BL風味の小説

BL風味のオリジナル小説です。
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弟と兄 (48) ※祐樹視点※

※祐樹視点※



兄は、いや道夫さんは俺を抱きしめ、耳元で囁くように言ってくれる。
 「誕生日おめでとう。これからはずっと一緒だよ」
 「ありがとう…。俺、本当に嬉しい」


なので、背伸びしてキスしてやる。
兄はくすくすと笑ってくる。
 「何?」
 「ん、背は伸びないなとおっ…」


踵で兄の足を踏ん付け、ゴリゴリとしてやる。
 「ゆーうーきー……」
 「ふんっだ、これでも180超えてるんだよっ」

それを見下ろすだなんて、190以上ある奴はバケモンだよ。


くすくすっと笑いながら兄は言ってくる。
 「ほんとに、可愛いよな…」

その言葉を向けてくれる兄を睨み付けてやる。
 「ごめん、ごめん。祐樹、あれがあるんだ」
 「なんだよ」
 「ケーキも買って帰ったんだ。夕食を食べた後に食べよう」


ケーキ。
それは、俺にとって大好物な物。
一気に気分は浮上した。

 「ねえ、どんなケーキ?」
 「それは食後のお楽しみ」
 「んー、待ち遠しいなあ…」



ちょっぴり豪勢に寿司を握り、すき焼きが夕食だ。
その夕食後、兄が差し出してくれたケーキの箱を開ける。
 「わあっ…!」

チョコレートケーキに粉砂糖を振らせ、「Happy Birthday」というネームが乗っている。
兄はごそごそと何かをビニール袋から取り出し置いてくれる。
砂糖で作った男の子の人形が2体だ。
手を繋ぐ様に、兄はネームの前に置いてくれた。

 「可愛いっ」
 「こっちが祐樹だよ、名前掘って貰ったんだ」
 「仲良しだね」
その言葉に兄は微笑んで言ってきた。
 「たまには言い合う事もあるけどな」
 「だって俺たちは人形やロボットで無いんだよ。人間なんだ。感情を持っているんだ」
 「泣いたり笑ったり、怒ったり、愛する事もな」
 「うん」


思わず見つめ合っていた。
 「祐樹…」
 「おに、道夫さん…」

俺はどうしようかと悩んでいた。
キスするか、しないかのだ。
だけど、目の前にあるのは……。

兄に向かって、一言だけ言う。
 「目、瞑って」


兄は素直に目を瞑ってくれた。






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うんうん、祐樹の行動は分かるよ。
言われたくないよねー
しかも、好きな人に。。。
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卒業、それは過去からの決別 #2 ~SSは最終話~

 「卒業かあ…」
しつこいほどにぼやくユタカの声に、イラつきのあるタカの声が応じてくる。
 「でも、今は生きてるんだ。そうだろ、違うか?」
するとマサの声が聞こえてきた。
 「そうだよ。昔の事を思っても、時は戻らない。今、この時を生きてる事に感謝しろよ」

そのしんみりとした雰囲気をぶち壊すかのように明るい声が聞こえてきた。
 「あれぇ、皆して、そこで何をしてるの?」
ジュンヤの声が聞こえてきたので振り返った。
 「おま…」
 「えっ」
 「そのっ」
絶句したタカとマサとユタカに、ウインクしてジュンヤは聞いてきた。
 「似合う?」

3人は脱力してしまったが、暫らくして口を開いてきた。
 「ジュンヤ、お前は、自分で似合うと思ってるのか?」
 「うん、思ってるよ。マサも着てみたい?」
 「誰が着るもんか」

 「そうだよ。需要とかあるのか?」
 「可愛いと思うんだ。ユタカは…、似合わないな」
 「ったりまえだ」

 「どっかの誰かさんに着ろ、とでも言われたのか?」
 「いや別に、全く誰にも何も言われてないよ。あのね、今年の6月下旬で、このブログは3周年目に入るんだよ。だから、宣伝も兼ねて着てみたんだ」
 「へえ、もうそんなに経つんだ」
 「タカも、一緒にどう?」
 「やだね」

マサは聞いていた。
 「なあ、ジュンヤ」
 「ん、やっぱり着たいってか?」
 「違う。絶対に着ないからな。その…、卒業って言葉を聞いて、何を思う?」
 「卒業、ね…」

ジュンヤは、ゆっくりと言葉を紡ぐ様に言ってきた。
 「人によりけりだと思うんだよね。私は大学卒業してもモデルを続けてきた。医者なんて、世界を飛び回ってる時にバイトでやっていただけなんだ。ドクターの資格を持っていたせいか、それは役に立つ時が多かった」

