BL風味の小説

BL風味のオリジナル小説です。
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桜咲き、春一番で桜散る (11)

そして、こちらは姉と対面していた。
 「いい加減に身を固める事をするのね」
 「好きな相手が居るんだ」
 「あんたは、卒業したら継ぐって言ってたじゃないっ」
 「卒業したら、ではない!アメリカで勉強して力を付けてからだと言ったんだ」
 「それじゃ、まだ付いてないって事なの?」
 「そうだよ。それに、あいつは生きてる。死んだと聞かされた時は何もしたくなかったが、今はする気でいるんだ。それに、姉貴の子供を継がせば良いだろ」
 「あんたは何歳になったのよっ」
 「年なんて関係ない。子供に継がせたいから、一生懸命に医学部に行かせようとしてるんだろ」
 「貴匡…」
 「姉貴が嫌いとか、日本が嫌いとかという事じゃないんだ。それだけは知っておいて」
 「たか…」
 「そっか、そう言えば姉貴にはっきりと言ってなかったよな」
 「何を?」
 「あのね、私は、ボスが好きなんだ。だから、オーストラリアのパースで生きていく。
この命を盾にしてでも守りたいんだ」
 「ボスって、ああ、あの可愛い顔をしていた友君だっけ?」
 「それ、ボスの前で言ってみろ。怒られるよ」
 「あははっ…、ったくもう、あんた達は学生時代とまるっきり同じだね。進歩がない」
 「それ、ミスターにも言われた」

姉は溜息を吐いた。
 「あー、もうっ。分かったよ、分かりました。その代り、生きてなさいよっ」

デコピンされたが、こんなの可愛いものだ。
口を尖らせてデコピンしてくる姉の額を、同じ様に人差し指で姉の額に触れてやる。
 「ありがとう。元気でな」




そして、こちらは両親と対峙していた。
 「友君と同じ様にとは言わないが、せめて身を固めないとな」
 「でも」
 「いいか。お前は、この大久保国会議員の子供だ。大久保の家系は、国会議員なんだよ」
 「そうよ、潤也ちゃん。それに、友君には子供が居るってね。早く身を固めて安心させて頂戴」
 「お父さん、お母さん」
口を挟もうとしても、挟めない様にもっていくのは相変わらずだな。
なので、聞く事しかできないでいた潤也だ。

 「医学部に行かせても、結局はモデル止まり。溜息もんだよ」
 「そのモデルも辞めて、今は何をしてるって言ってた?」
 「私は、この仕事が好きなんだ」
 「服を作るのが、そこまで好きなのか?」
 「服を作り、それを着てくれる人が居る。その人が居るからこそ、やっていけてるんだ」
 「なら、どこでも出来る筈だ」
 「そうよ、日本でも出来るじゃない。ああ、でも日本だと私たちの名前に傷がつくわね」

その言葉にムカついた潤也は言っていた。
 「私は好きな人と一緒に暮らしてる。離れるつもりは無い」
 「好きな人って、誰?」
 「もしかして、ボスか?」
即答していた。
 「ボスも好きだけど、一緒に暮らしてる人は違う人だ」
 「なら、どうし」
母親の言葉を遮っていた。
 「私はボスが良いんだ。ボスが居たからこそ、仕事をしながらでも大学に通ってたんだ。
自分の夢を持ちながら、悩みながら進んでいけばいい。
そして、私がボスだけでなく、他の人たちの疲れを癒してあげたい。
そう思ってるんだ。
私は、自分の仕事に誇りを持っている。とやかく言われたくない」
 「潤」
 「それに、後を継がせたければ、他にも男は居るだろう。あいつ等のどちらかにさせれば良い」
すると、両親は渋った顔をしてきた。
 「いや…」
 「あの二人は、ねえ…」
 「私は出来損ないの医者だけど、日本には、そういった医者はたくさん居る。
時々、医者でバイトしてるが、本業はデザイナーだ。
それに、私のパートナーは世界屈指のパタンナーなんだ。
ただ、パースにはボスが居る。
私は、彼がボスだからこそ側に居たんだ。それは、学生時代の頃から変わらない」


暫らくの間、沈黙が下りる。
 「まあ、彼の側にはドイツの人が居るからな」
 「で、そのパタンナーって人と暮らしてるって事?」
 「そうだよ」
 「子供は?」
 「男同士で生まれるわけないだろ」
 「男か…」
 「なに、潤也ちゃんてホモなの?」と言う母親にムカついた。

つい、言っていた。
 「ならば縁を切っても良いんだよ」
 「そんな事はしないわよ」
 「ホモが気持ち悪いんだろ」
母は言いたそうにしてるが、父の方が早かった。
 「私の兄がホモだからな…」
 「え、あの伯父さんが?」

だが、母は違っていた。
 「潤也ちゃんの子供なら、絶対、頭が良くてルックスも良くてイケメン国会議員、間違いなしね」
溜息吐いて、言ってやる。
 「色ボケは、そこまでにして欲しいな。とにかく、私はパースに帰る。恋人を待たせてるんでね」
そう言うと、さっさと実家の玄関を目指してリビングから出て行った。
追いかけもしない両親だが、寂しさというものは感じない。玄関を開けると二人の弟が、丁度開けようとしていた。
 「え…」
 「潤兄?」
 「よ。今、帰りか?」
 「潤兄…」
 「私は葬式で帰国しただけだ。すぐに、あっちへ戻るよ」
 「潤兄、別に邪魔だとは思ってないよ」
 「元気でな」

