BL風味の小説

BL風味のオリジナル小説です。
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二人のピエロ (21)~レン視線~

※レン視線※


なかなか隙が見つからない。
ポールの後を尾行しても、いつも撒かれてしまう。
どうやら、ポールはフラットに帰る時は、週の内の2日ほどみたいだ。
残りは、病院で…、仮眠室や図書室で過ごしては夜勤に入ってるみたいだ。
図書室ね…。
レンも図書室へ行ってみたが、蔵書数が多く、読書の苦手な自分には居心地の悪い場所だ。

その日も、ポールを尾けては図書室へ向かった。
ポールの愛読書は、もっぱらドイツ語の本だ。
ドクターだからドイツ語は必須だけど、自分には馴染みが薄い。ここは、やはり英語だろう。
英語の本のエリアに向かってると、声がドア越しに聞こえてきた。
 「…、まったく2人ともガンコなんだから」
ガラッと、近くのドアが開き目を向けた。
あ、あの人だ。

その人と、もう一人はポールを見ては言いだした。
 「あ、ポールが居る。丁度いい時に…」
 「ポール、お願いがあるんだ」
ポールはというと、その二人をチラッと見ては、溜息を吐いてる。
 「なんだ…。早速、こき使うつもりか」
 「ポール。私のガードマンとして、ある所に行って欲しいんだ」
 「本の虫と?」
 「名前で言ってくれる?」
 「名前なんて知らない」
 「ジョンッ!お前はどういう躾をしていたんだ?」
 「ウィル、私は監視役だ」

ジョン。
やっと、彼の名前を知った。
でも、もっと近付きたい。
何て言えば良いのか、心の中で言葉を考えて、声を掛けた。
 「あ、あれ…、偶然ですね」
こっちを振り向いてくれた。
 「あの、昨年は、道順を教えてくれてありがとうございました」
 「ああ…。どういたしまして」
 「レン・カー」
自己紹介しようとしてたのに、周りがそれを遮ってくれる。
 「ここに行こうとしてるの。そのガードマンに」
 「断る」
 「ポールッ…」
 「本当にあの『本の虫』ならガードマンは必要ないだろっ」
ジョンは、やれやれ…と呟きながら声を掛けようとする。
 「ポール。ウィルは卒業して何年も経ってるので身体能力が落ちてるんですよ。だから、ガードマンは必要なの」
 「それならジョンがガードマンすれば良いだろう」
 「無理なんですよ。ウィルの仕事の代わりは居るけれど、私の仕事の代わりは居ないんです」

ポールは、ジョンのその言葉に反応して立ち上がった。
 「ポール?」
 「思い出した…」
 「え?」
 「あの時も、それだった」
 「…そういえばそうでしたね。でも、あの時と今とでは違います」

 「本の虫」
 「ウィルだ」
 「私は行かない。他を当たれ」
 「居ないから言ってるのに…」
 「しかも、その場所…。私の大っ嫌いな所だ」
 「ポール…」
 「そこで聞き耳を立ててる奴にでも言えばどうだ?」
そう言って、図書室から出て行ったポールの後姿を見送っては、ウィルとジョンは溜息を吐いてはら呟いていた。
 「見るからに頼りなさそう…」


その人は、僕に向かって言ってきた。
 「はい、ミスター。私は、ウィル。君の知り合いでガードマン居ないかな?」
 「え・・、ガードマン、ですか?」
 「うん、そう」
 「いえ、知らないです」
 「そう、ありがとう。邪魔したね。ごめんね」
 「いえ…」

なんだったのだろう。
でも、今日は名前を知った。
ジョン、という名前か。
次に会ったときは、名前で声を掛けよう。
そうか、図書室に来れば会えるのか。
ポールも、ジョンって言ってたし、知り合いなのは分かった。
ポールは使える。



一方、ここはアメリカのヒューストン。
欧州でのコンピュータ会社の話と、パースへのリンク話が消えてしまった。
原因は分かっている。
サトルと縁を切ったからだ。

スーザンは、パースに行くか、日本に行って権力を取り戻すのに話を付けるかを悩んでいた。
だが、データベースにアクセスすると、自分のが更新されてる。
あの、バカサトルが…。
再婚した事も、子供の名前も書き加えてくれてる。
これだと、日本に行って話をしても、あの男は動かない。
だから、あの時1ヶ月も居たのか。
それならパースへ行こう。
まずはレンの勤務先だ。
そして、レンの情報を得ようとアクセスしたら…。


『レン・カーター(改名前は、ジョニー・カーター)
父親はダニエル・カーター
母親はスーザン・ウォルター(米・ヒューストンのWalters 病院 女ボス)
その二人の息子であり、妹が一人に、異父兄が一人。』

出だしが、こうだった。
それを見て、スーザンは驚愕した。
サトル…。
なんて事を・・、なんて事を、書いてくれたのっ!


スーザンは、夫であるダニエルに、「ジョニーがどこに居るのか分からない…。知ってたら教えて」と、話を持ち掛けると、ダニエルは即答してくれた。
 「ジョニーは、顔を怪我しては、オペ後にはナイスガイになっては、名前も変えてるよ。
しかも、スーザンが入院してた時に電話してきたのはジョニーだよ。」
ダニエルは、スーザンにジョニーの最近の顔写真を見せてくれた。

(この顔は・・・)
 「これがジョニー?」
 「そうだよ。俺も、最初は驚いた。でも、怪我をして、オペをするとこういう顔になった、とジョニーが言ったんだ。で、名前は『レン』だからな」
 「そう、『レン』ね…。私には、教えてくれなかったのね」


私は…、私は…。
あのレンが、ジョニーだなんて知らなかった。
そう、だからなのね。
だから、私に抱かれることに対して、あの子は嫌がってたのね。

それでも、これで堂々とパースへ行けれる。


レンは、ジョンを。
スーザンは、レイを。
二人は、狙いを定め動き出した。









☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
そして、レンはジョンという名前を知り。。。
スーザンはレイに狙いを定めて。。。

動き出す。



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二人のピエロ (20)ソフトR描写!! ~その一言。。。~

