうだね」
 「まあな」
 「孫は煩いけど可愛いよ」

その言葉に笑っていた。
 「ははっ。福山家は安泰だな」
 「お兄ちゃん、中に」
だが、友明は遮っていた。
 「悪い。祭りに行く前に、もう一軒寄る所があるんだ」

そう言って、手に持っている土産を持ち上げて見せた。

それは残念…、と苦笑しながら優人は行ってらっしゃいと手を振ってくれた。
挙句の果てには、こう付け加えてくれたものだ。
 「まあ、お兄ちゃんは昔から祭りとか好きだったから、今でも変わんないんだね」

その言葉に、友明はこう返したものだ。
 「楽しむ時は楽しむ。泣く時は思いっきり泣く。それが私のポリシーだからな」

はいはい…、と苦笑せざるを得なかったのは優人だけでなく、少し後ろで隠れて聞いてた博人も同様に苦笑していた。




優人は、もう大丈夫だな。
お母ちゃん、私の肩の荷が1つ減ったよ。
もう、義兄を止めても良い頃だな。
優人。
私はもう会わないから、元気で生きるんだよ。

母違いの、私の義弟。
お父ちゃんが、お母ちゃんに3人の世話をしろと言って手渡さなければ、会う事もなかった。
お前は一人っ子だが、それでも結婚して子供もいて孫も産まれた。
お母ちゃんの事や、私達の事や福岡で暮らした事等を忘れろとは言わないが、心の片隅に置いて貰えると嬉しいよ。
香織にも言っておくか。
無理に会いに行かなくても、連絡しなくても良いってな。



今度こそ、さようなら。
最後まで、私をお兄ちゃん呼びしてくれてありがとう。






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そして、祭りの日。
仕事の速さには感服もんだけど、でも何処かで優越感を感じ取る博人でした。

そして、友明は義弟に会いに…。

3周年記念特別SS 『君と交えた、このレアな日に感謝』 (5)

※健志&優※



カナダから帰国してきた西條健志と元宗優は区内で買物をしていた。
メインは妹の物だ。
そう、体の良い荷物持ちだ。
西條家の末子と元宗家の末子は二人ともまだ結婚していない。
30歳を超えてるのに、付き合ってる男もいないらしい。
優の妹の萌は言っていた。
 「あのね、お兄ちゃん。結婚したい人がすればいいのよ。私はまだしたくないから、今を青春してるの。ねー、麻衣ちゃん」

麻衣ちゃんと呼ばれた健志の妹も返してくる。
 「あのね、たけ兄。りゅう兄もそうだけど、”ハイスペックな兄がいて羨ましい”と寄ってくる男は、男じゃない、と思ってるの。
まったく、何を思って日本で星を見に帰ってくるかねえ」
 「カナダの方が綺麗に見えると思うよねえ」
健志は妹に返していた。
 「日本でしか見れないんだ」
 「ふーん、ところで、たけ兄の方こそ結婚は?」
 「俺はまだ自分の生活が安定してないからな」

今度は萌が兄に聞いていた。
 「お兄ちゃんは結婚相手いるの?」
 「今が楽しいから、考えてない」

2人の女性の声がハモった。
 「ふーん、2人とも悲しいねえ」
健志は苦笑していた。
 「ったく、この2人は…」


萌は言ってきた。
 「まあ、別に良いわよ。あ、それじゃ今度はあそこに行くわよ」
 「あそこって、何処?」

あそこ、と言って萌は指差した。
そこは、その百貨店のメインとして一番人気な料理店。
 「げっ…、萌、お前は」
 「だって、ランチを奢ってくれるって言ってくれたでしょ。あれは嘘だったの?」

麻衣はキラキラと目を輝かせた。
 「たけ兄、あそこって美味しいって有名なのよ。御馳走様、そしてありがと~」
 「なっ、いくらすると思ってんだ」

 「ランチよ、ランチ。安いもんでしょ」
 「だから、そのランチって…」


女性2人は店に近寄って行く。
 「ランチは3種類あるって書いてあるよ」
 「ねえ、お兄ちゃん。麻衣、ここでランチ食べたい」


優は健志に耳打ちしていた。
こそこそと。
 「ランチ、一番安いのでも2000円だよ」
 「はっ?」
 「次は3000円で、一番高いのは4500円」
 「ランチだろ。なに、その値段」


 「お兄ちゃん、はーやーくー」

優も苦笑するしか出来なかった。

カナダもそうだけど、ランチを外食するなら、高くて1,000円だ。
大体が、500円から600円で済む。
2,000円だなんて、セレブ並の食事になる。
まったく、日本って本当に高いよなあ…。



