BL風味の小説

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4人の幼き戦士(2周年記念SS) ~あとがき~

いつも読みに来て頂き、ありがとうございました。


 『4人の幼き戦士』は如何でしたでしょうか?
このブログも2周年を突破し、3年目に入りました。
詳しくは、2年と1ヶ月ですね…。
その2周年を記念しての、小説をどれにしようかなと思いつつ・・・。
Rジャンルでありながらでも、ごく薄目のジャンル臭を残しつつ何か無いかなと思い当たったのが、この物語でした。

本編である『俺様ボスと私の恋物語』から、最新の番外編である『君は腐れ縁であり運命の人』までをリンクしております、この物語。
昨年の、ある物語のあとがきにも書かせてもらったのですが、本当に書きたかったのですよ。
この4人の事を。
書けて良かったです。

主人公は、『俺様ボス~』シリーズの10人の内の先駆けとも言われる福山豊。
はい、『君は腐れ縁であり運命の人』の主人公ですね。
その豊の幼少(4歳)から、9歳になるまでの、イタリアでの暮らしぶりを書いてます。
母であるミレーネはイタリア王妃の王女であり、日本人男性と日本で過ごしていたので、母の帰国と共に、一緒に付いて行った豊でした。

その豊の過去だけでなく、『俺様ボス~』の主人公である福山博人の過去までが暴露される結果となったのですが…。
まあ、それも良しとしましょう(*´∀`*)

謎多しの2人だったのですので、少しはフォン=パトリッシュの過去が分かって頂けた事と思います。
ウォルター、リン、アダム=バーンズ。
この3人との接点も、お分かりいただけた事と思います。

そして、いつものメンバーで締めくくってます。
ウォルターそっくりの、『俺様ボス~』シリーズのボスの左腕に君臨しているサトル。
リンそっくりの、『俺様ボス~』シリーズのボスの右腕に君臨しているヨウイチ、ことスズメ。
アダム=バーンズそっくりの顔をしている、『俺様ボス~』シリーズの主人公の福山博人。
そして。
銀髪碧眼のグズ、こと『俺様ボス~』のボスの先駆けの位置にいる、ユタカ。


この後は、プロットが行き詰まっており、8月後半からの物語が、ストックが無いのです~(泣
なんとかして、ネタを繋ぎ合わせてプロットを練りに練り、物語を作っていこうと思います。
気長にお待ちくださいませ。

明日から2,3日ほどリアルで多忙の為、更新はお休みさせて貰います。


これからも、よろしくお願いいたします<(_ _)>




  あさみより  2016/7/29








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4人の幼き戦士 (20)~最終話~

下界から声が聞こえてくる。

 「スズメー、腹減った」
 「煩いなっ、このイタリアのガキが。たまには作ってやろうという気は無いのかっ!」

 「お前が作るのを放棄したら、誰が作るんだっ」
 「このクールビッチが…。お前はスィーツでも食ってろっ」


イタリアのガキ。
それは三人が側に居たいと思ってる人物だ。
グズは、あの時のままだ。
変わって無いbaby faceだ。
リンは気が付いたみたいだ。
 「あれ?ヨーイチだ」
 「誰?」
 「私の甥っ子だよ。姉の子なんだ。決めた。私はヨーイチの側に居る」
ウォルターは一人の人物を言い当てた。
 「あの黒髪黒目の元気一杯な感じの子か」
 「うん、そうだよ。私が、ヨーイチに武術を教えたんだ。あれ、でも待って…」

リンは、クールビッチと呼ばれてる人を見ながらバーンズに声を掛けてる。
 「ねえ、バーンズ。あの人、ウォルターと似てるね?」
 「ああ、髪の色は違うが、似てるな」
 「え…?」


その時、女の声が聞こえてきた。
 「サトル、あんたは一体」

思わずウォルターは目を瞠っていた。
 「ス、スーザン?え、何で…」
整形でもしたのか、スーザンは昔と変わらない体型と顔形だ。
スーザンと、クールビッチと呼ばれてる男とのやり取りが聞こえてくる。
 「サトル」 
 「煩いな。親子の縁は切った筈だ。とっととアメリカへ帰れっ」
 「そういう事を」
 「私の母親は飛行機事故で死んだ」
 「何言って…、私は生きてるわよ」
 「私の予想では、私の産みの母親はアメリカ行きの飛行機で死ぬ。」
 「サトルッ!縁起でもない事を言わないのっ」
 「煩いっ!このアバズレが黙れっ」