※ジョン&レイのキスシーン※

 「まあ、そんな事だろうな、とは思っていたよ。
だが、君があのドイツ野郎だとは思いもしなかったね…」
レイの声だ。

 「あ、レイ…」
 「ウィルとジョン、さっさと仕事に戻れっ」
 「はいっ」

 「ウィル、先行ってて。レイ、私」
 「ジョン、仕事中だ」
 「分かってます。でも、これだけは言わせて下さい。
皆が皆、あの銃撃戦で何かを失ってるのです。レイもそうであるように、あの人も、ポールという名に変えて、人生をリスタートしている。ポールの仕事ぶりはどうですか?・・・レイ?」

レイは、ポールを見つめては暫らくの間、黙り込んだ。
その内、レイの手がジョンの頬を挟んでくる。
 「え、ちょ、ちょ、ちょっと・・」
ニックの声が聞こえる。
 「レイ、公私混ど」
ジョンは、キスされた。
 「レ・・、んっ・・・」

3つの声が重なる。
 「「「 えっ・・ 」」」

唇が離れ、ジョンはレイに抱きしめられた。
 「は、恥ずかしぃ……」

 「レ、レイー・・そういう事は」
 「ここは私のだ。ニック、無理に見なくてもいいだろ」

 「ジョンが、室長と・・・?」
 「ほう…、懐かしい呼び名だな」

 「レイが、そっちの方だとは…」
 「エド、君も同じだろう」


ポールは勇気を振り絞って、ジョンに声を掛けた。
 「ジョン…」
 「なんですか?」
 「その、悪かった・・、今迄、ごめんなさい…」
 「私は構いませんよ。どのみち卒業してるのですから。ジュニアにも愚痴を言ったし、あの方にも言いたい事を言わせて貰った。
私の方こそ、言い方とかきつかったと思います。
でも、謝りません。これからは、レイや私が貴方をこき使いますので」


エドが、それを聞いて笑い出した。
 「ははっ…。これは1本取られたな。
アンソニー、私はお前の口から聞きたいんだ。だからと言って、それをトモに言うつもりは無い。
私が知りたいんだ。
だから、もう一度聞く。どうして、私のオファーを断った?」

今の自分なら言える。
そう思うと、ポールは口を開いた。
 「トモが好きだから…。
オーストラリアだなんて私の手が届かない。さっきも言ったが、私は、あそこのスタッフとしてトモを加えたいと思ってた。でも、メスが持てない状態になって・・・」
 「アンソニー。トモは母親とオーストラリアへ旅行に来た。その時に、私は会ったんだ。」
 「え・・・」
 「その時に、身体の状態等を聞いた。メスが持てなくなってどうしたら良いのか、と悩んでいた。
オファーを断った理由も聞いた。即答だったよ。
『オーストラリアは遠い。それに、親は年寄りだから、近くに居たいんだ』と言っていた。
まあ、トモのマザコンぶりは超ハイレベルだけどな…。
その時は、日本に帰るまでは私のGPでバイトをしていた。
あいつは、メスが持てなくても医療から離れる事は考えてない。
アンソニー。ドクターは、メスを持って腹や内臓を切り開いてのオペをするだけでは無いんだ。
分かるか?」
 「エド、ありがとう。今なら分かるよ。
私は奢っていた。だけど、トモの近くに居たくて来たんだ。
でも、直ぐに分かった。来るべきでは無かった、と。
夜勤してると、時々ヘルプに来てるヒロを見かけるんだ。生き生きしてるな、と思った。
だから、私も生き生きとしてありたい。
以前はしなかった掃除に食事作り。最初は、こんなにもメンドクサイのか、と思っていたが、今では慣れた。」

 「ピンポーン、ピンポーン。
Coming Q ! Coming Q ! ドクター・ポール。ドクター・ポール、オペ室へ!」


 「エド、ごめんなさい。
アンソニーは死んだ。そう思ってくれて良い。私の名前はポールだ。
そう言ってくれるのは、昔からエドとヒロだけだ。
それに、いつかは…、またトモと一緒に。そう思ってるんだ。でも、今はまだその段階では無い。
ごめん、呼ばれてるから」

そう言って、廊下を出ると、名を呼ばれた。
 「ポールッ!」
ポールはオペ室に向かって叫びながら、走って行った。
 「Sorry…。話が長くなった。で、クランケは・・・」



レイが、口を開く。
 「あの甘ちゃん坊やだったのが、少しでも成長してるみたいだな…」
エドが応じてる。
 「そうだな。少しでも、何かを考えて行動しようとしてる」

ジョンが言ってくる。
 「これで、後はニックですねっ」

急に振られたニックは驚いてる。
 「え、私?」
 「はい。ニックも、ちゃんと考えましょうね」
 「は・・、何の事?」
 「そのまん丸い体型」

 「ああ、それね。でも、今からだと元には戻らないだろうな」
 「レイ!自分は細いからと言って…」

エドが話に入ってくる。
 「ニックって、元は、どういう体型してたんだ?」
ジョンとレイが、声を揃えて言ってくる。
 「肩が張っては、強面のすっきり顔したシャープな人。だけど、病院での仕事中はメガネを掛けてはソフトさを強調してる」


エドは首を横に振ってる。
 「今の体型からは考えられない…。全く想像出来ん・・・」




ジョンとエドにsorryと言えた、アンソニー。
それを言われたジョンとエドも、少しずつ変わってきてる。
アンソニーは、心のもやもやが晴れてはオペに集中出来た。
そう、先程エドにも言ってた。
 『いつかは…、またトモと一緒に』
それは、あの福岡での3年間が、とても楽しく大事な思い出となっているからだ。










☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
蟠りをエドにぶちまけたアンソニー。
ジョンも思ってる事を言っては、エドも言ってくる。

そして、レイ。。。
あなたは、どこでナニをしてるのよ
(;-_-) =3 フゥ



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二人のピエロ (19)~ポール視線 集合~

※ポール視線※


 「ポール、客だ」
 「私に…?」
 「ああ」
誰だろうと思い、ドクター・ロウと一緒に病院のロビーに行くと、エドとニックが居た。
 「君がポール?君が機転を利かせてくれたお蔭で、面倒なことが起きずに済んだ。
退院したので、君にお礼を言いに来たんだ。ありがとう。」
 「退院おめでとうございます」
 「ありがとう。ところで一緒に話をしたいんだが、彼を少しの間お借りしても?」
 「はい、良いですよ。ポール、後でな」
 「はい…」