それに、あの松井総帥に直に誘われたんだよ。
断わる事出来ないだろ。
お父ちゃんは、久しぶりに会えて嬉しかったと言ってたし。
そして双子に会ったものだから、娘に結婚話をしていたほどだ。
その父の攻撃から逃げる為、兄をダシにして一緒に買い物に来たのだ。
隣の西條家の麻衣ちゃんに声を掛けると即答で飛びついてきたものだ。
2人とも、兄を荷物持ちとして使ってるのだ。


元気な妹に振り回され、結局フランス料理店でランチ4500円と自分達のランチは2000円にして奢らされる羽目になってしまった健志と優だった。
家に帰り着くと、くたくたになっていた。

どこにも行きたくない。
明日は祭りがあり、その夜には流星群だ。
祭りには行かず、流星群は家から見る事にした二人でした。






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やはり、妹とはいえ、女は強しですね(*≧m≦*)ププッ


3周年記念特別SS 『君と交えた、このレアな日に感謝』 (4) ※R18!性描写有ります。18歳未満&抵抗ある方はスルーして下さい※

※R18!性描写あります※


着せてくれたのは嬉しい。
だが、俊平は黙ったままだ。
声を掛けていた。
 「しゅんぺ…、ん、ちょっと」
 「浴衣という物は脱がせやすいんだよ」
 「ま、まって…」
 
俊平の手は浴衣の合わせから手を差し込んできて、足を、腿の辺りを触ってくる。
 「ん…」

そのうち俺のパンツに触れて、いや、これはパンツの上から舐めてる。
 「は、しゅん…」

感じる。
自分のモノが熱を持ち固くなっていくのが分かる。
俊平は舐めるのを止めようとしない。
 「しゅん、や」


もう堪らないと思ったら、今度は手は上半身を触り出した。
破るような勢いで左右を開き、乳首を噛まれる。
 「っ…」

くすっと笑い声が聞こえた。
 「大丈夫、破かないよ。せっかく買ったんだからな」


俺の考えてる事が分かったのか、言い当てられ恥ずかしい。
俺の乳首を舌で舐めたりしゃぶったりしながら、もう片方の乳首は俊平の指で弄られ抓られ押し潰されている。
 「ん、しゅっ…」

もう駄目、
足が、踏ん張れない。


やっと俊平の口攻撃と指攻撃から解放された。
そう思ったら反対側の乳首も口攻撃と指攻撃にあってしまう。
 「ふ…」


足がガクガクと震える。
 「しゅ、ん…」

あ、なんか目が回りそうだ。
視線を下に向けると、俊平のふさふさとした黒髪が目に映る。
その髪を触っていた。
途端に強く吸われた。
 「あっ!」

それと同時に俺の腰を引き寄せて何か言ってくる。
でも、何を言ってるのかはっきりと聞き取れない。


俊平の身体が離れたので腕を伸ばしていたら引っ張られた。
 「こっちだよ」

視界がぐるっと90度反転して天井を見ていた。
背中はフワフワしている。
もしかしてベッドに背中をつけてるのかと思うと、エッチする事に気が付いた。
ら、いきなり頭に痛みがきた。
 「ぅ………」

 「悪い悪い、目測を誤った」



痛くて何も言えずに俊平にしがみ付いていた。
エッチしたいのだけど、それどころではない。
俊平は俺の浴衣を直すと抱きしめてくれ、頭を撫でてくれる。

 「痛いの、痛いの、飛んでけー」
と、何回も何回も言ってくれる。
俊平の腕に抱かれ、耳元で「痛いの飛んで行け」と囁かれると眠りに落ちていきそうだ。


俊平ありがと。
絶対に観に行こうね。
どうか晴れます様に。



うつらうつらとしていた。
いきなり俊平の声が聞こえてきた。
 「治、その痛みを吹き飛ばしてやる」
 「へ?」
 「大丈夫、俺に任せろ」

そう言いながら、俊平の手は俺の肌を触ってきた。
もしかしてと思った俺は手を伸ばしていた。
 「キスして」 
 「ん」


優しくキスしてくる。
俊平の手は俺の身体を触り続けている。
俊平の熱の塊が俺の身体に押し付けられてるのが分かる。
 「俊…」
 「欲しい」
 「俺も欲しい」
 「ん…」


今度は口内を貪ってきた。
息が出来なくなると、項に顔を埋め、鎖骨から胸へと俊平の唇が痕を付けていく。
 「しゅんぺ…」




気が付くと、頭の痛みは消えていた。
結局、浴衣はベッドの下に落とされていた。





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しっかりと性描写あります。18歳未満&抵抗ある方はスルーして下さい。