ジュンヤはユタカの表情が曇っているのを見て、ユタカに顔を向けて言いだした。
 「だけど、ユタカ。
お前さん、ボスの事を思い出すんだろう。
大学卒業した直後の、あの事故で死んだと聞かされたが、ボスは悪運が強いんだ。
お前の、あの家で起きた事件を憶えてるだろう。骨折紛いな事をされたが、骨折どころかひびも入って無かった。本当に運が強く、ボスもまた生きようとしてたんだ。
卒業というのは、寂しく感じる言葉だが、私は、こう思ってるんだ。
 『卒業とは、今迄とは違った挑戦に向かうのに必要なものだ』とね。
だから、おめでとうと言うんだよ。
ま、私の自分勝手な解釈だけどな」


3人は溜息を吐いていた。
 「ジュンヤって」
 「強いな」
 「前向きな言葉だな」

ジュンヤは口を開いた。
 「そもそも、モデルというのは本当に人によりけりなんだよ。服を着るのか、服に着られるのか、服を自分のモノにするのか、服は自分の一部なのか。それらを踏まえたうえで、モデル業というのは成り立つものなんだよ。医者は誰でもなれるし、出来る職業だ。
しかし、モデルは違う。
いかに自分を魅力的に魅せることが出来るか。
自分を演出していくものなんだ。
高2の時から引退するまでの26年間、頑張ってやって来た。
ミラノ、パリ、ニューヨーク等を中心にして色々な賞を頂いたけど、自分というのをしっかり持っていないと、流されて干されていくんだ。
いいか、謎野郎にハーフ野郎に…、なんとか野郎」

タカに殴られた。
 「って…」
 「なんとか野郎って何だよっ」
 「あ、思い出した。ごっついの、だ」
 「この野郎、殴られたいか」
 「やだねー。さっきも殴っただろう。
あの時も言ったが、私の忠誠心は変わらない。ボスがボスでいる限り、私はボスに付いて行く。
『自分の夢を持ちながら、悩みながら進んで行けば良い。疲れたら私が癒してあげる』と言った言葉は、無期限ものだ。だから、私はパースに来てるんだ」


ジュンヤの言葉で、3人は思い出していた。
大学時代、ボスは襲われ骨折紛いな事をされた事件を。
ユタカは、自分の屋敷の一部を壊された事をも思い出した。
 「私は…、私は、あの男を絶対に許さない!だから、めちゃめちゃに殺してやったんだ。
私にとって、ボスは…、トモは小学校の時からの腐れ縁だけど、あいつしか見てこなかった。
トモの行く先を阻む奴は、誰であろうと蹴散らしてやる」

タカは頷いてる。
 「あの時は、場所がそうだったからハーフが助けたが、私も助けたいんだ。
この命を賭けてでも、盾になっても守りたい。あんな熊野郎にでなく、この私が助けたいんだ」

その言葉に、マサも頷く。
 「親の七光りでなく己の力を知りたい、という願望は今でも持っている。
ボスが生きてる限り、ボスの側に居たい。あの忠誠心は、今でもある。だから、パースに来ることに決めたんだ」



声が聞こえてきた。
 「誰が何をほざいてるのやらと思ったのだが…、お前等は何年経とうが変わってないな」

声がした方を向くと、サトルだ。
 「ボスは何時まで経っても強がりの塊だからな。まあ、直せと言っても、こればかりは無理だろう。
それに、私も忘れてないからな。『バカになって。バカになれないのなら、私たちが甘やかしてバカにさせてあげる』という言葉は、今でも有効だ。
言っておくが、私は、これから東京に帰る。
あの忠誠心を知ってる者は、5人だけだ。他の奴等には一言も喋るなよ」

その言葉に、マサとユタカとタカとジュンヤの4人はハモッていた。
 「分かってるよ、澄まし野郎」
その言葉を聞き、澄まし野郎ことサトルは苦笑していた。
懐かしい呼び名だ…、と。

 「で、何しに帰国するんだ?」とユタカの言葉に、
 「父が死にかけなんだ」とサトルは返すと、
 「え、『御』が?」と、マサが驚いた。
 「昌平でなく、隆星の方が言ってくるんだ。もう駄目なんだろう…」

タカは聞いてくる。
 「で、何時の便で帰るんだ?」
 「ワンがパスポートの更新で帰国するって言うんで、便乗させてもらうんだ」
 「ワンのジェットか…」
 「ところで、その着ぐるみはジュンヤか?」
 「そうだよ、よく分かったな」
 「よく似合ってるな」
 「ありがとー。サトルだけだよ、そう言ってくれるのは」
 「色違いとか模様違いで、他に無いか?」
 「どうするんだ?」
 「優介に着せたい」