ゲストルームにエドとニックを連れて行っては、ドクター・ロウは医局へ戻った。
ゲストルームに入るなり、エドは感嘆の声を上げた。
 「ワオ…!素晴らしいな、海が綺麗だ。
ねえ、ポール。君はずっとここに居るつもりなのかい?」

エドは何を言ってるのか分からない。
黙ってると、エドは言ってきた。
 「ニックから聞いたよ。ねえ、ポール。いや、こう呼ばせて貰おうか。アンソニー…」

思わず身体が強張った。
 「君は死んだ、と聞かされていた。それが顔も名前も変えて生きてる。生きてくれて嬉しいよ。
だけど、これだけは聞いておきたい。なぜ、あの時私のオファーを断った?」

ますます黙り込んでしまった私に、エドは畳み掛けてくる。
 「アンソニー。私は知ってるよ。だけど、君の気持ちが知りたいだけなんだ。
トモは、ここのドンとなっている。あいつも苦しんでいる。あの銃撃戦の苦しみからは、まだ解き放たれてない。今もまだ、苦しみ魘されている。
 それに…、他には、誰らがお前の事を知ってるんだ?チャーリーやロウは?」
ポールはバツが悪そうな表情をしていたが、それが分かったのかどうかは分からない。
言う必要はない、と思っていたからだ。
それに、エドの言葉には堪らない。私を詰りに来たのか。
ゲストルームのドアノブに触れる。
 「仕事中ですので」
 「構わない。時間は貰ったんだ」
 「失礼します」
そう言って、ゲストルームから出た。
 「アンソニー!!」

ニックが腕を引っ張ってるので、まだ完全にはゲストルームからは出れていない。
でも、離してほしいので言ってやる。
 「ニック、太ったな」
案の定、ニックの手は離れた。
だが、私はニックに叩かれた。

パンッ!

ニックは私に言ってくる。
 「たったの一言で済むだろう。トモは、私の科に居た。だから、私は分かっている。
どう呼ばれたい?リトル?baby?チキン?
卑怯な手を使ってまでして…、トモを自分のモノにしようとして」

我慢が出来ずにポールは叫んでしまった。
 「ニックだって…、ニックだってそうじゃないかっ!」
 「何かだ?」
 「トモをかばって撃たれ、右腕の筋を駄目にされてはメスも持てなくなって…。
しかも、パース行の飛行機を撃破され死んだって…。なんで生きてるんだ?
私への目隠しのつもりか?
あの時…、あの時、いったい・・、何十人の人が死んでいったか…。
目の前で……。
あの時は、ステップアップでドクターは大勢居た。だけど、間に合わなかった。
大勢居たのに、それが元で死んでしまったドクター達。
トモの…、トモの目をオペしただけでフォローも無かった。
でも、私はトモが居るだけで良かった。
エド…、私はね、トモをあそこのスタッフとして働いて貰いたい。
そう思ってたんだ。」
 「それなら、そう言えば良いだろう。お前は、私に何て言ってきたか覚えてるか?」
 
 「トモを、取られたくなかった…」
 「それは、どういう意味だ?」
 「今でも、そう思ってる…。
私は、私が欲しいのはジョンの様な監視役ではなく…。
私をライバル視しては、狙ってくる連中でもなく…。
トモなんだ!
私を色眼鏡で見る事も無く…、真っ直ぐにぶつかってくれるトモなんだ…。
ジョンもそうだけど……。私は、誰かに言われたから嫌々と仕えてくれてるというのは、私も嫌なんだっ…。だから、ジョンに言ったんだ。私に仕えないか、と。『御』ではなく、この私に…、と。」


すると、声が聞こえた。
 「それなら、そうと言ってくれれば良かったんです。貴方は、ほんとに言葉足らずなんだから。
それでしたら、私も考え直したかもしれないですね。」

振り返ると、そこにはジョンが居た。
 「なっ・・、ジョン…?」

 「それに、廊下で騒がないで下さいね。煩いですよ」
 「そうそう、本当に煩いんですよ。私達だったから良かったものの…」

ニックが目を瞠ってる。
 「え・・・、ジョン?」
 「なんですか?切れの悪いパンチをして、シンガポールでは精鋭と呼ばれていたのに…」
 「なんで、ここに・・」
 「私の仕事場ですよ」
 「ゲストルームには誰も入れない筈……」
それ以上は何も言えないニックに、ジョンはハテナだった。
ジョンではなく、違う声がニックに聞いてくる。
 「レイを知ってるのですか?」
だが、ニックではなく違う声が応じてくる。
 「君は?」
 「ああ、やっと、その言葉ですか…。ご無沙汰しております、エドワール様。私は既に卒業してるので、お忘れだと思いますが」
 「『本の虫』です」とジョンが応じた為、ウィルの手はジョンの頭目掛けてパンチが…。

 「ジョンッ…」
スカッ…。
 「む・・。よくも避けたな」


 「『本の虫』・・・・・・、ああ、側付か」
エドワールの言葉に溜息を吐いてウィルは応じる。
 「側付だった、です」

ジョンはいきなり言ってきた。
 「私が代弁させて頂きます。私は、既に卒業してます。だから敬称は付けません。
アンソニーはトモが好きなので独占したい。だからこその、言動だったのです。
はっきりと言えば良いんですよ、ね。」

 「いつから…」
珍しく、アンソニーは歯切れが悪い。
 「最初っから。あ、そうそう、ドイツやシンガポールには居場所だけでなく、その顔写真も送っては知らせてますからね」
 「は?」

ジョンは、驚いて何も言えずにいるアンソニーに言っていた。
 「私を誰だと思っているのですか?」


エドは、ボソッと言っていた。
 「まるでユタカみたいな言い方だ…」








☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
さあ、主要登場人物のうちのドイツ人集合の話です。

ポール視線で、数話続きます。


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二人のピエロ (18)~ポール、エドとの再会~

※レン視線※


レンは、自分に丁寧に道順を教えてくれた人に、もう一度会えないかと思っていた。

年も明けた1月。
やっと、彼に出会えた。
でも、彼は5階と6階に上るエレベータに乗った。

上司であるチャーリーに言われた事を思い出した。
 「5階と6階には近寄らない様に」と。
それなら、行き帰りだ。
でも、中々会えない。
ここで働きだして半年後の3月に、やっと夜勤が組み込まれた。
夜勤では、ポールも組まれていた。
日勤では何をしていたのか分からなかったが、夜勤をし出してから気が付いた。
ポールは、週の内の半分が夜勤だ。
レンは研修期間なので、まだ専科は決まって無い。
ポールは消化器官科だ。
初めてポールのオペを見たレンは驚いた。
ポールの顔は怖いのに、メスを持つと益々怖くなる。
それほど真剣にオペをしているという事だ。オペが終わると、顔を洗ってはミネラルウォーターを飲み切る。ごっくん…、と喉仏が上下する。
飲み切ると目を閉じてはベンチに凭れては気を緩ませる。
思わず、どきりとなってしまった。