あらら、せっかく着せたのに・・・
脱がしちゃったのね。。。


3周年記念特別SS 『君と交えた、このレアな日に感謝』 (3) ※ソフトな性表現あります※

※俊平&治※


 「ねえねえ、俊平」
 「なんだ?」
 「あと2日後だね。楽しみだ~」
 「何が?」
キョトンとしている俊平に、治は不安を感じた。
 「もしかして流星群を見に行くの、忘れてる?」


流星群—―。

そういえば、60年に一度、日本でしか見れないとか言ってテレビでも騒いでるアレか。
黙っていたら、その沈黙をどう捉えたのか、治は言ってくる。
 「分かった。俊平が行かないのなら俺も行かない」


案外、早くに言葉が返ってきたなと思ってたら、リビングの部屋に掛けてるカレンダーを見たのだろう。治の立っていた場所の近くに掛けてるので、見えたのだろうな。
 「ゲスト出」
と赤字で書いてある下に、 「流星群の日!」と、治の字で書かれてある。

ああ、そうだ。
思い出した。
その日はゲストとして大会に出て走る日だ。
俺は、どうなるか分からないと言ってたのだが、治は「覚えといてね」と言ってカレンダーに書き加えていた。

その日は珍しく、治は自分の部屋で寝ていた。
いつもなら煩く「一緒に寝よー」と言ってくるのに、そこまでなるものなのか。

翌日は、朝からしょんぼりと元気のない治だった。そんな治を見るのは辛いものがある。
その日、俊平は大学からの帰り際、近場に在る店で買い、それを治に渡した。


治は驚いてる。
 「何、これ…」
 「プレゼントだよ」
 「何の?俺の誕生日が何時なのか知らない?」
 「知ってるよ。いいから開けてごらん」

そう言われ、渋々と袋から取り出し包装を解いていくのだが、その包装紙を見て怪訝な表情をしている。
まあ、開けろと言われたので開けるか。
丁寧にも箱入りだ。
その箱を開けて中身を見る。

え、俺、どうしたら良いんだ。
これをどうしろって言うんだ。
 

大きな目が見開き、治は俊平とそれを交互に見ている。
俊平は口を開いた。
 「治。俺は大会で走るんだ。それを着て先に行っといて」
 「え、でも」
 「ゲスト出演での走りだから18時までなんだ。もしかすると遅くなるかもしれないが、片付け等はないから、そんなにも遅くならない」
 「しゅん」
 「流星群の見る場所はグランドの近くで良いか?」
 「俊平…」
 「19時、は無理かもしれないけど…。19時半なら大丈夫だ。だから19時半にグランド近くに在る自販機が立ち並んでる所で待ってて。出来るなら、握り飯とか夕食を用意しといて」
その言葉を聞いた治は、パアッと表情が明るくなった。
 「うん、待っとく」

やっぱり、こいつの笑顔は最高だな。
そう思った俊平は言っていた。
 「着方を教えてやる。ほら、こっちに来い」
 「え、今?」
 「ああ、今だ」


そう言って俊平は自分の部屋に連れて来て服を脱がし、先程手渡した浴衣を着させてやる。
時々、腹を触ったり、胸を掠めるように触れてきたり、挙句の果てには乳首を抓ってくる。
 「んっ…」

その度に、治は声を出していた。
 「なに声を出してんだよ」
 「しゅ、俊平こそ、どこを触ってんだよ」
 「どこ触ろうと俺の勝手だ」

もう、俊平ったら。

 「良いか、この右と左の重ねを間違えるなよ」
 「間違えたらどうなるの?」
 「死人の衣装になる」
 「ひえぇぇ…」

とんでもない事を言ってくるが、それだけは嫌だ。


 「はい、出来上がり。ほら、鏡見てみろ」

そう言われ、じっくりと立ち鏡の中を覗く。

明るめのノーコンの浴衣で帯は黒だ。

 「で、足元はこれだから。間違ってもスニーカーとか穿くなよ」
と見せてくれたのは、浴衣と同じノーコンの鼻緒の草履だ。
裸足で草履を穿く。
嬉しかった。
 「えへっ」
 「うん。よく似合ってる」
 「ありがと」



でもね、俺を脅す為に右左の事を言ってくるのかと思ってググったら、書いてあった。
ごめん、俊平。
本当なのかどうかが心配だったんだ。
だからググってみたんだ。
まさか、本当だったとは思っても無かったよ。

なるほど、左側が上にくるのか。
これが右側が上にくると死人の姿ね、覚えておこう。






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なにやら俊平の言葉に疑惑を感じた治。
さすが治ですね(*≧m≦*)ププッ
そして、ソフトな性表現あります。

3周年記念特別SS 『君と交えた、このレアな日に感謝』 (2)