わはははっ…。
サトルの、その言葉に4人は大笑いしてしまった。
優介君、可哀想に。
サトルの玩具になっちゃって、御愁傷様。


茶色のプチ模様を着こんでいるジュンヤの後を4人は付いて歩き、店に向かった。
茶色と黒色の2色しかないが、トラ模様、ミケ模様、プチ模様、縞模様の4種類がある。
茶色のミケ模様を買ってサトルは4人に声を掛けた。
 「もう、ここへは来ない。優介が先に死んだら来るけど、私が先に死んだら、ここへ来るようにと優介には言ってあるんだ。その時は、よろしく」
 「分かった」
 「気を落とさずに」
 「お大事に」
 「恋人は大事にしろよ」
その4人の言葉に微笑み、サトルは目を瞑り、意識を学生時代の頃に戻す。
目を開くと、学生時代によくしていた腕組みと冷笑を見せ、別名『左腕は澄まし野郎』と呼ばれてた頃にしてた冷ややかな口調で声を掛ける。
 「お前等も元気でな。ありがとう」

そう言って、サトルは店を出た。


 
他の3人は、色々と物色している。
 「へえ、色んな物を置くようになったな」と言うタカの声に、
 「この時期は、まだ暑いからね」と返すジュンヤに、
 「ここだからこそ置ける物だな」と返してくるマサの声に気が付いたジュンヤは、ユタカをチラリと見て納得した。
 「ああ、なるほど。遅かりしのホームシックなのか」

言い当てられたユタカは悔しくて…、悔しさのあまり手直に掛けてあったタイガーの着ぐるみを頭からすっぽりと被り、顔を隠した。
 (くそっ。本当に、医学野郎は、何かの言葉で言い当ててくる、うんちく野郎だよなあ…。
そうだよ、ホームシックだよ。トモと一緒に日本に帰りたいんだ。それには、あのクマヤローをどうにかしないといけないんだよ…)


3人の笑い声が聞こえてくる。
 「あはははっ…、ユタカがタイガー着てるー」と笑うジュンヤと、
 「王様は、さすが動物の王様を選ぶんだな」と呟いてるマサと、
 「ははっ…、タイガーになってボスを守ってるクマヤローを狙い撃ちだな」と、これまた笑い転げてるタカの3人を心の中で罵っていた。
(そうだな、これでクマヤローを狙い撃ち…、出来るわけないだろっ!あいつには腕力どころか知力や帝王学や武術にも負けてるんだからっ)



そして…、サトルに対して言えなかった言葉は胸に秘めて、結束力を再び強めた4人でした。

サトル、俺たちは何時まで経っても最強の仲間だからな。
何かがあろうが無かろうが、頼ってこい。
待ってるからな。














To be continue...





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福山さんシリーズのSSは最終話です。

そして、引き続き『弟と兄』をお楽しみに~

卒業、それは過去からの決別 #1 R18!性描写有ります。18歳未満&抵抗ある方はスルーして下さい。

※性描写あります。18歳未満&抵抗ある方はスルーして下さい※



 「卒業かあ…」
 「そうだね、卒業シーズンだね」
 「一体、何年前なんだろう…」

そのしんみりした空気を吹き飛ばすかのように、明るい声が聞こえてきた。
 「さてさて、私はパスポートの更新で日本に帰国するからな。5ヶ月程留守にするが、お前等、後をよろしくっ」

 「ったく、本当に…」とユタカが言うと、
 「いつまで経っても…」と、ワンが後を繋ぎ、
 「元気な奴め…」と、タカは締めくくった。

村上洋一は、「なーに、しんみりしてんだよ」と言いながら、その3人の頭を順番に叩いていく。
 「ユタカ君は私が居ないと寂しいのかな」
 「全然っ」
 「ワン君。いつも周りに気を張らないと、ミスターの跡は継げんぞ」
 「私は表の方を継ぐんだっ」
 「タカ君は元気が出ないのかあ?それなら私が診てあげよう」
 「お前の診察なんて必要ない」

ユタカとワンとタカの3人に言いたい様に言われてるが、スズメこと洋一はさらっと聞き逃して、次なる人物の居る所へ向かった。
コンコンッ。

ノックすると、しばらく間があったが応えがあった。
 「…誰だ?」
 「私、スズメちゃんですよ~」
 「なんだ?今は、手が離せないんだ」
 「今夜の便で帰国するから、ご挨拶に寄ったんだ」
 「そっか、…無事に戻れよ」
 「ありがと。それじゃね」
 「ああ」