少し離れた受付では電話が鳴ってる。
 「ハロー。……OK」
受話器を元に戻し、受付掛かりが声を掛けてくる。 
 「緊急オペだ。胃腸に消化、用意を」

 「ポール。続けて、もう一本だ」
 「OK」

そうしてると、Qの音が聞こえる。
しかも2台だ。
Qの入り口に行き、待つ。
最初のQを見て、ポールは声を出していた。
 「エド?」

続けて、もう1台が入って来た。
声が掛かる。
 「ポール、こっちだっ」
 
 「エドッ!」
 「ポールッ!」
 「エドが・・、なんでこっちに?エド、エドッ!」
違う声が割って入る。
 「ポール、こっちを知ってるのか?」
 「エドは、多国籍スペシャルのボスだっ」
 「え・・・、うそっ」
 「Q!!あっちに連れて行けっ!」
 「ポール、連絡先知ってるか?」
 「知らんっ。・・あ、GPかクリニックに電話・・・」

そう言っては、ポールは自分のiPhoneを取り出し、ヒロトとニックの番号を交互に表示した。
どちらが良いんだ…。
目を瞑って、通話ボタンを押す。
 『…ハロー』
その声は、ニックの方だった。

 「ニック、エドが…。エドが」
 『誰?』
 「エドが…、今、Qでスペシャルに向かった」
 『その声…。まさか、ジュニアッ?』
 「ニック。エドを…」

プツンと、切れた。



 「ポール、オペを」
 「ああ、顔を洗ってくる」
 「OK」

取り乱してしまった。
エド、無事に病院に着いて欲しい。
神のご加護があります様に…。

そのポールの様子を見ていたレンは、惹きこまれていた。
怖い顔をしていても、内面は怖くない。
興味を持ちだした。





エドは、無事に自分の病院に着いては、オペも成功しては1ヶ月後、退院した。
ポールに会って、一言だけでもお礼を言いたい。
そう思っていた。

だが、ニックから話を聞いては、益々行きたくなっていた









☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
そして、ポールはエドと再会する。
が、再会時は、エドはQでポールの勤務先である病院に運ばれてしまった。。。



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二人のピエロ (17)~母子の縁切れ。。。~

悟は、やっと思い出した。
そういえば、ダニーは何て言ってた?
ワシントンの大学を卒業後、そのままあっちの病院で働いてる。
それが、1年もすると見違えるほどのナイス・ガイになってたんだ。
この自分でさえも、思わず口笛を吹いてしまった位のな。


 『豊…。ジョニーとレンは、合致率100%だ』
 「間違い無いのか?」
 『ああ。それに、これは私とスーザンの問題だ』


少し経つと、口調を変え、悟は言ってきた。
 『ああ、そうだ。基典を覚えてるか?』
 「基典? 

(ワン)-えっ。モトノリってカワダ?

 え、ワン知ってるのか?

(ワン)-ほら、私の後ろに居た人だよ。私は10番目だけど、11番目の。

 あー…。宮田の婿養子に入った。

(ワン)-そう、それっ!」
 『その基典が離婚して、大学付属の研究所をしてるんだ』
 「へー・・・」
 『ああ、来たか…。基典、ほらっ、こっち。

(基典)-ん…、なんだ?』
ワンが嬉しそうな声を出した。
 「モトノリだー!久しぶりっ、元気かい?」
 『え・・・、ええっ!ワンッ?』
 「老けたねえ、基典君」
 『落ち着いたね、と言って貰いたいな。って、え・・ええっ・・・。ゆ、豊?悟、これって…。

(悟)-基典、私が1ヶ月程留守しても大丈夫か?

 え…、オーストラリアに行くのか?

(悟)-アメリカだ。

 アメリカって、スーザン?

(悟)-そうだ。

 母が恋しいってか?

(悟)-いや、恋しくは無い。だけど、話をする必要性がある。

 はいはい、そういう事にしといてやるよ。

(悟)-本当に、恋しくは…。

 はいはい。

(悟)-来週から1ヶ月程だけど・・・。

 はいはい、行ってらっしゃい。

(悟)だ、という事だ。豊?ワン?お前等聞いてるか?』

PC越しで聞こえてくる悟と基典の会話を、豊とワンは笑いをこらえて聞いてる。
 『豊、ワン。聞いてるか?』

 「くくくくっ…。はいはい」と、豊が。
 「モトノリって、まるで親みたい」と、ワンが。

 『なっ…。誰が、誰の親だって?』



そして、悟はスーザンに連絡を付けてアメリカに行っては、1ヶ月後、日本に戻ってきた。
父親に、スーザンとはすっかり縁が切れた、と話した。




縁が切れたスーザンは、なにやらすっきり顔だ。
コンピュータも元に戻ったし。
まあ、日本からの協力や権力が使えなくなるのは嫌で抵抗したが、仕方ない。
でも、あのサトルが話をしに来ただけで1ヶ月も居るとは思わなかった。
元々ダニエルとは仲良かったから、彼に相手をさせていたのだ。
サトルは、家や病院ではなく、チャーチに寝泊まりしていた。
そのチャーチに住んでる人は、サトルと同じコンピュータ仲間だ。

サトルはパスワードを外すと、直ぐにデータバンクにアクセスしてBUを取っては、12年分のデータを更新した。
ふっ…、出てくるわ、出てくるわ。
サトルはジョニー・カーターだけでなく、スーザンとレン・カーターのデータを根こそぎ取っては、それを別のPCから豊の所に送り、自分の所にも送った。
そのデータは、そこで凍結させた。

そして、新しくスーザンのデータを改ざんした。
BUしたデータから必要なのをチョイスして。
再婚した事はデータに書かれてない。
だから、その事を追加入力した。
再婚した相手と、子供2人の事、性癖の事をも書き加えた。
そして、ジョニー・カーターがレン・カーターに改名した事も。