弟二人にも両親に向けて言った言葉を、言っていた。
すると、末っ子の三男が、きっぱりと言って来た。
 「良いよ、潤兄。俺が二人の後を継ぐから」
 「良いのか?」
 「うん。潤兄は、自分の夢を諦めないで」
 「そうだよ、潤兄の服は好きだよ。こうやって贈ってくれるし」
嬉しそうな表情で、二人の弟は言ってくれる。
 「そっか、ごめんな。応援してるからな」
そう言って、弟の頭を撫でてやると、二人とも嬉しそうな表情をしてくる。その表情は昔と変わらない。あの頃の自分たちの生活を思い出してしまいそうだ。
すると、すぐ下の次男が言ってきた。
 「だって、潤兄は昔っから俺たちの世話をしてくれたもん。今度は潤兄は迷わずに夢を追いかけてね。応援してるから」
その言葉に微笑んで弟に言っていた。
 「あのいけずな二人の面倒、よろしくな」
 「はーい」
 「まっかせなさーい」

兄弟には恵まれてるな…、と思った潤也だった。






だが、しかし…。
一樹は、この秋には契約が切れるのもあり、切れたら日本に帰国する事に決めた。
親に言い含められたのだ。
ワンは後を継ぐつもりもあり、宴が終わった時点で父のジェットで香港に帰国したのだ。

これで、皆が皆、バラバラに散ってしまった。
友明の側には、学生時代に宣告してきた5人の内、4人が残る事となったのだ。





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以上、4名が友明の側に残ったのでした。
4人が、4人共カミングアウトした。
という事ですね。
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桜咲き、春一番で桜散る (10)

宴が終わり、自分の家に戻った正孝は、父親と対面していた。
父に言われてしまった。
 「正孝、いつまでも遊んでられんぞ」
 「どういう意味ですか?」
 「お遊びは終わりにしろ」
 「どういう」
 「分からないとは言わせない」
その言葉で、何を言いたいのか分かった正孝は、父に言っていた。
 「ならば、相手になって下さい」
 「なんの?」
 「私は七光りで無く、一人の人間として見て欲しかった。それは学生時代から、ずっと変わらない思いだ。ボスは、そんな私を見てくれてる。だから、側に居たいんです」
 「彼の側には、ドイツの人が居る」
 「分かってます」
 「彼は強いぞ」
 「分かってます。日々、彼を相手に組んでるのですから」
 「お前が生きてるのは、彼は本領発揮してないからだ。遊ばれてるんだ」
 「分かってます、分かってます。でも、私は、ボスの側に居たい…」
 「学生時代とは違う」
 「分かってます。だから言ってるんです。相手になって下さい、と」
 「なら、付いて来い」

そう言われ、付いて行った先は警察関係者の使う、地下訓練所。
懐かしさを感じる所だ。ここで、どれだけ訓練したことか。
父の声が聞こえて来た。
 「どれだけ鈍ったか見てやる」
その言葉で確信した。
ああ、どんなにしても、この父は私を日本から出させない気なんだなと。
ならば、見て貰おうじゃないか。
そう思ったら、ドアが開き声がした。
 「へえー、誰かと思えば、七光り君じゃないか」
 「あれ、童顔なのは変わらないねえ」
 「インターポールまで上ったのに、急に辞めたんだって」
 「俺たちが誰なのか分からないって感じか」
 「名乗らないと分からないよな」
 「それとも何?やっぱり医者してた方が楽か」
その言葉で思い出した。
ああ、同期で刑事になった奴等だと。

 「総監、本当に宜しいのでしょうか?」
 「息子さんを滅茶滅茶にされても構わないのですか?」
 「医者としても生きていけないかもしれないですよ」
それ以上、こいつ等に好き勝手に言わせたくなかった。
なので、きっぱり言ってやった。
 「お父さん、いや、警視総監。私は、どんなにしても日本に帰ってこようとは思ってません。
あいつの側に居たい。ただ、それだけだ」
 「あれ、なんか話が違うぞ」

正孝は、ニヤリと笑い言い切ってやった。
 「お前等に見せてやるよ。私は七光りで無く、自分の力でインターポールに行った。
その、本当の力をな」


その場で、正孝は同期で刑事になった奴等を一瞬で叩きのめし、父親の後ろを取った。
 「私はパースに行く。二度と、日本には戻ってこない」





同じ頃、こちらも父親と対峙していた。
 「3枚程、預かってるんだ」
 「その気はありません」
 「いい加減にしろ、くだらん遊びは終わりにするんだ」
 「くだらなくは無い。そんなにも後を継がせたいのなら、日本人女性と結婚して男児を産んでくるまで待ってれば良いだけです」
 「お前が良いんだ」
 「私はイタリア王子だ。いつまで経っても、イタリアは私を離そうとしない。それに、私は日本に縛られたくない」
 「知ってるぞ」
 「何をですか?」
 「ホームシックになってるとな」
 「誰に聞いたのか分かりませんが、それは昔の事です」
 「豊っ」
 「貴方の子供は居ない。そう思ってれば済むだけです」
 「実際に居る」
 「でも、まだ初婚もされてないでしょう?調べれば分かる事です。貴方は、まだ独身だ。
私の母とは、正式に結婚してない。私が、そんな事を知らないとでも思われてるのですか?」
 「豊…」
 「私は、あいつの側に居たい」
 「あいつって、友君の事か」
 「そうです」
 「彼には、ドイツの人が居る」
 「分かってます」
 「お前は用無しだ」
 「いいえ、彼にも出来ない事はあります。だから、それを補う人物が必要なんです」
 「それは、お前ではない」
 「いいえ、それが私です」
 「豊っ」
 「ご存知ですか?日本では、縁を切りたい時は、ある用紙を提出すれば切れるって事を」
 「なんの事だ?」
 「ましてや、私と貴方は内縁関係での父子だ。縁を切りたければ、簡単に切れる関係だ」