足音が聞こえなくなった。



 「…っ」

 「やっと、煩いのが居なくなったか」
 「も、もぅ…、だ・め…」
 「ん…、もう少しだ」

博人は、友明の中に突っ込んだまま動きを止めていたが、スズメが去ったのを確認して再度、動き出した。

 「くぅ…、ひ・ひろっ…」
 「声、抑えてろ」
 「あっ…」

あ、駄目だ。
それ以上されると…。

 ――出る。




 「やっぱり、家でするのとは大違いだな」
 「も、もうっ…。ここでしないで、と、何回言えば分かるのっ」
 「お前の感じ方が違うんだよ」
 「バカッ」
ははっと笑いながら博人さんは、静かに言ってくる。
 「そう言えば、今頃時分の日本は卒業シーズンだな」
 「卒業……」
 「卒業旅行なんて言葉も流行った時があったけど」
 「そうだね。でも私は旅行をしようという気はなかったからね」
 「勉強ばかりで頭でっかちだったよな」

その言葉に、むぅっ…とムカついたが、あながち嘘でないので文句は言えない。
 「友明は、卒業という言葉に何を感じる?」
 「何って、何の事?」
 「私は、大学卒業後は、父親の病院に入るのが決まってた。だから、卒業旅行したんだ」
友明は、それ以上聞きたくなかったので、違う事を聞いていた。
 「どこへ行ったのですか?」
 「日本国内旅行」
 「なに、それ」
思わず笑っていた友明の額にキスをして、博人はきっぱり言っていた。
 「普通の人なら国外だろうが、私は日本の事を知らなかったからね。だから車で行ける距離を選んだんだ。友明は、行くのなら、どこを選んでた?」
 「うーん…」
 「言わないと、もう1回するぞ」
 「え?ちょ、ちょっと…、考えてるのに」
 「はい、5秒経った。考え時間終了ー」
 「はあっ?」


卒業。

その言葉は、嫌な事を思い出させる。
それは友明だけではない、他の9人もそうだ。
それは、『事故に遭い死んだ』と聞かされていたからだ。
が、博人は自分の病院に搬送されてきたので知っている。
その時のやり取りは、何十年経とうが忘れられない。
忘れられるものでは無い。
あの事故の後、友明はふっくら顔が凹み、変形して頭を15針縫った。
あの時の事が蘇る。
あの時の…。
搬送されてきた時の、友明の顔が浮かんできた。
思い出すと、今でも胸を締め付けられる。

博人は、あの時の約束の一つがまだ実行されてない事に、今、気が付いた。
 「ドイツ料理…」
 「え、何?」
 「卒業した祝いに、ドイツ料理を食べに行こうって約束してたのを、今、思い出した」
 「え…。あぁ、あの事故に遭う前の」
 「日本に…、東京に」
 「食べに行かなくていいよ。それよりも博人さんの手料理が食べたいな」
 「え、私の?」
 「ドイツ料理なら失敗もなく作れるのでしょ?私にだけ、私の為に作って」
 「友明…」
 「だから…」


再度、ソファに強く押された。
 「だ・か・らっ!ここではしない様にしましょうっ」
 「遅い」
 「もう…」



神聖なる職場で…、クリニックのボスルームで3回戦目のエッチタイムに入り、満喫していた博人と恥ずかしがり屋の友明でした。




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福山さんシリーズでは、初のSSです。

卒業、それは過去からの決別

いつも読みに来て頂き、ありがとうございます。

今後の作品たちにおける立ち位置的なものもあり、卒業という言葉を使わさせて貰いました。
敢えて、この卒業シーズンと被せて貰いました。


福山博人&友明シリーズのSSです。
登場人物は、この御方達です。

サトル、マサ、ユタカ、タカ、ジュンヤ
スズメ、ワン(チョイ出)
福山博人&友明(チョイ出)


#1(スズメ、ユタカ、タカ、ワン、博人、友明)
#2(サトル、マサ、ユタカ、タカ、ジュンヤ)




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弟と兄 (47)

今年の大学の入学式は4月3日の月曜日だ。
本来なら4月2日にするのだが、今年は日曜日という事もあり3日にするらしい。

その前日の4月2日にスーツを受け取りに行った。
そして、その日は俺の誕生日でもある。
40歳になった兄と俺の年の差12歳が、11歳になる日なんだ。
そう、兄の誕生日は3月15日で俺の誕生日は4月2日。
スーツ姿の俺を、兄に見て貰おうと思っているのだ。