事実は事実だ。
こんな女でも、自分の母親なんだ。
母親らしい事はしなくても、それでも…。
再婚した事も、子供が生まれた事も知らせてくれなかった。
全部、12年前にダニーが話してくれたんだ。
お願いしたわけではないのに、勝手に喋ってくれたんだ。

スーザンにとって、私はなんだったのだろう。
また、私にとって、スーザンはなんだったのだろう。
恋しいとは思ってない。
信頼もしては無い。
母子としての絆も無い。
ただ、男が好きなだけの女だ。

私が大学に通ってた時だって、皆を物色してた。
ボスの事も気に入っては、毛色の違う豊にも色目を使ってた。
マサやワンの事だって、家柄を調べたらしく媚びていた。

それに…、はっきりと即答してきたからな。
 「サトル。あんたも、あの男も利用価値は大なんだからね。
自分の名声を高めるだけに利用した。それだけよ、分かった?」

本当に、そう思ってたんだろうな。


数日後、豊から連絡が着た。
 『欧州のコンピュータ会社の話は無しになった』と。
なにしろ、日本という権力は無くなったからな。
そして、パースとのリンク話も消えた。
地団太を踏んでるスーザンの姿が目に浮かぶようだ。







☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
前話と同じく、チャットでの会話。

そして、悟は母親であるスーザンと話をしてはデータを開示する。



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二人のピエロ (16)~チャットにて~

シンガポールマフィア・ドンのジュニアと話をして戻ってきたユタカは、「レン・カーター」という一人の男を調べていた。

途中から、その名前になったみたいだ。
しかも、タカと同じワシントンの病院に勤務していたみたいだ。
タカに聞いても良いが、時を同じくして一人の人間が消えている。
その人の名は「ジョニー・カーター」。
姿形は違うが、ラストネームは同じだ。
ジョニーの方を調べようとしたら、アクセスが出来ない。
ふむ。
久々に腕の鳴る相手に出くわしたか。
すると、日本から連絡が着た。
悟だ。
 「なんだ?」
 『そっちこそなんだ?私のデータベースに乗り込んできて』
 「どういう意味だ?」
 『何を知りたい?』
 「まさかとは思うが、ジョ」
 『データをパンクさせて奪い取られないだけましだと思え』
 「ジョニー・カーターを調べてるんだ。お前が、そうやって個別に守るほどの人間なのか?」

沈黙が下りた。
どれ位経ったのだろうか、やがて相手は言ってきた。
 『豊…。ジョニーは、私の弟だ』
 「おとっ…」
 『スーザンは再婚した。2人の子供が出来、その内の一人がジョニー・カーターだ』
 「なっ…」
 『で、何が知りたい?』
 「そのジョニー・カーターと、レン・カーターの合致率を知りたい」
 『何の事だ?』

豊は、ジョニー・カーターとレン・カーターの話をした。
まだ、レン・カーターしか調べては無いけどな、と付け加えた。

悟は言ってきた。
 『分かった。こっちも調べておく。あれから12年経ったからな』
 「まさかとは思うが、12年も前のデータで凍結させてたのか?」
 『こういう線で辿られるとは思わなかったからな』
 「で、ツテは?」
 『ある。だけど、微妙なところだな…』
 「一人で大丈夫か?」

違う声が割って入って来た。
 「良いけど、私も居るんだからな。

(豊)-うわっ…。いつの間にっ…」
 『え…、ワン?』
そのワンが言ってきた。
 「ふーん…。このレンという人の顔、パーティに来てたよね」
 『パーティって、5月の?』
 「スーザンに付いて来てたよ」
 『スーザンにって…、あの若い男か?』
 「うん、しきりに病院関連の人間と話をしてたよ。なにしろ、私の父にも話を持ち掛けてたよ。

(豊)-どんな話だ?

このレンと言う人の就職の話。

(豊)-そうか、やたらとボスは誰なのか…と、タカやカズキに聞いてたのは、それかっ!

でも、まだ研修期間を卒業してないから、という理由で断ってた。

(豊)-それなら、日本は対象外だな」
 『どういう意味だ?』
 「あのスーザンの事だ。おそらくレンの詳細は知らない。それに、日本にはお前が居るからな」
 『なるほど、根掘り葉掘り調べられると困る、という事か』
 「そうだ。それに、パーティの時、やたらとコンピュータの話をしてたからな。覚えてるか?」
 『私にパスワードを聞いてきた。やたらと、欧州という言葉を使いたがるな、って思ってたんだ。』
 「2年後には、こことリンクする」
 『という事は、スーザンの病院は確実にデカくなる。その前に、自分のコンピュータをなんとかしたいって事だな。…分かったよ。なら、あっちに行ってパスワードを消して開示してやる。』

何を思ったのか、豊は言ってくる。
 「悟、それにワンにも言っておく。写メってメールしただろ」
 『ああ…』
 「ポール?

(豊)-そうだ。そのポールは、シンガポールマフィア・ドンのジュニアだ。その正体を知ると、スーザンは、どういう反応をする?」
 『関連性が分からない…』
 「レン・カーターは、ポールと同じ病院で働いてる。だが、レンはポールの事は知らない。でも彼はポールに近付こうとしてるみたいだ。

(ワン)-ふむ…。腕のいいドクに頼んではオペをして貰って…、見目の良い顔にする。そして、自分が近付く、かな…。でも、この顔って、腕の確かなドクにオペされてるよね?」
 『銃撃戦で死んだとされてる人間が姿形や名前を変え生きてる。まさか、ジョニーも…?』
 「ああ、そのきっかけは、病院でテロがあったことだな」
 『テロ・・・』
 「タカと同じ病院で働いていたみたいだ」
 『ワシントン…』


悟は思い出そうとしていた。












☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
コンピュータで情報を得ようとした王子、こと豊。
そのデータベースが悟の所とは知らずに。。。

PC越しでの会話、いわゆるチャットですね。


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二人のピエロ (15)