その言葉に、父は分かったみたいだ。
 「豊、お前はなんて事をっ。誰かの入れ知恵か」
 「今、パースで法律関係の勉強をしてます。医者はたくさん居るが、法律関係者は居ない」
 「そこまでして、彼に」
 「私は日本に戻る気は無い。どこの国に行っても顔パスで行ける様になったのだから」
だが、父は遮ってくれる。
 「ならば、この父を倒していくんだな」
 「倒して宜しいのですか?」
 「でないと、日本から出さん」
そうですか…。
次の瞬間、豊は父の心の蔵を正確に突いた。
 「貴方の血を分けた福山豊は、幼少期に行ったイタリアで死んだ。そう思ってくれれば良い」
ふっ…と、ほくそ笑んで、豊は、父の耳に届くように、はっきりと言った。
 「私は、あのイタリアに居た時は、人殺しをしていた。簡単に殺せるんだよ」

そして、最後のとどめに手刀で突いた。
父の耳元で囁いていた。
 「私の名前は、豊ではない。
グスターヴォ=ヴォルドゥー・ドゥ・ヴィンセンティーニュ、イタリア人だ」



豊は、執事を呼んだ。
 「はい、如何されました?」
 「父が死にそうだ。救急車を」
 「えっ!ご主じっ…。あ、若は、どちらへっ」
 「私は、父と口喧嘩してたんだ。その時に、様子がおかしくなってね」
早く呼ばないと、手遅れになるよ。


わざと応急処理をせずに執事を呼んだのに、救急車が急ぎ着いたせいか父は息を吹き返した。
ぼそっと呟いていた。
側に執事が居るのにも関わらずにだ。
 「あいつは人殺しなのか…」






sakura02_c.jpg



その後、風の便りで聞いた。
父は日本人女性と結婚して男児と女児が生まれた事を。
そして、その男児に帝王学を学ばせていると。






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父子対決ですね。
マサとユタカは、自分の実父に手を上げてまでも、ボスである友明の側に居る事を決めたのね。
友明、あなたの肩には重荷が圧し掛かるわね。。。

桜咲き、春一番で桜散る (9)

ベッドの中で、友明は学生時代の頃を思い出していた。
 「博人さん、知ってもらいたい事があるんだ」
 「なに?」
 「私は、帝王学を『御』から学んだ。
君は見所がある、と言われて。
初めて、『御』の誕生日パーティに行った時に…、そう言われて、その翌日から、ずっと…」
 「あの人は、人を見る目が確かだからな」
 「そう言われると、嬉しいな」
 「なる。だからか、納得した」
 「何を?」
 「なんで、大学生が帝王学を学んでいるのだろうと不思議に思ってたんだ」
 「え、そうなの?」
 「ああ、見れば分かった」
 「へえ…」
 「あ、でも分かったのは6年生の頃だったかな…」
 「色々とあったからなあ」
 「トモでも、そうなのか」
 「人間だから、だよ」
 「だから、敬語が無くなりタメ言葉になったんだな」
 「あ、あれ…、そうだっけ…」
 「そうだよ」

博人さんの優しい声が聞こえてくる。
 「トモ…」
 「ん…」
 「今日だけだ」
 「え、何が?」
 「私に抱かれて、誰かを思い泣くのは今日だけだ」
 「博人さん…」
 「泣いても良いんだよ」
 「ん、ありがと…」


そんな優しい言葉と声を掛けられ、友明は博人の腕に抱かれ、胸に顔を埋めて泣き出した。
 (『御』、今迄ありがとうございました。迷惑や心配事を掛けてしまい、お世話になりました。
そして、優介を引き受けて下さった事、本当にありがとうございました) 



友明は博人に抱かれたまま眠りについた。

そして、夜は更けていった。




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短くてすみません。
博人の腕に抱かれて、胸に顔を埋めて泣く友明。
『御』に、帝王学を学んでいたのですね。
本編には書かれてない裏話を載せてます。

桜咲き、春一番で桜散る (8)※R18!!性描写あります。18歳未満&抵抗ある方はスルーして下さい※

呆れた顔でユタカが言ってきた。
 「ドイツのフォン・パトリッシュって言えば、文武両道だけでなく、貴族なの。
王族の中でも、王様なんだよ。
狩猟だなんて、日常茶飯事だ。それぐらい知っとけ」

 「えー、そんなにも有名なの?」
 「なんで、そんな奴がボスの隣に居るんだ?」


昌平は呆れかえっていた。
 「わははっ…、君たちは何時まで経っても変わらないねえ。
今日は、私の父を偲ぶ会だ。
いつまでも偲んでないで、前を向いて行かないとな」
 「昌平さん、ごめんなさい…」
 「いやいや、相変わらずな君たちを見て思ったよ。
このまま変わらないでいて欲しいな、ってね」