大学の入学オリエンテーリングの時、入学者対象にスーツの割引券が同封されており、1着だけ購入する人は半額で購入できるが、2着買えば1着は無料だけど、2着目は半額になるという嬉しいクーポン券だ。
3月に入ると、駅近くのスーツ専門店に行って採寸してもらっていたのだ。


淡い紺を基調として濃淡の2色のグレーが格子模様となっている上下。
もう1本は、ノーコンの上下。
色々な時に活躍するだろうと思ってノーコンにしたのだ。
スーツ2着とインシャツを4着買ったので、ネクタイは3本付く。
落ち着いた雰囲気を持つ赤紫色のと、黒地にクリーム色とオレンジ色が挿し色となってるのと、ノーコンだが星が散らばっているのとだ。

どっちにしようかな、と思ってると帰ってきたみたいだ。


 「お帰りなさい」
 「ただ…」


振り向いた兄の目が大きくなっている。
その兄に言ってやる。
 「驚いた?今日受け取りに行ってね、最初に見て欲しいなと思って」
どう?と聞きながら、くるっと1周回って見せる。

大きくなってた目が優しくなってきて微笑んでいる。
 「驚いたよ。うん、よく似合ってる」
 「ありがと。これとね、もう1本あるんだ。着てくるから待ってて」

待っててと言ったのに、兄はついてくる。
 「誰かと会うのか?」
 「何言ってんの、入学式に着るスーツだよ」
 「入学式?」
 「大学は制服なんて無いんだからね」

すると兄は額に手を当てて俯いてしまった。
 「あー…、聞けばよかった」
 「何を?」
 「誕生日プレゼントを買って帰ったんだ。欲しい物を聞いてれば良かった…」


着替え終わり、声を掛けてやる。
 「はい、もう1本はこっちだよ」
 「ん、どれどれ…」


どう?と、また1周回って見せる。

 「さっきのも良かったが、こっちも良く似合ってる」
 「どっちを着て行けば良いと思う?」
 「そうだなあ、入学式ならどっちでも良いと思うよ」
 「俺も迷ってね」
 「それなら春らしく…、今来てる格子模様の方かな」
 「なら、こっちにする」

スーツを脱ぎ、ハンガーに掛けていく。
兄の声が聞こえてくる。
 「で、入学式っていつ?」

俺は思わず溜息を吐いていた。
 「明日だよ」

 「は?明日?」

益々、目が大きくなっていた。


服に着替えてリビングに行くと、四角い包みを手渡された。
 「誕生日プレゼントだよ。おめでとう」
 「ありがと。開けて見ても良い?」
 「うん、良いよ」

包装を解くとチョコレートの箱が出てきた。
 「わあ、チョコだっ」
 「中を見て」

ここのチョコ好きなんだよな、と思いながら蓋を開ける。
 「え…」


うん、もちろん個別包装されたチョコもあったよ。
でも、驚いたのは・・・。
個別包装されたチョコ達に四方八方を守られているかの様に見える物にだ。
それに驚いたんだ。

 「こ、これって…」
 「うん、その驚いた顔も見たかったんだ」
 「意地悪…」
 「俺の思いだよ。受け止めて欲しい」
 「ありがと…、大事にする」


兄は、ペンダントを俺の首に掛けてくれた。
兄弟という重さよりも、ペンダントの重さの方が重い感じを受ける。
涙が頬を伝う感触がある。
 「おにぃ…、ありがとう、本当に大事にする」





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19歳の誕生日おめでとう、祐樹君。
スーツ姿を着た祐樹君の晴れ舞台は、すぐだね。
写真とらなきゃ、だわ。

そして、最終話まで残り数話です。

うちの子達の紹介  ~得意、不得意編~

こっそり…

ひっそり…

と、覚書みたいな感じで書き出してみました。
_ψ(‥ ) カキカキ...

うちの子達の得意、不得意のものを。

俊平=英語大好き、体育全般好き
治=英語大嫌い(他の科目は大丈夫)、体を動かすのは好き
博人=文武両道
友明=文武両道
英(ひかり)=勉強大好き、走るの好き
夏生(なつお)=勉強苦手、体動かすの大好き
アキラ(明)=体動かすのは嫌い、勉強大好き
ツトム=体動かすの大好き、勉強嫌い(特に理数系)
文雄=文武両道(特にピアノが好き)
弘毅=ピアノなら生計立てて生きていけるほどの腕前、勉強は苦手(英語や仏語なら任せて!の帰国子女)
嘉男=これ、と言ったものは無いが、とことん突き進んでいく(おバカでは無い筈の帰国子女)
政行=体を動かすのは大好きで、水泳バカな元アスリート、勉強は…、やれば出来る子(^-^;
利根川=オールマイティにやっていける不器用な奴
高瀬=水泳で泳いでた元アスリート、勉強は…、出来る筈(-_-;)
アキ=音楽専門学校で教えてる程の音楽大好きなベーシスト、勉強は…どうなんでしょ(・・?
コウタ=あっちこっちから引き手数多な有名ドラマー、勉強は…どうなんでしょね(。´・ω・)?