※松井一家※


いったい何年帰ってきてないだろう。

松井孝之は会社の送迎車に揺られ思っていた。
弘毅がニューヨークに来てくれたのは2年前の8月だ。
今では大学1年生になった息子は何も言ってこない。
まあ、メールも年に1回だからな。
そんなに弟と顔を合わせたくないのか。

今回の帰国に関してメールをしたのだが、何も返事はなかった。
でも、大丈夫だよな。


車に揺られる事1時間強で、家に着いた。
降りると、750ccのバイクが駐車場に置かれてる。
誰か客が来てるのか。
今日、帰国するとメールで伝えてるのに。

車から降りると、まっすぐバイクに近寄った。
双子はバイクを見るのが珍しいのか、私と同じようにしゃがみ込んでバイクを見ている。
真っ黒なボディに、青と黄色のラインが描かれている。

ふと見ると、双子はベタベタと手を触れてるのが目に映り、思わずバイクから引き剥がしてしまった。
2人を抱きかかえるとボカスカと叩いたり蹴ったりしてくるが、こんなの痛くも何ともない。

中に入るかと思い、玄関ドアの前に立つ。
いきなり、内側から開いた。

バンッ!

 「っ…」

ビックリしたが、声を出したのは私では無く、双子の方だった。
それもそのはず、2人を抱いたままだったので、そのドアは無情にも双子に当たっていたのだ。

んぎゃー!!


玄関の中から出てきた人は一瞬、目を見開き驚いていたが、そのうちに双子の頭を撫でてきた。
 「久しぶりだなあ。松井君、俺を憶えてる?」
 「は?」
誰だ、こいつ。

そう思っていたら、こう言ってきた。
 「うちの子を、優を連れて来てくれてありがとう。うちのバカ息子はカナダに行ったきりだから、顔が見れて嬉しかったよ」
 「おー、元宗かあ」

腕の力が緩んだ。
その隙に二人を落としていた。

 「ぎゃー!!」

 「や、やばやばっ」
元宗は双子を抱きかかえ尻を撫でている。
 「うんうん、痛いよなあ。お父さんのバカと言って、思いっきり殴ってやれ」
ほれ、と差し出された二人に思いっきり脚で顔を蹴られた。
痛みはこなかった。
まあ、それほど尻が痛くて力が出なかったみたいだ。

後では、妻は笑い転げていた。



 「だー!煩いっ!」
叫びながら、もう一人玄関から出てきた。
その人物に元宗は双子を差し出そうとしている。
 「え、な、なに…」
 「お兄ちゃん、ただいま。あのね、僕たちお父さんに落とされたの」

その言葉で気が付いた。
 「え、弘毅、なのか…」
 「しばらく会ってないという表情だな。この双子ちゃんは尻が痛くて何も出来ないみたいだ。寝さしといた方が良いぞ。良かったら、このまま寝室まで連れてってやる」



双子を寝室に寝させてくれた元宗にリビングで飲み物を出し、話をしていた。
 「いやー、一瞬、大学時代の松井君かと思ってしまったよ。
父子って、本当に似るんだな」
 「元宗」
 「うちの子も、俺に似てくれるかなあ」
 「似てるよ」
 「サンキュ」


あのバイクは元宗のだったらしく、アクセルを吹かしメットを被ろうとしている。
 「カッコイイな」
 「ん、これが?それとも俺?」
 「わははっ。両方共だ」
 「そう言ってくれると嬉しい」
じゃあな。
そう言って手を振り、元宗は帰って行った。


リビングに入ると弘毅はふてくされてるみたいだ。
 「どうした。日本に帰るってメールしただろう」
 「お父ちゃんだけだと思ってた」
 「お母さんは?」
 「上に居る」



さっきの元宗の言葉を思い出していた。
弘毅は学生時代の俺に似ているのか。
こんな感じだったのかな。
目は二重でツン!と鼻は高く、少し少年っぽい感じの面立ちに、身体の線は細いが、しっかりした感じになっている。
2年前ニューヨークに来た時とは違い、大人の顔になっている。

俺の本能は告げていた。
 「これは子供だけど、一人の人間だ。対等に扱うべきだ」と感じた時だった。


だから、話し掛けていた。
 「弘毅、お母さんは家族団欒の為だが、俺は違う。流星群が見たくて帰ってきたんだ」
 「それだけ?」
 「それだけだよ」

信じられないという表情をしている息子に言っていた。
 「本当は一人で静かに見たいんだ。でも、弘毅が良ければ2人で見に行かないか?」
 「え、お父ちゃんと?」
 「ああ、卒業した大学で祭りと流星群見学会があるんだ。行くつもりだ。どうかな?」

すると、息子はテレ顔をして返事をしてきた。
 「お父ちゃんと2人でなら良いよ」
 「ありがとう」





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そして、こちらは松井家。


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