昌平は、あっけらかんと言ってきた。
 「あ、でも言っとくけど。
ヒロはバイクも乗れるから、乗り物競争しても君たちの方が負けるからねー」


その言葉に、皆の言葉は重なった。
 「勝てるアドバイスしてくれませんか?」


そんなやり取りを、ボスであるトモは見ていた。
そう、トモは博人がフォン・パトリッシュだと教えてくれた時、凄くショックを受けたのだった。
なんで、そんな人を好きになったのか。
それでも、博人さんは側に居てくれた。




宴がお開きになり、トモは博人のマンションに付いて行く。
 「お帰りなさいませ」
 「ただいま」
小さい声で、友明も応じる。
 「お疲れ様です」

居て良いのだろうか。
何も言わない博人に、友明は不安が押し寄せる。

 「博人さん」
 「疲れたな…、寝るか」
 「博人さん、私は」
 「何が不安なんだ?溜め込むなよ」
そう言って、博人さんは風呂場に連れ込んで裸にしてくれた。
 「ひろ、と…」

 「ん…」

真っ裸にされ、口づけられ、啄ばまれる。
 「う…」

浴槽に湯が張られて水位が上がっているのが分かる。
このまま抱かれても良いが、お湯に浸かりたいな。
博人さんの背に両腕を回し、小さい声で言っていた。
 「抱っこして…」

 「ん、なんだって?聞こえなかった、もう1回」

うー…、恥ずかしいな、もう。
 「トモ?once more」
 「もうっ、だから抱いて、お湯の中に連れてって。って言ったの」
はいはい、と博人さんの優しい声がする。
恥ずかしいなあ。


 「トモ、言ってくれないと分からないからな」
 「でも、恥ずかしいでしょ」
 「何が恥ずかしい?」
 「言葉に、よりけり…」
 「それもそうだな」

腕を回してるせいもあって、顔が近い。
博人さんの息使いが、息がかかる。
 「ひろ…」
 

博人さんの手が、尻を触ってる。
もしかして、風呂場でエッチするのか。
 「博人さん」
 「良いだろ」
 「良いけど、のぼせたく無い」
 「ほどほどにする」
 「本当に?」
 「もちろん、信じなさい」

いや、そう言ってくる時は信じられないんだ。


 「くぅ…」
 「締め過ぎだって…」
 「で、でも…」

博人は突き上げてくる。
 「は、はぁ…」

 「ん、んふ…」

 「あ!ぅ…」
 「ここか…」
 「や、ぁ…」

もう駄目だ、イク。
 「ひ・ろ…」
 「我慢しなくていい」
 「ん…」


 「アアアッ…」

風呂の中でイッてしまった。
その数瞬後、博人もイッていた。
 「ひろ…」
 「ん…」


ゆらゆらと揺れるお湯の中で、友明は博人の腕に、胸に抱かれていた。






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もう一組のエッチシーンは、こちら。
毎度お馴染みの博人&友明でした。
しっかりと性描写あります。
ご注意ください。

桜咲き、春一番で桜散る (7)

悟は、項垂れていた。
私の、この私の楽器で、難なく弾きこなすクマ野郎。
ボスを取り戻す事は出来ないのか。
でも、見事と言うしかない音だ。
こんな音色なんて、私には出せない。
完敗だ。
あいつ等の足掻きは、いつまで続くのかな。
もっと自分に自信を持ち、努力する方向先を変更しないといけないな。
そう思っていた。

 「クマ野郎っ、ボスを泣かせるなよっ」

自然と、その言葉が口に出ていた。
その声に皆が振り返るなか、優介が慌てて声を掛けてくる。
 「さ、さと」
 「良いから、優介は黙ってろ」


クマ野郎と呼ばれた博人は、穏やかな表情だ。
 「私は…、私は、絶対に、あんたを超えてみせる。
武術のみならず、このバイオリンでもな。
今は負けてるが、それでもあんたに勝ってやる。
その意気込みで、今迄とは違うやり方で磨きをかけてやる」

博人は、ふっと微笑んで言ってやる。
 「出来るかな?」

その笑みにも怒りを覚えた悟は言い切っていた。
 「出来る」
 「ほう…」
 「年食ってるだけが良いわけじゃないからな」
 「なるほど、確かにそれもそうだ」
 「もし、あんたがアドバイスするなら、どう言う?」
即答だった。
 「独学で無く、一から始めるんだな」

何も言えなかった。
小さく罵っていた。
 「くそっ…、なんで独学だと分かったんだろ…」


 
だが、8人は違っていた。
 「サトルの言いたい事は分かるよ。いつまで経っても埒が明かないからな」
 「スズメは、何か勝算あるのか?」
 「うんにゃ、今のところは全く無い」

 「でも、必ず、どこかで勝てる筈だ」
 「マサが、珍しく燃えてる…」
 「だって、得意の武術で負けてるんだよ」
マサの父親である警視総監が口を挟んでくる。
 「燃えるのは良いが、方向性を間違えるなよ」
 「はい」


 「こちとらだって、自他ともに認める文武両道の10人なんだよ」
 「タカが、そういう事を言うだなんて」
 「私だって、色々と工夫してるんだ」

 「どんなにやっても負けるんだから。今迄とは違う方面に目を向けないと」
 「さすがユタカだな。で、どっちに目を向けるって?」
 「考案中なり…」
すかさずユタカの父親が口を挟んできた。
 「まったく、お前は…。口先人間にはなるなよ」
父の言葉に反論出来ないユタカは、一言しか言えなかった。
 「精進いたします」