一番最新CPの2人は
祐樹=体動かすの大好き、勉強は…、やれば出来る筈(数学は苦手)
道夫=理数系は強い薬剤師、体を動かすのは…年だから無理(〃^∇^)o_彡


キック!! (((((ヾ( ̄へ ̄ )/θ★)゜ο゜)ノアゥ!! ←あさみ
 「年って言うな、年って!」
 「そうだよ、他にも年寄りは居るだろ」
 「祐樹は優しいな」
 「お兄ちゃんはまだ若い方だよ」
 「祐樹…」
 「おにぃ…、道夫さん…」



はいはいはい、そこまでだよ。お二人さん。
いやぁ…、年の割にはキック力、半端ないです。
さすが薬剤師。
足腰の強い事……。
でも、あなたより年寄りって…
いますか、居ますね。
博人&友明と俊平が。

ってわけで、こう書き出してみると、
お互いがフォローしあえてるみたいですね。

良かったです。



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弟と兄 (46)

そして、その3人も入居してきた。

14戸の空きに8人と3人。
3戸が空きだ。

19戸あって、3戸が社会人で4戸が大学生で15戸が高校生。

違う、と兄に言われる。
えー、なんで…?


目の前で、兄は見取り図を見ながら説明してくれる。
 「19戸に対し、16人の入居者が居ました」
 「うん」
 「その内、1人は社会人で残り15人は高校生だったけど、その内の5人は引っ越しました。
ここまでは分かるよな?」
 「うん、16人居て、5人出たのだから11人」
 「で、8人入りました」
 「19人」

溜息吐かれる。
 「お前、ちゃんと部屋割り表見てるか?」
 「へ、見てるけど?」
今度はテーブルの上に置いてある部屋割り表を目の前に持ってきて、言ってくる。
 「ほら、B棟には2LDKが三部屋あります」
 「あ、ほんとだ」
 「今日の大学生2人組は2LDK希望です。そして、高校生4人も2DKに居ます」
 「え、という事は…」
 「人数で考えるな。戸数で考えろ」
 「えーとぉ…、なんで三部屋?」
 「何のためにB棟に管理人室を作ってると思ってるんだ?」

そう言って、部屋割り表を顔に押し付けられた。
ジー……、と穴が開くのかと思う位、部屋割り表を見ていた。
 「ああ、管理人室の一部がB棟にあるのか」
 「で、もう1回」
 「何が?」

図式を書いてくれる。
 「A棟は10戸で10人で満杯です……」
と言いながら。

計算式



 「で、残りは?」
もう、ここまでくると完璧だね。だから自信もって答えられる。
 「0戸です」
溜息吐いて「やっと正解出せたな…」と言われ、こうも付け加えてくれた。
 「はあ…、お前に算数を教えるのは苦労するな…」


兄は言ってきた。
 「2LDKは4万5千円にしてるんだ。1人でその金額はキツイけど、2人でシェアすると半分の2万2500円で済むだろう。その為に三部屋だけど2LDKにしてるんだよ。
水道光熱費やネット使用料等も払うから、少しでも安い方が良いだろう」


ああ、なるほどね。
それで納得した俺だった。
でも、次に言ってきた言葉にはムカついた。
 「お前、大学は大丈夫だろうな?」
 「どういう意味だよ?」
 「数学の講義は無いのか?」
 「体育学部だよ、あっても簡単な数学でしょ」
 「なんか無事に4年間で卒業出来るのかどうか、心配になってきた…」
 「ひどっ」

もちろん、ストレート卒業しか考えてないよ。
留年とか中退とかは、全くと言って良いほど、頭の外だ。
ったく、お兄ちゃんの意地悪っ。




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祐樹君は数学が苦手なのね。

そういえば、うちの主人公たちって福山博人&友明以外は理数系は苦手だよね(^-^;
なぜなんだあ?