そのやり取りを見聞きして、ウォルターは呟いてる。
 「もしかして、あの子はスーザンの子供?俺の親戚…」
リンはウォルターに言ってくる。
 「ねえ、ウォルター。あの子の守護」
ウォルターはリンの言葉を遮って呟いてる。
 「スーザンって結婚したんだね。イケメンな男にしか興味持たないから結婚は無理だろうと思ってたんだ。サトルっていう名前なんだね。
初めまして…。サトル、俺は君の側に居るよ。
これからよろしく」


バーンズは、ウォルターが呟いてる間に見つけていた。
自分の孫であるヒロだ。
側には、エドが居る。
 「ヒロ…、エド…。私の、私の大事な孫と従弟。私は、君達の側に居るよ。
グズ。君には守護は必要ない。強いからな。
私はエドとヒロを見守る…」



4人の戦士の内の三人は、それぞれの縁者の側に付き見守る。
残り一人の銀髪碧眼の殺人魔ダークは、昔と違って優しく、意地悪になってるみたいだ。



バーンズは、さらに残りの二人をも見つけた。
文武の文壇を師事していた人物の、ワダだ。
その側には昔とは違い強面になったアンソニーが居る。
ドイツと日本とに離れ離れに暮らしていた従兄弟が、オーストラリアで一ヶ所に集まって暮らしているのを見て、バーンズは微笑ましく見ている。

アンソニー、君は父親の跡を継がないんだね。
昔は、君はよく言ってた。
「人殺しは嫌いだ。ずっとドイツに居たい」と。
君の人生は、君のものだ。

これからは、ポールとしての生活を、君なりに謳歌していけ。
私は、君達の側に居るよ。
私の、もう一人の孫。
5人いる孫の内、二人はここに居て一緒に笑いあってる。
それが、なによりも凄く嬉しい。

マルクと親子喧嘩するより、ここに居たい。
マルク、お前は自分の過去に囚われている。
それを助けたいが、時は既に遅しだ。


アダム=バーンズは、感じ取っていた。
ここは温かい所だ、と。

そう、ここは笑顔と音楽で満ちている。
たまに言い合いしたり泣く事もあるが、それはそれで良いと思う。

声が聞こえてくる。
 「クマヤロー!今日こそ、やっつけてやるっ!」
 「毎回、毎回、同じ言葉だな。違う言葉は無いのか…」
 「うっせ!っんのヤロー・・・」

ヒロ、君は強いんだね。
9人が一斉に攻めてきても、君は数瞬で倒す。
見事な腕前だ。
大人しくバイオリンと一緒に居た昔とは違い、活発になってるんだね。



あの小さい4人の幼き戦士は、再び出会った。
一人は生きてるが構わない。



ここは青くて綺麗な海に囲まれてる。
そこに居るのは…、
赤髪ではなく黒髪だが、ウォルターそっくりの顔をしたサトル。
黒髪黒目でリンそっくりな、元気一杯のヨーイチ。
バーンズと同じ金髪のエドと、これまたバーンズそっくりの顔をしてるヒロ。
そして、銀髪碧眼の殺人魔ダークと畏れられていたグズ改め、イタリア王子のユタカだ。



















4人の幼き戦士 (19)

やっと、バーンズが来た。

リンの側には赤髪のウォルターまで居る。
私より早くに死んだのだろうか…。

野暮用を済ませてたら遅くなった、とバーンズは断りを口にする。

リンとウォルターは、バーンズから話を聞いた。
グズは、まだ生きてる。
本名はユタカで、イタリア王子としてフリーパスで世界を行き来しているという事を。
どうやら、ある男に惚れているみたいで告る事は出来ないチキンな奴だという事も付け加えた。

それを聞いてウォルターは笑ってる。
 「やっぱり、あいつは何時まで経ってもネンネだな」
リンは呆れている。
 「全く、何時まで経っても子供だね~」
バーンズは、そんな二人を微笑ましく見ている。