王子は、姿勢を正して言ってくる。
 「これだけは、はっきりと言っておきます。
オーストラリア・ドンとなった人物、トモアキ・フクヤマは私達9人が守る。
それは、ドクター・ヒロトでも、エドワールでもない。
それに、あいつには子供がいるが…、ジュンはまだ小さい…」
 「…子供?」
 「トモは、私と同じ学校と大学を一緒に過ごし卒業した。私にとっては大事な、大切な仲間だ。
私は、あいつを守る為ならイタリアを捨てても構わない。そう思って、ここに居る。
同じ志を持った仲間も居る。
彼等には、貴方の事を話します。
でも、トモには話さない。」

きっぱりと言われた。
 「うん、話さなくて良い」
今から写メを添付して、9人のを送ります。
そう言って、王子は私のiPhoneを無理矢理起動させては、何かを送ってきた。
 「…このNoは?」
 「位置付けです」
 「???」
 「まず、トモがNo.1です。だから、トモのは送ってません」
そう言われ、私は頷いた。
 「No.2がヨウイチ、ラーメン屋。No.3がサトル、日本在住。No.4がマサ、ガードマン。
No.5が私、オーストラリア・ドンのお抱えコンピュータ技師。No.6がユウマ、日本在住。
No.7がタカ、ドクター。No.8がジュンヤ、モデル。No.9がカズキ、ドクター。
そして、No.10がワン、ドクターです。…そして、彼は香港マフィアのジュニアです。」
それを聞き、納得した。
 「なるほど、トモは世界の表裏を味方に付けてるのか…」

 「香港マフィアについて、何かご存知ですか?」
 「ああ、あそこのドンは病院経営者であり、ミスターと呼ばれてる。
私とトモは、ミスターの系列病院で知り合っては、ドクターとして働いていた。」
 「日本の、ですか?」
 「ああ」
 「んー…。ああ、そういえばあったな。福岡ですね」
 「フク・・・、よく覚えてない…日本の……」
 「分かりました。フクオカです」
ったく、地元に居たって言ってたが、あそこで働いていたのか。
まるっきり家とは真逆の位置にある病院ではないか。気が付かなかった自分が情けない…。

なにやら、ぼやいてるみたいだ。


パシャッ!

はっと気が付いた。
 「な、何を…」
 「顔写真要るでしょう。貴方にも彼らの顔写真を送ったのですから。あの8人に送ります。
今撮った写真に、名前と職業を書き加えます。
ポールが名前で、職業はドクターで良いですか?」
 「ああ…」

少し待ってると、王子は言ってきた。
 「はい。これで8人に送りました。」
 「…なにか利になるのか…・」
思わず、呟きが漏れていた。

 「今、貴方が私に話してくれた事はデータ化しておきます。」
 「それは、どういう意味?」
 「私は、ドイツの『御』から、側付のデータを預かっております。彼等のデータは、誰もアクセス出来ないようにしてます。同じデータベースに入れても良いでしょうか?」

それは有無を言わせない言葉だった。
 「誰も、アクセス出来ない?」
 「はい。私だけです」
 「本当に…?」
 「はい。それには、もう一つ条件があります。」
 「それは何?」
 「貴方のDNAと指紋です」
その言葉に驚き、何も言えなかった。

 「トモを含め、私達は同じゼミを取っていたのですよ。遺伝子のね。
だから、DNAをパスワードにしています。
貴方のDNAと指紋を、お願いできますか?
指紋が駄目なら、DNAだけで良いです。
髪の毛、もしくはアレでも良いです」
 「アレって?」

咳払いして、王子は返してきた。
 「精液…」

ブッ…!!
思わず、噴きだしていた。

 「か、髪の毛で良いかな?」
 「はい、結構です。出来るなら毛根から、3,4本を」

私の髪の毛4本を渡すと、王子はそれをビニール袋に入れては、言ってくる。
 「ありがとうございます。これで別人の指紋と合わせれば、誰にもアクセスは出来ません。」

 「今日は話が出来て良かったです。声を掛けて頂き、ありがとうございました。
宜しければ、送ります」
 「いや、歩いて10分も掛からないから」
 「そうですか。それでは、お気を付けて」


病院の正門を出ると、門に凭れてレンは寝ている。
まさか、そこで見張っていたのか?
王子は、と見ると溜息を吐いていた。
 「ああ、もう一つの気配の持ち主が、この人だったのですね」
 「レン、と言ってた」
 「そうですか」
 「害は無いと思うが…」
 「はい、分かりました。レン、ですね」
 「レン…、レン・カーターだって」
 「…カーターですか?大統領の名前…」
 「私も思ったから覚えてるんだ」
 「分かりました。レン・カーターですね」
王子の目が鋭くなってる。

頷いて、私は左に曲がった。
正門から帰る時は、左に曲がらないと帰れない。


王子は、レンの事を調べるだろう。
私は、知りたいことを知ることが出来た。

マルク…。
どの様な死に様だったのだろう。
いたる所に敵がいた奴だったからな。






☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
ポールと王子の会話part2です。


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二人のピエロ (14)~ポール&王子~

※ポール視線※

 
14時過ぎると、帰りの支度をする。
今日は、王子と話をする。
まだ帰って無い事を祈りながら、喫茶近くで待っていた。
同じく14時上がりのレンも、王子を待っていた。
その王子は、14時を30分ほど過ぎた頃に病院から出てきた。
良かった、間に合ったか。
そして、あの王子は気配に敏い。その証拠に、目はこっちを向いてる。
他にも気配はあるが、それは置いとく。
レンは気配を殺すことのできない人間だ。
私は王子に向かって手招きをすると、王子は寄ってきた。
が、レンの気配も近付いてる。
何のつもりか分からないが、私より先に口は開かせない。
だから、先に口を開いた。
 「久しぶりだな、王子」
驚きもせず、王子は応じてきた。
 「御無沙汰しております。お元気そうで良かったです」
 「この顔を見て、何も反応を示さないとはね……」
ふっ…と、鼻を鳴らして言ってくる。
 「私を誰だと思ってるのですか?貴方の頭の中身や身体能力の開花に力を貸しては指導させて貰った人間ですよ。それに、いくら外見を変えられても、中身は変わらない。」
それを聞いて、ポールは嬉しかった。
やはり、王子だ。

 「話がある」
 「話がしたいです」
私が言ったのに、同時に王子も、同じ言葉を言ってきた。


喫茶でコーヒーを飲みながら話をしようと、提案された。
誰にも聞かれたくなかったのだが、ここにはVIP用の室がある、と言うので入ることにした。
ふと見ると、王子の手にはトレイが。しかも、そのトレイにはコーヒーとケーキが2人分乗っている。
ケーキは5種類あった。
5種類のケーキが2人分…。
思わず聞いていた。
 「それ、誰が食べるんだ?」
 「私達2人ですよ。シフォンケーキとイチゴケーキは好きで、よく取り合いしてたでしょ?」
 「そうだけど…5個も・・」
 「私なら、10個はペロリですよ」
 「私だって、10個ぐらいはペロリだっ!」
アハハッと笑いながら言ってくる。
 「そうそう、その威勢の良さが売りの人なのに、大人しいから…。遠慮しなくて良いんですよ。
やっと元気出ましたね」
本当に、くえない王子だな。

その2人のやり取りを見ていたレンは、驚いていた。
あのポールに、王子と呼ばれてる人が丁寧な言葉で言ってる。
ポールって、何者なんだろう?