 「それなら、一斉にでなく一人ずつやってみたらどうだ?」
 「ユウマはしないから分からないだろうが…」
 「だからって、しないよりはマシだろ。違うか?」

 「一人ずつした事あるんだよ。だけど、何時の間にか皆でやってるんだよな」
 「そうだよ、カズキの言う通りなんだ」
 「で、毎度のことながら負けるんだよな…」

 「なに楽しそうな事をしてるんだ、お前等は」
 「ジュンヤは、あんまりしないから分からんだろう」
 「何回かはしたけど、強いよねー」
ジュンヤの父親の方が口を挟んできた。
 「なんだ、潤也は弱いのか」
今度は母親だ。
 「二人の国会議員を親に持つ子供なら、受けて立ちなさい」
ジュンヤは苦笑していた。
 「あの人は強すぎるんですよ」

 「あ、そうだ。私の父の裏の方を継いでもらうってのはどうだろう…」
 「ワン、それは無理だっ」
 「そうか?あ、銃での勝負ならどうだろう…」
すかさずワンの父親も口を挟んできた。
 「アンドリュー、それは無理だ」
 「何故ですか?」
 「フォン・パトリッシュと言っても色々とあるが、それがドイツの方なら相当な訓練をした者だ。
他に案を考えるんだな」


だが、スズメはワンの言葉に乗っていた。
 「それだっ!こうなると飛び道具での勝負だな」
だが、スズメの発言に苦言を呈したものが居た。
ワンの父親だ。
 「いや、それは無理だよ」
 「死んでしまうからですか?」
 「うん、君たちがね」

え、君たちって、私たちって事?






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ついにサトルは、クマ野郎もとい博人の力を認めたのですね。
だが、他の8人は。。。

桜咲き、春一番で桜散る (6)

いつもはヘラヘラしている長男の昌平が、喪主を務めている。
次男の隆星は、子供も放ったらかしにしているほど憔悴している。

家族葬にして、各国や財政界等の来賓を催しての宴は、夜にする。

その宴では、大勢の参列者がいた。
その中には、彼等も含まれていた。
マサの父である警視総監を始め、ジュンヤの両親である国会議員が2人、それにワンの父であるミスター・ワンが香港から飛んで来てくれた。
そして、財界からは日本屈指の5本の指に入る、ユタカの父。
トモの側に付いてきた博人は、自分のマンションに置いてある正装でやってきた。
そう、ドイツのフォン・パトリッシュの紋が入ってるブラックスーツだ。
ざわめかないわけが無い。

 「君は、あの『御』の…」
 「あの方は鬼籍になりました。今では、分散してます」

普通のブラックスーツを買えば良かった。と、思ってしまった博人だった。

そして、宴が滞りなく終わりに近づく頃、喪主である長男が声を掛けてきた。
 「亡き父を偲び、ここに集まられている元医学部10人に、父の大好きだった曲を演奏してもらいたいと思ってます。よろしいでしょうか?」

1人が声を挟んできた。
 「ジュニア、提案がある」
 「はい、なんでしょう?」
 「こちらにおわすドイツのムッシュ。彼に、最後の最後で演奏してもらいたい」

博人は驚いてる。
 「え、なぜ私が…」
 「君のバイオリンを耳に出来るチャンスは、これを機に最後になるだろう。そんな気がするんだ。
ジュニア、よろしいか?」
 「はい、良いですよ。博人、あ、いや失礼。ムッシュ・フォン=パトリッシュ、最後によろしく」
 「はい…」


先に、元医学部卒業生で。
そう言った昌平に、違う声が応じる。
 「昌平さん」
 「トモ、どした?」
 「彼も、元医学部卒業生ですよ」

トモが指差したその彼は博人だった。
昌平は苦笑している。
 「うー…」

くすくすっと笑い、トモは昌平さんに耳打ちしている。
 「よし、それではミニオーケストラを先にします。用意の方よろしく」


いつも演奏させて頂いてた5曲を演奏し、最後にトモのピアノで十八番の曲を。
そして、あの頃と同じ歌で締めくくる。
そう、亡き母の歌だ。
いつもの歌である『旅立ち』と、『Hand in hand with together』を付け足して2曲を歌ったのだ。
 「久しぶりに聴いたな」
 「あの頃とは違い、音に濃淡が出てきた」
 「声も、艶やかになったもんだな」
等と評してくれる。


そして、最後の最後。
そう、博人の順番になった。
自分のバイオリンを持って来てない博人は、サトルのを借りての演奏になった。
他人の楽器はくせが付いてるから使ったことが無いのだが…。
そう思ってたら、トモがバイオリンの弓を出してきた。
 「え、この弓って…」
 「アレが、出してきたんだ」
 「ほー、アレが、ねえ…」

まあ、良い。
使わせて貰おう。


baiorin02.jpg


悟のバイオリンと、アレが変装した弓を使って演奏する。
ドイツでは、毎日の様に弾かされていた曲を弾く。
その曲は、アレである宝石(いし)をも魅了させた曲だ。
その曲を2曲、演奏させてもらった。

 「流石の腕前だな」
 「他人の楽器で、難なくだなんて…」
 「やはり、あのお方の血筋だな」
そんな言葉に、トモは言い放った。
 「血筋ではないですよ」
 「まあ、本人の努力の賜物だな」