ウォルターは、バーンズに声を掛けてくる。
 「なあなあ、リンは病で死んだらしいけど、バーンズは?」
リンは、バーンズにウォルターの死に様を教えてくる。
 「ねえねえ、ウォルターはね、私が死んだ事を聞いて、車に轢かれて死んだんだって。
ウォルターって危機感のない所は昔と変わらないよね~」
 「だって、お前が死んだって聞いて、ショックだったんだよっ」

バーンズは、そんな二人にとんでもない言葉を返してくる。
 「何時まで経っても、お前達は仲良いよな。私は、息子に殺された」
その言葉に、2人は驚いてる。
 「え、息子に?」
 「バーンズって結婚したんだね」

バーンズは、やっとカミングアウトした。
 「私は早くに結婚したんだ。4人目が生まれて、直ぐにイタリアに拉致られた」
 「え…」
 「何で子供隊?」
リンの言葉にバーンズは答える。
 「背が低く幼く見えたからな。昔から、よく子供に間違われていたよ」

バーンズは二人に提案を持ち掛けた。
 「なあ、あいつの所に行ってみないか?」
 「あ、それ良いな。あいつのネンネぶりを見てみたい」
 「ウォルターッ!あ、でもグズの好きな人が気になる。どんな人なのかなぁ」
呆れた様にバーンズは言ってくる。
 「ったく、お前等は…。相手は男だぞ」

が、二人ともスルーしてくれる。
 「行こ、行こ」
 「守護霊になるのも良いね」
リンの、この言葉にウォルターとバーンズは笑い出した。


あはははっ…。

笑いが落ち着いて、ウォルターはボソッと呟く。
 「守護霊ではなく悪霊だろ」

バーンズは溜息を吐いてる。
 「はあ…。ウォルターは相変わらず、頭悪いな」
 「な、にゃにおうっ」
 「悪霊とは低級霊やイタズラ霊、からかい霊とか呼ばれてる霊だぞ。私は、そんなのにはなりたくないな」
 「なら、何になりたいんだ?」
即答だった。
 「ゴッドファーザー」


その言葉にウォルターは笑い出す。
 「ぷぷっ…。やっぱ保護者じゃん」
リンは嬉しそうに口を開いてくる。
 「良いよね。彼の言葉は好きだよ」
 「どんな言葉?」
 「ん、やっぱりこれだね」
すると、バーンズとリンの言葉が重なった。

 「銃は置いて行け。カノーリは持って来てくれ」
  
ウォルターは相槌を打つ。
 「その言葉は知ってる。
『たとえ失敗しても、それに捕らわれるな。違うやり方を模索して成功させろ。』っていうあれだろ」
バカにしたようなリンの声が掛けられる。
 「へぇ、ウォルターらしくない。物知りじゃん」
 「俺だって、その映画好きなんだよ」

この二人のやり取りを聞いて楽しい雰囲気を壊すのは嫌だが、バーンズは聞いていた。
 「で、どうするんだ?」

二人の声が重なった。
 「行くよ」


なら行こう。

三人は手を繋ぎ、バーンズに同調する。
バーンズは、数瞬後には居場所を見つけた。
 「居た」

その言葉を発した瞬間、グズの頭上に着いた。



四方を海に囲まれた場所だ。
最初にウォルターが口を開いた。
 「海に囲まれてる…?ここって、日本?」
そのウォルターにリンは応じる。
 「いや違う。日本は、こんなに広くない」
バーンズが正解を導く。
 「オーストラリアだ」

その言葉に、二人は驚く。
 「えっ…、南半球?」
 「へぇ、南半球には行った事ないや」
 「北半球が寒い時は、こっちは反対の暑い時期で…」

 「え、だって俺等死んでるんだよ?暑さや寒さなん…って、バーンズ、何を見てるんだ?」
リンも分かったのか、バーンズに詰め寄る。
 「バーンズ、それってトラベルガイド…」


 「ばれたか・・・」
その呟きが聞こえたのだろう。
ウォルターとリンは、逃げ出したバーンズを追って行く。
 「待てー!結局は、お前も知らないんじゃんっ」
 「バーンズの知ったかぶりっ」

あはははっ…。



二人は、逃げるバーンズを追いかける。
笑い乍ら、三人は追いかけっこをしている。
まるで小さい子供みたいに。



4人の幼き戦士 (18)