弟と兄 (45)

親の願望は分かる。
だが、子供の願望は多岐に渡っており、俺には無理だ。
何て言えば良いのか分からず、「兄が来るまでお待ちください」という言葉しか言えなかった。
だって、その子の願望とはこうだった。
箇条書きになってる紙を見せてくれた。
・ネットがありWi-Fiが出来る。
・1DKで良いから、トイレと風呂が付いてる。
・風呂屋がある。
・近くにスーパーがある。
・大学まで20分位掛かる。
・交通の便が良い。

部屋の内訳は、実際に部屋内を見せるだけで良い。
風呂屋も、近所と私鉄駅の近くとJR駅の近くの、合計5ヶ所にある事を言う。
スーパーは、アパートの裏側にあるので見せるだけで良い。
大学は二つあるが、入学する大学はJR駅の近くなので、行き方を教え、大体の時間を教える。
なんとか範囲内だと言ってくれた。
交通の便も、実際に見てもらうだけで良い。
そして、肝心のネット。
こればかりは俺には何とも言えない。
何のためにWi-Fiが必要なんだろうと思ってると、その子は言ってきた。
 「ドラクエがしたい」って。

ああ、なるほどね。
テレビゲームか、それはネットが必要だよな。



そうしてるとタイミングよく兄の声が聞こえてきた。
 「お待たせいたしました。
席を外していてすみませんでした。
弟の話だけだと不十分なので、後は私がお聞きします。
実は東京に住んでいまして、毎月第2週目の土日はこちらに戻ってきます。
その点はご了承願います」

その子はネットの件を話し出した。
兄は即答していた。
 「ここは昨年の夏に出来たばかりでケーブルテレビを導入しております。
ネット契約は入居者さんが、直接、契約してもらう形になります」
 「それはどういう意味ですか?」
 「テレビ視聴する時、ネットも併用するかどうかを、お尋ねします。
それは契約される時、不動産屋でケーブルテレビ会社への契約も一緒に取り扱ってます」


子供より親の方が分かったみたいだ。
 「どこかのたくさんある会社でなく、ケーブルテレビ推奨って事ですよね?」
 「はい、そうです」
その子は聞いてくる。
 「ケーブルテレビでもWI-Fi出来るの?」
親は溜息を吐いてる。
 「何を聞いてたの?インターネットはネット契約しないと駄目だって話してくれたでしょ」
 「ケーブルテレビでも」
 「出来る!」
 「本当に?」
 「だから、お父ちゃんでなくお母ちゃんが来たんでしょ」
 「うん」


どうやら、その手の話は母親の方に軍配が上がったみたいだ。



その親子が部屋内を自由に見てる間、俺は兄に聞いていた。
 「色んな人が居るんだね」
 「まあね、十人十色って言うからな」


2人で見て回ったのだろう、声が掛かる。
 「見させて頂きありがとうございました」
その声に、兄は応答した。
 「こちらこそ、ありがとうございました」

兄に倣って、俺も声を掛ける。
 「お気を付けてお帰り下さい」
その母親は俺の方を向き、微笑んで返してくれた。
 「ありがとう」


とても優しそうな女性だった。
なので、勇気を出して聞いてみた。
 「ねえ、死んだお母ちゃんって、どんな人だったの?」
 「今頃、なんで…」
 「優しい人だった?」

俺の言いたい事が分かったのだろうか、兄は微笑んで返してくれた。
 「お母さんだけでなく、お父さんも優しかったよ」
 「そう、それなら良かった」
 
何を思ったのか、兄は言ってきた。
 「ちなみに、ぽっちゃり体型だったよ」
 「ひどっ…、人の想像を壊す様な事言わないでよっ」
 
はははっ…、と兄は笑っている。
もしかして、俺の思ってる事がバレてるのかな…。





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はい、ちなみに不動産屋に向かって言った我が子の願望を、そのまま書きました。
本当に我儘な息子で、不動産屋のお兄さん、ごめんなさいでした。

ってか、お兄さん。
弟の想像力を壊す様な事を言わないでよっ( p_q)エ-ン

弟と兄 (44)

※祐樹視点※



その月の終わりの土日。
管理人の仕事をする為、もう一度帰省した。

兄の仕事ぶりを見ていた俺も手伝わされる羽目になってしまった。
 「俺、見てるだけで良いんだけど」
 「暇してるんだから手伝え」

手伝える事ってあるかなあ…、と考えながら人数を頭の中で計算する。
5人出て8人増えたのだから…、とブツブツ言ってると部屋割り表を見せてくれる。
 「19戸あります。1人は社会人で、残り15人は高校生です。
さて、ここで問題です。
4戸空き部屋になっていました。5人出ると、何人の人が入れるでしょうか?」
 「あ、なるほどね…。15-5が10だから、14人だ」
 「で、さっき3人の大学生が来るからと連絡があったから、よろしく」
 「え、正解は?よろしくって、何するの?」