だけど、楽器の演奏者の腕というものは、努力だけではない。
演奏者本人の感性や勘、そして運もあるのだ。
それは、楽器演奏者なら、誰しもが考え悩み通る道だ。






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さすが博人です。
しかし、アレも目立ちたがり屋ですねえ。。。

桜咲き、春一番で桜散る (5)

同じ東京都内だが、花見ライブとはうって違い、こちらは人を見送る宴だ。

東響大学医学部を卒業した10人は、その内の一人の父親の葬式に出席していた。
そう、東響大学医学部在学中ではボスをトップとして、6年間、左腕として君臨していたサトルの父親の葬儀が日中に執り行われたのだ。

北海道から、新潟から、オーストラリアのパースから、皆が駆け寄ってきた。
泣きたくても我慢しているサトルに、恋人の優介は大泣きだ。
 「御、御…」

それでも、父の死に顔は微笑んでいる。
死に様を見届けることが出来たのは、本当に安心できるものだ。

昨夜だって、一緒に食事を取り、その後の団欒も過ごしたものだ。

 「優介は、悟の留め金だな」
 「それって、どういう意味なんですか?」
 「悟の暴走を食い止めてくれる、って事だよ」
 「えー、そんな事ないですよ」
その二人の間に割って入ってやる。
 「そうだよ。この私が、優介の暴走を止めてるのだから」
 「あ、そんな事を言う?」
 「事あるごとに、トモ兄って言ってボスに抱き付くんだから。止めて欲しいね」
 「そんな事ないです」
 「その度に、私はイラついてたんだ」
 「悟さん、大人げないですよ」
 「お前に言われたくない」

わははっと、父は笑ってくるのでムカついてくる。
 「笑いごとではないですっ」と反論する優介に、
 「いやあ、二人とも面白いなあ」と、笑う父。
その父にサトルは言ってやる。
 「どこが、面白いって?」
なのに、父は優介に振る。
 「なあ、優介」
 「面白くないですよ」
 「聞いてる方としては、面白いよ」
優介は、いけしゃあしゃあと言ってくれる。
 「でも、笑って頂けると嬉しいです」
 「うんうん。優介も成長してるんだなあ」
と、優介の頭を撫ででいる。

 「ちょっと、優介の頭を撫でるの、止めてもらえません?」
 「はいはい」
そう応じると、今度は三男の悟の頭も撫でてきた。
そんな三人を仄々と見ていた長男の昌平は、口を挟んできた。
 「まあー、三男と四男の父親争奪戦だねえ」

その言葉にムカついたので、言っていた。
 「別に、父親をって事ではない」
 「どちらかと言うと、御に甘えてるだけです」と言う優介の言葉にもムカついた。
 「優介っ」
だが、長男に遮られていた。
 「優ちゃんって、凄い事を言うねえ」

だが、当の本人である『御』は微笑んでいる。
 「そうか、そうか。いい年した成人男性が親に甘えるのは恥ずかしい事ではないぞ。私としてはウェルカムだ」

そう言って、長男をも含めた3人を抱きしめてくれた。
その温もりが優しく、こんな人間になりたいと優介は思っていた。
 「御…」
 「なんだ?」
 「いつか、必ず恩返ししますからね」
 「優介?」
 「御の様に、心の広い人間になりたいから。それまで長生きして下さいね」
 「泣かせてくれる事を言ってくれるねえ」

悟さんの兄の昌平さんが口を挟んでくる。 
 「優ちゃん、こんな爺さんを泣かせる様な事を言わないで」
 「どうして?」
その問いに応じたのは悟さんだ。
 「つけあがるから」


4人で笑ったものだ。



それから一夜明けると、帰らぬ人となっていた。
あっけなかった。

本音を言えば、優介の言葉が嬉しかったんだ。
本当の家族の様に、
当たり前に側に居て、
当たり前の日常に、
当たり前の……。



でも、
もう、できない。






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そして、後半の部です。
毎度お馴染みの医学部卒業生の登場です。
サトルの父親『御』に対する気持ちです。

桜咲き、春一番で桜散る (4)※R18!性描写有ります。18歳未満&抵抗ある方はスルーして下さい※


ヨシに、アキと会えれば良いのだけど無理そうかどうか教えて欲しいと言われ、コウジはアキの様子を透視していた。

 「どんな感じだ?」
 「んー…、飲んだくれてる」
 「わははっ…、なら無理か」
 「なんなら、連絡して」
 「いや、良い。こっちは、こっちで飲んで楽しもう。お前とも久しぶりに会えたんだから」
 「ありがとうございます」


ふと見ると、優は、健志に凭れかかっている。出来上がっていそうだ。
 「健志、連れて帰るか?」
 「こいつ、見かけより重いんだよ」
 「普段は飲む方なのかな?」 
 「いや、あんまり飲まない」

コウジは優を背負うと思ってるのか、背を向けて座り込む。
が、健志は、その行動を遮っていた。
 「コウジさん、しなくて良いですよ」
 「え、でも」
 「叩き起こせば直ぐだから」

ヨシの声が低く呻ってきた。
 「ほう…、叩き、起こす。ね」
 「目の前でして見ろ。とでも言いそうだな」
 「やってみろ」

ヨシの考えは容易に思い付く。
なにしろ、可愛くて可愛くて目に入れても痛くないぐらいの、可愛い存在なんだから。
 「分かったよ。ま、ヨシが言ったんだからな。怒るなよ」
 「ああ」