ここは『無』の世界。


 「マルク、待ってたよ」
 「うん?誰だ?」
 「分からないみたいだな…」
 「誰だ?と言ってるんだ」
 「お前は…、誰に向かって睨み付けてるっ!」

アダム=バーンズは、マルクに気を飛ばす。
吹き飛ばされたマルクは死んでるので痛みも何も感じない。
だけど、雲に激突したままの体勢でマルクは睨み付ける。
 「何をするっ」
 「それは、こっちの台詞だ。」
 「あ?」
 「よくも、私に毒を盛って刀で腹を切り開いて、銃で撃ってくれたな」
 「何の事だ?」
 「お前の死に様は見させて貰った。見事なまでに爆発したよな」
 「一体、何を…」
 「お前は、どうしてあんな事をした?お前にとって、あれは生き延びる為のものだったのかっ?
必要不可欠だったのか?」

だが、マルクは釈然としない表情だ。
そんなマルクにバーンズは業を煮やした。
 「お前を殺人者にする為に、マリアは生んだわけでは無い。
お前が生まれた土地がイギリスだったから、お前はイギリス人となったんだ!
マリアは信じていたよ。お前の笑顔が、全ての人を癒してくれる事を。
それがっ!自分の思い通りにならないからって、直ぐに銃を撃つだなんてっ…」

マルクは、なんとか一つの結論に至った。
 「ああ、思い出した。
あんたが、私の実の父親か…。
言っておくが、実の親より育ての親、という言葉があるんだよ。
私は、私に利をもたらしてくれる人を好んでいるんだ。
あんたは死んだんだ。過去の人間が何を言っても、遅いんだよ」

 「ならば、毒だけでなく刀や銃をも使うって事か…」
 「刺客を送り込んでも返り討ちにあってたからな。誰に殺されたのか分からないし…。
それに医療に力を入れてるから、薬や毒は、しこたま蔵にあるからな」
 「あれは、側付に使う物だ」
 「みたいだな。で、なんで知ってるんだ?」
 「最初に医療に力を入れてたのは、私とユタカだ」
 「ユタカ…」
マルクは目を細め考えてるので、アダムは教える。
 「イタリア王子だよ」
 「ああ、あのイタリア王子ね…」

それを聞いて納得したマルクは、突然に態度を豹変した。
 「父親面しても遅いんだよっ」
そう言いながら、マルクは銃を撃ちだした。
しかし、アダム=バーンズも死んでるので当たる事は無い。
それに、人殺しとしての経験値は父親であるアダム=バーンズの方が上だ。

 「最初に手を出したのは、お前だからな」
そう言って、バーンズは、ある構えを取った。
しかし、文武の文壇の方に才を出していたマルクには分からなかった。
そうだろう、その構えはリンが得意とする手刀と八卦掌のコンボだからだ。

銃は当たらないが、拳や気だと当たる。
痛みは無いが、それでも相手には当たるのだ。


それを、途中から入ってきた人物は傍観している。
今は、まだ手を出す時では無いと思ったのだろう。
そう、マルクと共に爆死したアランだ。

 「今度は親子での遣り合いか…」
そう呟いたアランにマルクは気が付き、命ずる。
 「デイモス、命ずる。あの男を」

 「ハッ!」

微かだが、マルクの注意がそれ、一瞬の隙が生まれる。
その隙を、バーンズは見逃さなかった。
死んでいるのにも拘らず、バーンズの力は予想より遥かに強かった。
何しろ、異名を持つ程の力の持ち主だ。
 『金のタイガー』は、死しても強い事を証明した。


マルクは、自分の父親がどの様な人物なのか知らなかった。
それもそうだろう。
バーンズの過去を知ってる者は、国外に居るのだから。

 「マルク…。この『無』の世界では転生は出来ない。
これからも、親子喧嘩するからな。」

そのバーンズに、アランが口を開いてくる。
 「バーンズ様、御強いですね」
 「ふんっ。私を誰だと思っている」
 「さすが、『金のタイガー』と謳われてる御方だけあります」
それは嫌味もなく、純粋に羨む表情で紡がれた言葉だった。
イタリアの隊で過ごした経験は、どんなに年月が経っても身体に染みついてる。
アダム=バーンズにとってアラン達の側付20人は、可愛い子供であり、隊での後輩だ。
イタリアの隊は、アラン達20人が最後の隊員だった。
あの国王が死んでから、国は崩壊した。
ユタカはイタリアを継ぐつもりは無いみたいだし、それでも良いと思ってる。
それに、人とは無理矢理に強制で継がれても、潰れるのは目に見えてる。