王子から聞かされたことは、ショッキングだった。
『御』が、屋敷のスタッフを減らしてる事。
ドイツ国籍の者しか、屋敷には居ないらしい。

オーストラリア国籍の人は、こっちに帰ってる事。
エドのGPや病院で一緒に仕事をしてるらしい。

オーストラリア・ドンとなったトモと同盟を結んでる事。
『御』は、トモと色々と話をしてるらしい。

そして、マルクの死。
詳しい事は知らないが、マルクがトモを拉致してドイツに連れて行った事も話してくれた。
詳細を知ってるのは、ヒロトとエドワールだけだと教えてくれた。


 「嘘だろ…・・」
私は、7年間もマルクにべったりと監視されるのが嫌で、逃げる様に・・・。


王子は、私に聞いてきた。
 「どうして、貴方が顔を変え、名を変えたのか教えて下さいませんか?」
あまりの驚きから目が覚めずにいた私は、王子にぽつぽつと話した。
 「どうして、あそこに居たのかは分からない。
気が付いたら、オペ室に横たわっていた。
理事と専務と室長と、他に一人居た。ああ、オペマスターも居たな。オペドクターも居た。
ジョンが居なかった時だった。
専務に選択しろ、と言われ…、私は生きることを望んだ。
あの名前を捨てる覚悟は出来てた。だから、顔形を変えても良いと言ったんだ。
そしたら、室長が先に応じた。
そして、違うオペドクターが来ては、そのドクターにオペされた。
この顔に…。
私のパスポートとか書類は、簡単に偽造できる。
理由は…、銃撃戦でこうなった。それだけで十分だった。
誰も、あの人間と同一人物だとは思わなかったみたいだ。」

コーヒーを一口飲んでは喉を潤し、再び口を開いた。
 「トモは…、私がボスをしていた病院で働いていた。
私はトモが好きなんだ。日本で一緒に3年間働いていた。その頃から、トモを好きになった。
だから、シンガポールで…、あそこで再会したのは本当に嬉しかった。
運命だ、と思ったね。でも、トモは違ったみたいだった…。
少しでも近くに居たい。そう思ったから、ここに来たんだ。」

王子がさり気なく聞いてくる。
 「他にも、病院はあったでしょう?」
 「うん、エドの病院がね。でも、ボロを出さないようにしないといけない。
この病院は、ちょうどスタッフを募集してた。だから、ここにしたんだ」

そう言っては、チョコケーキをパクついた。









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ポールは王子から聞いた事は、驚きの連続だった。


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二人のピエロ (13)~出会い~ レン視線

※レン視線※


しつこくスーザンが言ってくる。
違うフラットにしてもらえ、と。
スーザンの思ってる事は分かってる。
ポールの顔がグロデスクだからだ。
気が気でないのか、この土日はホテルに泊まると言ってはホテルに泊まったみたいだ。
それは、僕にとっては良い事だった。
それに、病院への行き方が分からないのでポールの部屋に行ったのにドアを開けてくれない。
しつこくノックしたのに。

それでもと思い、エントランスで待ってると出てきた。
一定の距離を保って後ろを歩く。
ポールは早足みたいで、少し目を離すと見えなくなった。
何処に行ったのか分からないが、目的地である病院は目の前だ。
ここからなら迷わずに行けるだろう。
そう思って、入り口に向かって歩いて行く。
行けども行けども、入り口は見つからない。
もしかして道を間違えた?
病院は目の前にあるのに、中々入り口が見えない。
もう…、こうなったら、この森の中を突っ切ってやろうか。
そういう気持ちになってきた。

その時、声が聞こえてきた。
 「ハイ、ミスター。そこで何をしてるの?」
誰、僕の事?
そう思って黙っていたら、再び声を掛けられた。
 「どこに行こうとしてるの?」

声のした方を見ると、男性か女性かは分からないが、声からして男性だろう。
あまり肉が付いてない、スレンダーな男性が居た。
それに、面長で中国人ではない。自分と同じアメリカ人かな、と思える程の流暢な英語。
そばにスーザンが居ると、迷わずに口説くだろう。
そんな見た目の良い男が、僕を見ている。

 「あ、あの…、今日から、ここで…」
納得した様な表情で、その人は僕に言ってきた。
 「ああ、ここは広いからね。曲がり角あったでしょ?後ろを向いて…。
そのまま進むと曲がり角が2つ見えるから、一つ目を左に曲がって歩いてね。
そしたら『P』の字が見えるから、そこの入り口から入ってね。」
丁寧に教えてくれる。

言われたとおりに一つ目の角を左に曲がると、『P』の字が見えた。
時計を見ると、8時15分だ。
走れば間に合う。
そう思い、走って『P』の入り口に入るとスタッフ専用のドアが見えたので、そこから中に入った。
中に入ったはいいが、チャーリーの居場所が分からない。
近くに居た人に聞いて、なんとか間に合った。

あ、そういえば、さっきの人にお礼を言うのを忘れていた。
また会えるかな。
会えたら、お礼を言おう。
優しい声だったな。


そのレンの様子を木の上から見ていたポールは、レンを含めて自分の事をも見てるだろうジョンに小さく呟く。大体の位置は分かる。
斜め後方に顔を向けて、口を動かした。
 「ダンケ」と。