そう返事を貰った健志は、優の両頬を両手で挟み持ち唇に触れた。
 「!!」

 「ま、待って下さい」
 「何をだ?コウジ、どけ」
 「いいえ、どきません」

 「健志、お前はあ…」
 「ヨシさん、あなたは先程、健志さんに『怒らない』と、答えられてましたよ」
 「あれは」


ヨシとコウジは目の前で広げられている行為について言い合っていた。
健志は、甘々な従弟コンプレックスから離れて欲しいという思いがあったので、これでもかと優の口内を貪っている。
 「ん…」
 「すぐ…」

 
暫らくすると口が離れていく。
 「え、それだけ?」
 「優…」
 「もっと、して欲しい」
 「良いのか?」
 「うん、良いよ」

だが、違う声が邪魔してきた。
 「良くなーいっ」
 「あれ、ヨシ兄。まだ居たの?」
 「ま、まだって…」
その言葉にヨシはショックを受けた。
が、優はお構いなしだ。
なにしろ、目の前に居る恋人の首に腕を回して、こう言ってくれるからだ。
 「健志さん、ホテル行こ」
 「え、ヨシを放っといて良いのか?」
 「うん、良いよ」
さらりと即答した、その言葉にも傷ついたのは無理はない。
ヨシは、コウジからホテルのバーに連れて行かれ、飲んだくれていた。
うじうじと、自分の思いをコウジに愚痴っていた。


そして、そのホテルの上に部屋を取っていた健志と優は寝っ転がっていた。
 「今日は、良い気分だね」
 「ああ、ライブに行って気分がリフレッシュしたよな」
 「健志さん…」
 「優、ヨシに謝っておけよ」
 「何を?」
 「あんな風に見えても、ヨシは、お前を大事に想ってきてる。
俺よりも、あいつの方が」
 「分かってるよ。だけど、邪魔されたくない」
 「まあ、それは俺もそうだけどな」

それじゃ…。

二人は見つめ合い、お互いがお互いを求めていた。

 「あぅっ…」
 「す、ぐ」

酔いも手伝ってか、優の穴開けは容易く、一気に指が2本入る。
 「ぅ…」

優の中は熱く、もう我慢できなさそうだ。
優の声も色っぽくなってきてる。
 「くぅ…」
 「優、イッていいぞ」
その言葉を耳にした優は、イッていた。
 「あ、んんっ」

 「あ、たけ・・し、さ…」
腕を健志の背に回し抱き付いていた。


健志は、ふと思い出した。
あの日、あの時。
夜空に、お星さまに誓った言葉。
それと同じ言葉を口にしていた。
 「優」
 「なに?」
 「良いか。絶対に一人で知らない所に行かない事」
 「うん、約束する」
 「僕は、優ちゃんの横に居るから」
 「うん。これからは、たけちゃんに言う事にする」
そこで気が付き、健志は優の額を軽く小突いてやる。
 「誰が、たけちゃんだよ」
その言葉に、優も言い返していた。
 「あはっ…。そっちこそ。誰が僕で、誰が優ちゃんだよ」

 「約束だ」
 「うん」


二人は約束の指切りをし、おでこをコツンと合わせて微笑んでる。
 「優。もう1回だ」
 「ん、優しくしてね…」
 「ああ」












そして、その日。
違う場所でも、宴が行われていた。




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あれ、アキとコウタのエッチでないって?(-_-;)
すみません、健志と優のエッチでした。。。

桜咲き、春一番で桜散る (3)

メンバー紹介が終わると、昨年の秋に新曲として演奏した3曲を演る。
その後、MCを挟み2曲。

普段なら、この後はアンコールになり2曲を演奏するのだが、この日は違っていた。
マサがセンターに移動して、リーダーがマサの居た立ち位置に移動する。
そう、これから3曲はマサが歌うのだ。

バラードとロックを3曲。
計13曲を演り、その後、アンコールを2曲演る。


 「皆、ありがとー」

そして、マスターが入り口でチケットとの交換時に手渡していたペンタイプのライトを掲げ、デビュー曲をメンバー皆でアカペラで歌う。
デビュー曲はバラードなので、そのライトが左右に揺れてるのを見ると、とても幻想的な感じを受ける。観客の皆も一体になってのアカペラ合唱だ。


目を瞑り、歌ってると微かに聞こえてくる、この歌声。
これは、ヨシさんの声だ。
コウジは歌わないがハミングしてくれてる。
嬉しい。
コウジ、ヨシさんを連れて来てくれてありがとう。