溜息吐かれてしまった。
 「その3人の大学生は入居希望だから、室内を見せるの」
 「あ、そっか。納得」
 「大丈夫か?」
 「スーパーとか最寄りの駅とかの説明だよね?」
 「そうだ。あと大学までの道のりも」
 「ん、分かった」


先に2人の大学生が来たので、室内を見せ聞かれた事に答えていく。
え、ちょっと待って。
締めの言葉ってなんて言えば良いんだろう?
不安を感じていたら、後ろから兄の声が聞こえてきた。
 「席を外していてすみませんでした。弟の話だけだと分からない点があると思いますので、後は私がお伺いします」
 
兄は俺の方に向いて言ってくる。
 「次のお客様だ。門柱の所にいらっしゃる。親御さんと一緒だから、室内に案内してて」
 「はい、分かりました」


兄は2人の大学生の相手をしている。
さすが薬局勤め。
薬を調合するだけでなく、実際にお客様と向き合って顔色を見ながら話していくのも大事な仕事なんだ、と言ってた意味が分かった。



アパートの門柱を入った所に2人立っている。
親御さんって、母親なんだな。

母親…。
お母ちゃんって、どんな女性だったのだろう。
いやいや、今は仕事だ。
後で聞いてみよう。


顔を上げ、息を吸って呼吸を整える。
俺だって、アルバイトとはいえ接客業してるんだ。

近くに寄り、笑顔で声を掛ける。
 「いらっしゃいませ、お待ちしておりました。
兄は他の方と応対してますので、私が簡単にご案内、ご説明させて頂きます。
早速ですが、室内をご覧になられますか?」
 「はい、お願いします」






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兄を見習って、弟、祐樹も、管理人のお仕事デビュー!

弟と兄 (43)

俺は謝ることしか出来なかった。
 「ごめ…、なさ……」
 「泣くな。お前が悪いわけでない」

ぎゅっと抱きしめてくれる兄の体温が温かい。
 「俺たちは家族だけど、お前が弟だから俺は助かってるんだ。その弟を好きになり、邪な思いを持って見るようになった。人間として、人を好きになるのは当たり前だよな」
 「でも、兄弟…」
 「関係ない」
 「本当に、そう思ってる?」
 「あのな、俺たちは一回り年齢が離れてるんだ。物の考えが違うのは当たり前だよ」
 「40歳だもんな、おじんと若も…」
デコピンされた。 
 「ったーい」
 「まだ39だ」

 「うー…、いてぇなあ…。四捨五入すると40じゃん」
 「まだ1週間ある」
 「はいはい、そういう事にしときます」

おでこ痛いなー…、と自分の額を擦ってると、兄は額にキスしてきた。
 「治ったか?」
 「うん。でも足りない」
そう言うと、腰を抱かれた。
 「風呂入って寝るか」
 「ん…」
なので、俺も兄の腰を抱く。


 「あのさ…」
 「何?」
 「さっきは真木に向けて言ったのだけど…。何かあると直ぐ兄貴って言ってしまう」
 「お兄ちゃんって呼ばれてた頃が可愛かったけどな」
 「成長してるって事だよ」
 「でも、お前の気持ちが分かったんだ。俺は嬉しかったよ。それに公衆の面前では兄貴の方が言いやすいだろうな」
 「まあね…」




翌朝。
昨夜、泣いたせいかモヤモヤが失せたみたいだ。
昨日、買って帰ってきた飯盒セットで米を炊き、焦げ付きの握り飯で朝食を済ます。
飯盒って難しいな…。
その後、俺は車の中で食べるつもりの昼食のサンドイッチを作る。
お兄ちゃん、いや兄貴は残り一人の立ち合いをしてクリーニング業者の仕事の様子を見ている。

 「今月は月末近くの土日に引っ越してくるんだ。お前、先に来とくか?」
 「え、だって」
 「俺は、その日は早番だから13時上がりになるんだ」
 「という事は?」
 「どんなに早くても17時過ぎに着くだろうな」
 「俺は暇だから待ってるよ。だから一緒に」

兄貴は暇人野郎と言って鼻を抓んでくる。
 「痛いー」


まるで、俺が東京に行くまでの仲に戻ったみたいだ。
でも、確実に違うものがある。




車に乗りこみ、東京へと戻る。

その様子を見ていた真木は呟いてる。
 「気を付けて帰ってね。
道夫さん、俺の事を聞いてこなかったでしょ?
俺の就職先は、道夫さんの薬局の近くにあるんだよ。
4月からも、よろしくね」





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こ…、怖いっ
怖いです、真木君。
これで、ストーカーの真木が出来上がってしまった…(-_-;)
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