マルクは、暫らくは起きてこないだろう。
今度は、何処に行こうかな。

リン、君の所に行ってみよう。
君も『黒の豹』という異名を持つ程の力のある人だ。
同じ『無』の世界に居るだろうな。


感覚を研ぎ澄ます。
そして、昔のリンの顔を思い出す。



4人の幼き戦士 (17)

いつも、あの部屋に居て、あの椅子に座っている男を、あの息子は父だと思っているみたいだ。
あの子の父は、この私なのに。

マルク。
自分だけイギリスで生まれた事を、まだ根に持ってるようだが…。私は、それだけで次代を決めるわけでは無い。

音楽を愛でる人間になって欲しい。
エドまでいかなくても良いから。
ヒロみたいにクールでなくても良いから。
小さい頃のお前は、明るく笑顔の絶えない子だった。




私は人殺しだ。
いくら無理矢理あの隊に入れられても、私は大勢の人間を殺めた。
あそこで生き延びる為には、必要不可欠な事だった。

そして、あのフランスのパーティでグズと再会して家紋を創った。
あれには、私の思いが入っている。

公表する家紋はシンプルな方にして欲しいと思い、もう1枚創った。
こっちは、私専用のだ。

アダム=バーンズは、自分用の家紋を眺めている。

蒼は、宝石(いし)の色。
金は、アダム=バーンズの金髪。
銀は、イタリア王子であるユタカの銀髪。
赤は、アメリカに帰国したウォルターの赤髪。
黒は、中国に帰国したリンの黒髪。

その他にも、自分の仲間の居場所に、同盟を結んだ多くの国々に、多くの家。
それは、まるで大判の世界地図だった。



リン、ユタカから聞いたよ。
病で死んだって。
君のアレは、君の甥っ子に渡った事もね。
ウォルター、君はどうしてる?
元気で生きてるだろうか。
グズ、いやユタカ。
私は、アレをどうやら無くしたみたいだ。
ごめん。
君が見つけてくれる事を祈ってるよ。


アダム=バーンズは、その男が『御』となった晴れ姿を見る事は無かった。
息子であるマルクに、殺されたのだ。
毒と刃と銃によって………。


現在のフォン=パトリッシュの『御』は、初代の『御』であるアダム=バーンズの意思を汲み取り、その原本の方に桜の木を付けて、家紋を世界に公表したのである。





ロシア語で書かれている手記を訳した博人は、茫然としていた。
ふと見ると、桐で作られた箱も一緒に送られてる。
それを開けて見た博人は、息を飲んだ。

そのアダム=バーンズ専用の家紋が綺麗な状態のまま包装されているのだ。
手書きで書かれた一枚の和紙が挟まれている。
それには、日本語で書かれてある。
恐らく、自分の叔父である、現『御』の字だろう。
 「いつかは、きっと貴方の孫を、自分の甥っ子を次代の『御』にさせます。
あの子は、貴方の血を引いてる孫の中でも、最有力候補です。
私が死んだら、教えて差し上げます。
私を『御』にしてくれてありがとうございます。」



博人は、泣いていた。
 「お爺様……」
何も言えなかった。
軽い気持ちで、家系史を紐解こうとしていたのだ。
まさか、こんな事が書かれていただなんて…。

 「お爺様…。
私は、跡を継いでません。だけど、貴方のアレは私が日本に連れ帰ってました。
現在では一つになり、ある人物の中に存在してます。
御免なさい。そして、ありがとうございます。
そうか、私にロシア語を教えてくれた貴人が、お爺様だったんだな。
そして、初代『御』だったのか…。
知らなかった、御免なさい…」


そして、現『御』であり、自分の叔父に毒づいた。
 「クソ爺め、こんな事を書きやがって…。やっぱり、誰にも言うつもりは無かったんだな」



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