マイクを通さないリーダーの肉声が透き通った夜空に溶け込んでいく。。
 「ありがとー。皆、大好きだよー」

メンバー全員で、ステージから花道を通りながら、手を振る。
 「ありがとー」
 「また、今度会おうねー」



花見ライブも終わり、コウタの言葉通り、アルコールが目の前に差し出された。
 「え…」

リーダーの嬉しそうな声がする。
 「お疲れ様っ」
 「ええ、飲むの?」
 「あれ、アキって下戸だっけ?」
 「いや、違うけど」

今度はコウタから言われる。
 「なら飲め」
 「明日、仕事…」
 「大丈夫だ」
 「いや、大丈夫じゃないよ」

すると、マサからも言われた。
 「最初っから飛ばしてくれたんだ。飲むんだよ」
 「え…、明日はテレビの生放送…」


もしかして、これって罰ゲームなのか…。
どうしよう…、と思っていたらケンが声を挟んできた。
 「俺にとっては、音出し出来たから良いけどな」

すると、マスターが声を挟んできた。
 「なら、二人して飲んで貰おうか」

ええっ、そんなあ…。


俺は言っていた。
 「マスター。なら、せめて薄いのをお願いっ」
 「なんで?」
 「俺、明日は朝の7時にテレビ出演するんだよっ。飲み助のままだと演奏どころか、テレビでコメントも言えないよぉー」
 「ほー、テレビ出演かあ。仕方ないなあ」


sake02_c.jpg



と言って、薄めのを入れてくれたけど、どう見たって多いだろう。
ビールグラスに並々と水割りを注ぎやがって。









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罰ゲームは、飲みなんだね。。。

桜咲き、春一番で桜散る (2)

コウジが連れて来た『パープル』のトップの人物に会えたのが嬉しくて、アキはテンションが高かった。そのせいか、音が少し走ってしまっていた。
あれ、リーダーがこっちを向いて苦笑してる?
なんで?
不思議に思っていたら、コウタが近くまで来ていた。
 「お前ね、他人に合わせる事をしましょう」
 「え…」
 「え、じゃ、ねえよっ。走り過ぎやがって…」

その言葉で気が付いた。
 「あ、ごめんごめん」

ヨシさんに会えたことが、とっても嬉しくて興奮していたんだな。


コウタの心中は穏やかでは無かった。
なにしろ、あの人が来てるのだ。
だから、アキはテンションが高くなってると思ってるのだ。
アキが、あの人から離れたのを機に、俺の方に寄ってきたんだ。
あの人の方から。
 「ねえ、コウタ君」
 「え、俺?」
 「うん、そうだよ。半年ぶりになるのかな」
覚えてる?とグラサンを外して聞いてきたのは、ハロウィンライブの、あの時に会った人だった。
 「何か?」
 「君たち二人の進展は無さそうだね…。私としては応援してたのに。
まあ、アキは鈍いところがあるからねえ…」
しみじみと、そう言ってきたんだ。
なので、言ってやった。
 「応援してくれるのはありがたいが、どうのこうのと言われたくない」
でも、相手の方が上手だった。
 「まあ、それもそうだね」


そのアキは、見目麗しい3人に囲まれ、楽しく談笑していた。
凄く腹が立ったのもあり、見目麗しい3人の所に殴り込みを掛けに行こうと思ってたら、ライブ始るよーというリーダーの声が聞こえてきた。
それを合図にアキがステージの方へ走ってくるのを見て、安心したんだ。

なのに、今は興奮してて音を走らせてるし…。
いくら俺でも、こんな走ってる音にドラムの音を重ねる事は出来ませんっ。


リーダーもそうだけど、サブギターのマサも呆れてるし、キーボードのケンだけが楽しそうにアキのベースに合わせて音を重ねてる。
ケンはギリギリに来たからアップしてないので、良いアップになっただろう。
リーダーの声が、マイク越しに聞こえてくる。

 「はーい、それではケンのアップも終わった事だし、い・く・よー!」

 「おー!」



hanami_live_2017.jpg


最初の2曲は、童謡をジャズ風にアレンジしたものを演る。
そして、MCを挟む。
 「皆さん、こんばんはー!
今夜は来て頂きありがとうございます。
3月も、もう終わりに近づいてきちゃいましたね。
皆さん、花見は行かれますか?今宵は葉桜ですが、それでも温かい日々が続いてるので、例年より早く花見できるかもしれませんね。花見にちなんだ曲を、3曲続けて演らせてもらいます」

普段では演奏しないポップな歌謡曲を、3曲カバー演奏する。
その後、MCに。
 「それでは、毎度のメンバー紹介です。
時間ギリギリに到着した、重役出勤のキーボードのケンッ」
ケンがキーボードを弾き、音を出す。
 「はーい、こんばんは。遅れてすみません、本当にギリギリまで仕事だったんですよぉ」

リーダーの声が続く。
 「それでは、お次。なぜか興奮に興奮して最初っから走ってしまったベースのアキッ」
え、俺の方にくるの…、と焦りながら、ベースの音を出す。
 「こんばんはー。ごめんなさい、緊張してましたっ」

リーダーの声が続く。
 「お次は、花も霞んでしまうほどのお洒落なギター、マサッ」
テレながら、マサはギターの音を出す。
 「こんばんはー。今宵の花見は葉桜だから、華を持たせないとね」と、桜ではなく、バラの花をギターのネックに巻き付けたのを見せながら、ウインクまで付けてる。
その言葉に、女性客が興奮している。
 「マサー、素敵っ」
 「花見より、マサの方を見ていたいわぁ」
等々、色々と。

リーダーの声が、その女性たちの声を抑えるように続く。
 「お次は、今夜も低音で盛り上げてくれるだろう、ドラムのコウター」
コウタもドラムを叩き音を出す。
一瞬にして、ざわめきが静かになる。
 「花見と言えば、アルコールだよねー。ライブ終わったら飲みたいなあ」

 「そして、最後に。ボーカル&メインギターの俺、アサミです。
皆、盛り上がろうぜっ」


大歓声が上がった。






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大好きな人が聴きに来てくれてる。
そう思うと、舞い上がるよね💛

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