ジョンは木の上からレンが無事にドアに入ったのを見届けていた。
その近くにある木の上で一休みしている人間も視界に入れていた。
レンがドアに入ったのを見計らって、その人物は動いた。
こっちを見ている。
口が動いてるみたいだ。
 「ダンケ」と、言ってるようだ。

やはり、ポールはジュニアなのか。
面影はないが、態度とか仕草等の細かいところは似ている。
でも、もう自分には関係ない。
すでに卒業してるからだ。



ここで仕事をするようになり、早1ヶ月。
スーザンは、やっと帰国した。
 「3ヶ月後には来るからね。それまでにフラットを引っ越してなさい。」と、言い残して。

ある日、彼に会った。
僕に丁寧に道順を教えてくれた人だ。
喫茶室で、その人はランチを食べていた。
その人の側まで行き、声を掛けた。
 「あ、あのっ…」
こっちを振り向いた彼は、きょとんとしている。
 「あのっ、一緒に座っても良いですか?」
 「え…」
ビックリした表情で見てくれる。
失敗した、と思っては言い直した。
 「あの、1ヶ月程前に、この病院までの道のりを教えて頂き、ありがとうございました。お礼を言ってなくて、次に会ったら言おうと思ってたんです。」
そう言われて分かったのか、彼は返事をしてくれた。
 「ああ…、あの時の。時間もぎりぎりだったからね、別に良いですよ。でも、こうやって言ってくれてありがとうございます。」
優しく微笑んでくれたので、もう一度同じことを言った。
 「あの…、座っても良いですか?」
 「良いですよ。私は、これを飲み終えると戻るので」
え…、そんなの数秒しか一緒に居られないじゃないかっ…。
向かいに座ると、その人は飲み終えたのか、席を立った。
 「それじゃ、ごゆっくり」
そう言われて、はっと気が付いた。
 「あ、あの…」
 「何か?」
 「レン、レン・カーターと言います。この間は本当にありがとうございました」
 「良いよ。別に大した事をしたわけでは無いから」
 「あの…」
 「バイ、レン」
 「バ、バイ…」
って、違うだろう。あー…、行っちゃった。名前を聞きたかったのに。


そんなにも離れてないのか、彼の声が聞こえた。
 「あ、グッドタイミング!王子、お待ちしておりました。」
 「誰が王子だ?あぁ…」
 「ったいなー…。叩かないで下さい」
その声が遠ざかって行く。
レンは、その2人の様子を見ていた。
王子と呼ばれた人と、彼の事を。

そして、レンを含めた3人を見ていた人物も居た。
ポールだ。
王子って言ってた。
記憶を遡っては、ある事に気が付いた。
まさか、あのイタリア王子か?
私に、日本語に少林寺にコンピュータの使い方等を教えてくれた、あの王子か?
ジョンと王子とのやり取りを聞いていたポールは、気が付いた。
ジョンは、5階か6階で働いてる?
私には手が出せない位置だ。
シュワルツは、あの件で国外追放されたし、他の5人は1階での仕事だ。
行き帰りを待つしかないか。
もしくは、あの王子と話をするか。
あの王子なら、誰にも言わないだろう。彼は見た目とは違い、真面目で口が堅い人間だ。


ふむ…。
少し考えると思い当たった。
コンピュータの仕事か。
とりあえず、今日は14時上がりだ。
ポールは既に病院内に入った王子の背に念を送った。
 「14時を過ぎてから帰るんだ」と、何度も何度も…。








☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
そして、レンはジョンとも出会う。

ここから歯車が噛み合うようになります。


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二人のピエロ (12)~ポール視点~

トントンッ・・・、トントンッ・・・。

誰だ、と思いドアに向かってはスコープを覗き込んだ。
溜息付いたポールだが、ドアを開ける気は無い。
時計は、まだ7時半だ。

トントンッ・・・、トントンッ・・・。

自分のペースで支度をする。
慣れ合うのは好きではない。
相手にもよるが、トモなら直ぐにでも開ける。
ジョンなら…、溜息付きながらでも「いつまでもノックするんでは無いっ」と言いながら開ける。
でも、こいつは嫌だ。
レン・カーター。
私を利用してやろう、というのが見て取れる。

トントンッ・・・、トントンッ・・・。

ノックの音が煩い。

ピー、ピー…。
今度はケトルだ。

コポコポコポコポ……。
コーヒーを自分で淹れる。どんなにやっても美味しいのが淹れられない。だから、コーヒーはドリップではなく、インスタントで飲んでる。
そういえば、ジョンが淹れてくれたコーヒーも、そんなに美味しくは無かったな。
文句を言っても、苦笑しながら淹れてくれてた。

あの頃は良かった。
……いや、私はポールだ。



トモ、会いたい。
声が聞きたい。
それに、エドには会えない。
私の勝手な気持ちでオファーを断ったのだからだ。
なら、ヒロはどうだろう?
ヒロなら会ってくれるだろうか?

今日は14時までだから、その後でも…。
驚くだろうな。
でも、誰かに会いたい。
こんなに近くに居るのに…。

そこで思い出した。
ニックが居る。
大丈夫だろうか、私は彼を死んだ事にした。
あの銃撃戦で右腕を撃たれてはメスが持てなくなったからだ。
恨まれても仕方のない事だ。

考えた末、一番近くに居るジョンに決めた。
でも、あいつは何階に居るんだろう…。
そこから始めないといけない。

時計が8時になったのだろう、ピヨピヨと可愛い音が聞こえる。
出勤の時間だ。


もうノックは聞こえない。
身支度を終え、ドクターバッグを手に取る。

ドアを細目に開け、周りに注意を向ける。
誰の気配も感じない事を確かめ、ドアを閉めて鍵を掛ける。
ここから病院までは歩いて10分弱だ。

でも、しばらく経つと誰かに尾けられてる気がする。
横道に折れて木に登り覗いてみると、尾けてる人間が見えた。
キョロキョロとしている。

ったく、煩くノックしてきては、今度は尾行か。
まあ良い。
今日はこのまま枝伝いに行こう。

ポールは、そのまま枝から枝へと伝って病院の駐車場入り口に着くと、そこからは地面に降り立っては身支度を整えて、何食わぬ顔をして徒歩で病院内に入って行った。









☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
ポール視点の話です。

回想から現実に戻ったポール。
アンソニーは顔を変えた時点で死んだ。
今は、ポールだ。
ポールとして仕事をしてる。
そして、再び、話は進みます。。。



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